2021年3月6日土曜日

緊急事態宣言再延長 なぜ2週間でその間何をするか中身なし

 菅首相は、首都圏1都3県の緊急事態宣言について今月21日まで再び延長すると発表しました

 首都圏の実情は、新規感染者数はこのところ下げ止まっていて逆に上がる傾向を見せています(実効再生産数は、神奈川と千葉が1を超え、東京、埼玉は0・97、0・98で上昇傾向)。
 従って2週間の延長で、6つの指標のうち病床使用率や療養者数は改善するかも知れません、新規感染者数に関する3項目の改善は期待出来ないという状況です。

 政府は今回初めて、クラスター対策の一環として今月末までにおよそ3万の高齢者施設で大規模な検査を行うほか、市中感染を早期に探知できるよう大都市で無症状者にPCR検査を実施することにしましたこれは第1波の時から識者から強調されていたのに、厚労省がクラスターを追えば良いからなどと、四の五の言って手を付けようとしなかったもので、今回専門家会議の意向を受けて、抗しきれずに踏み切ることにしたのでした。それにしても余りにも遅きに失しました。
 政府はこれまで、暮れには「勝負の3週間」とか、年始には10都府県の緊急事態宣言を「1ヶ月で必ず収束させる」などと口先だけでアピールしましたが、何の成果も上げることが出来ずにいまの惨状を呈しました。到底まともな政権とは呼べません。今度こそは実行して欲しいものです。

 共産党の志位氏は4日、菅首相が首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言を2週間程度延長することが必要だと述べたことについて、「なぜ2週間なのか、2週間で何をするのか、中身がまったく示されていない」とした上で、「再延長を余儀なくされたということは、従来の政府の対策では限界だということが示されたということ」だとして、「対策のどこが問題で、どう打開するのか国民にきちんと示す責任がある」と述べました。
 また「とりわけ無症状感染者に対する大規模検査で感染を封じ込める戦略がいよいよ必要だ」と強調しました。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
 併せて東京新聞の2つの記事を紹介します。
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緊急事態宣言再延長 なぜ2週間か、2週間で何をするか、中身なし
志位委員長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年3月5日
 日本共産党の志位和夫委員長は4日、国会内の記者会見で、菅義偉首相が東京都と千葉・埼玉・神奈川の3県に発令中の緊急事態宣言を2週間程度延長が必要だと述べたことについて、二つの点で大きな問題があると指摘しました。
 第一は「なぜ2週間なのか、2週間で何をするのか、中身がまったく示されていない」ということです。志位氏は「これでは『後手批判』をかわすための演出と言われても仕方がない。国民への説明が必要だ」と強調しました。
 第二は「再延長を余儀なくされたということは、従来の政府の対策では限界だということが示されたということ」です。志位氏は「対策のどこが問題で、どう打開するのか国民にきちんと示す責任がある」と指摘。日本共産党が検査の抜本的拡充、医療機関の減収補填(ほてん)、十分な補償の3点の対策が必要だと指摘してきたと述べ、「とりわけ無症状感染者に対する大規模検査で感染を封じ込める戦略がいよいよ必要だ」と強調しました。

五輪パラ開催そのものの是非を真剣に検討せよ
 東京五輪・パラリンピックをめぐって5者協議で海外からの観客の受け入れは難しいとの報告が出されたことへの受け止めを問われた志位氏は「今求められているのは海外からの観客をどうするかということではない。中止を含めて五輪の開催そのものの是非を真剣に協議することだ」と指摘。国内外の世論調査では「五輪中止」が過半数であり、新型コロナの変異株が国内外で広がり続けているとして「世界から変異株が集まれば恐るべき事態を生むのではないかという指摘もある」と懸念を示しました。
 開催ありきの日本政府や日本オリンピック委員会(JOC)の姿勢を英紙が「暴走列車」と表現したことに触れ、「今必要なのは思考停止の『暴走列車』で突っ走ることではない。日本共産党は中止がいよいよ必要だと考えるが、立ち止まって開催の是非そのものを真剣に検討すべき段階だ」と語りました


「変異株、今の対策では抑えられない」専門家分析 緊急事態宣言「延長しただけでは無意味」
                           東京新聞 2021年3月5日
 首都圏の1都3県への新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の延長は、2週間程度と見込まれる。菅義偉首相は4日の参院予算委員会で、「病床の逼迫」などを延長の理由に挙げた。感染症の専門家は延長を歓迎しつつも「延長しただけでは無意味」と口をそろえる。2週間で、どんな対策を取るかが重要となる。(沢田千秋、藤川大樹、井上靖史)

◆首相、専門家の分析待たず
 「国民の命と暮らしを守るため2週間程度の延長が必要ではないか」。首相がそう言及した3日夕、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は会合を開いていた。首相はその分析報告を待たず、宣言延長を表明した。
 会合後、メンバーの1人は「関西の知事は宣言解除を望んだが、首都圏の知事は解除は『まだ』と言っている。そんな状況で解除し感染者増に転じたら、政府の責任。政府は解除したいけれど、そんなバカなことしない」と明かした。
 政治的な思惑は別としてメンバーたちは延長に好意的だ。ただし、東京都北区保健所の前田秀雄所長は「ただ2週間延ばしても、第4波を2週間遅らせるだけ。強い対策をしないと効果はない」と強調する。

◆懸念は変異株
 懸念材料は、英国などに由来する「変異株」流行の兆し。従来株より感染力が強く、国内での報告は4日時点で234人だ。
 座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「第1、第2、第3波の流行時に主流となる株の置き換わりが起きた」と説明。メンバーの1人は「(英国などの変異株への)置き換わりは既に始まっている」とみて、第4波の到来を警戒する。
 3日の議論の半分以上は変異株に割かれた。出席者によると、変異株の感染者1人が周りに感染させる人数を示す実効再生産数が1.2~1.3という分析結果が示されたという。
 現在、首都圏の実効再生産数は0.9ほど。あるメンバーは「従来株は今の対策で減っていくが、この分析が正しければ変異株は抑えられない」と危機感を抱く。

◆積極的疫学調査の強化
 宣言再延長後、解除の目安となる3月下旬は、歓送迎会や花見の時期。解除で人出が増え、「(感染)リバウンドを誘発する懸念」(脇田氏)がぬぐえない。2週間で、感染を抑え込む策はあるのか。
 メンバーが挙げるのは、積極的疫学調査の強化だ。感染経路と濃厚接触者の特定を徹底するなどし、現状で把握できていない「見えにくいクラスター」をつぶす。ほかは、午後8時までの時短営業をしていない飲食店への協力要請。いわゆる「昼飲み」増加に対し、酒類提供の制限要請も検討対象になるという。
 変異株対策としては、感染者の5~10%に変異株の検査を行う。変異株と疑われたら、感染研でゲノム(全遺伝情報)解析を行い、感染拡大防止に努める。
 専門家組織は「絶対に第4波をつくらない」という認識で一致する。宣言解除後も見据え、「サーキットブレーカー」の導入も検討されている。新規感染者数や病床使用率などの指標が一定水準を上回ったら、政治判断を待たずに3度目の宣言を出す仕組みだ。


菅首相の緊急事態再延長の根拠なのに…「病床逼迫の定義ない」と加藤官房長官
                            東京新聞 2021年3月4日
 加藤勝信官房長官は4日の記者会見で、菅義偉首相が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を1都4県で2週間程度再延長する理由に「病床の逼迫(ひっぱく)」を挙げたことを巡り「『逼迫』の定義はない」と説明した。
 加藤氏は「病床の逼迫」について「病床使用率が高いところを指す」と指摘。「地域によっては、ステージ3(感染急増)とステージ4(感染爆発)の間の数値ぎりぎりという状況もある」として、病床使用率が安定的に下がることを見極める必要があるとの見方を示した。
 入院患者の病床使用率は「20%以上50%未満」がステージ3に当たる。2日時点で、千葉県が49.7%、神奈川県は28.9%で、ステージ3の範囲内でも幅がある。(村上一樹)