2021年3月5日金曜日

05- 緊急事態宣言「1カ月延長論」浮上 2週間で収束メド立たずと

 菅首相は3日、1都3県に出されている「緊急事態宣言」について唐突にぶら下がり会見で、「2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と表明しました。
 そうしたことは普通 専門家会議の意見を聞いてから判断すべきものですが、事実上官邸のスポークスマンを務めている田崎史郎氏によれば、先に緊急事態宣言を発出した際に、小池都知事に機先を制されたことを首相が屈辱と感じていたため、そんな仕儀になったということでした。
 政府はその方針を5日、諮問委員会に提案し意見を聞いたうえで同日夜の対策本部で決定するということです。首相は6府県を先行で解除しようとしたときに、警戒ステージ3に入っていて宣言解除の要件を満たしていることをしきりに強調していました。しかし専門家は当初からステージ2に入ることの必要性を強調していました。因みに3日時点でステージ2をクリアしている都県は一つもありません。
 それより何より、例えば東京の新規感染者数約250名(7日間移動平均)はせいぜい第2波のから第3波に移る間のレベルであり、すぐにリバウンドするのは明らかです(第1波では10名程度まで鎮静)。それに神戸市では直近1週間の感染者の半数を変異株が占めているという驚くべき情報もあります。菅政権は変異株の流入も安易に許してしまいました。
 経済を回すことの重要性は菅首相よりも国民の方が身に染みて知っています。しかしそのことで感染爆発を起こせば元も子もありません。従って感染を抑えつつ経済を回す舵取りが政治に求められているのですが、そのためにやるべきことを何もしていないのが現政権です。

 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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緊急事態宣言「1カ月延長論」浮上 2週間で収束メド立たず
                          日刊ゲンダイ 2021/03/04
 1都3県に出されている「緊急事態宣言」の期限が7日に迫る中、菅首相は3日、「2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と表明。21日まで延長される見通しとなった。しかし、2週間の延長で新型コロナの感染は収まるのか。早速、1カ月の延長を求める声が浮上している。
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感染拡大の材料はいくつも
 3日の新規感染者数は、首都圏4都県すべてで1週間前の水曜日を上回った。東京は103人も増えて316人だった。下げ止まりから上昇に転じている恐れがある。ヤバいのはこの先、感染拡大の材料がいくつもあることだ。
 緊急事態宣言の効果は明らかに弱まっている。携帯電話の位置情報の解析によると、宣言発令後最初の日曜日だった1月10日と比べて、2月の日曜日の人出は渋谷や新宿で1~2割増えている。3月は暖かくなる上、年度替わりの行事が目白押し。2月以上に人々の行動は活発化するはずだ。
 感染力の強い変異株が流行しそうなのも気がかりだ。変異株は従来ウイルスより1・5~1・7倍感染力が強い。4日発売の「週刊文春」に登場する西浦博京大大学院教授によれば、デンマークではロックダウン中にもかかわらず、変異株の感染者が週約200人から約600人に大きく増えたという。

「1カ月間は延長すべき」
 日本でも緊急事態宣言中に変異株が次々と見つかっている。すでに市中感染が広がっている可能性は高い。神戸市では直近1週間の感染者の半数を変異株が占めている
 しかも、英国型変異株は若者や子どもにも感染しやすいとされる。英国型による感染が5割を超えているイタリアでは、「英国型は若い世代に浸透する力がある」(スペランツァ保健相)として、6日からすべての学校を閉鎖し、リモート学習に切り替える方針だ。
 卒業や入学など春休みに活動するのは若者だ。緊急事態宣言の2週間の延長だけでは、変異株に感染した若者がウイルスを各地に拡散しかねない。せめて、春休み明けまで延長すべきではないか
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「緊急事態宣言を延長するなら、飲食店以外にも制限を広げるなど、少し規制を強化した上で、1カ月間は延長すべきです。もし、感染が収まれば前倒しで解除すればいい。同じ内容で2週間延長しても、国民には何も響きません。これからいい季節になって、行事も多く、感染者数が増える可能性は十分あります。中途半端な延長の結果、2週間後に『延長か解除か』と同じような議論を繰り返すのは目に見えています」
 島根県の丸山達也知事は4日、「2週間で収束させるメドがあるのか。背水の陣で臨むべきだ。1カ月延長してもらいたい」と語った。
 中途半端な延長では長期化するだけだ。