2021年3月5日金曜日

総務省谷脇審議官と山田審議官(当時)はNTT社長らとも会食

 東北新社から接待を受けて問題になっている総務省の谷脇康彦総務審議官山田真貴子前内閣広報官(当時総務審議官)が、NTT社長らからも高額な接待(1人当たり10万円超も)を受けていたことが分かりました。分かっている範囲で谷脇氏は3回、山田氏は1回接待を受けています。
 共産党の田村智子氏は「明らかに倫理規定に反する接待と言わざるをえない」として、「東北新社」以外からの違法接待を否定してきた谷脇氏の答弁は「虚偽答弁だったのでは」ないかと指摘しました。
 また山田真貴子氏の件について事実関係を確認しないのか質問しましたが、加藤官房長官は「既に退任されて一般の方になっているわけですから、政府側が確認する立場にはない」と答えました。

 東京新聞と文春オンラインの記事を紹介します。
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NTT社長らと会食の谷脇審議官「2018年の1件目、2件目はNTTからご案内」
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 澤田純NTT社長らとの会食の事実を認めた谷脇康彦総務審議官が4日午後、参院予算委員会に出席した。谷脇氏は参院予算委で、3回の会食を認め「国民にさらなる疑念を抱かせることになり、深く反省し、おわび申し上げたい」と陳謝した。
 谷脇総務審議官は会食の経緯について「2018年の1件目と2件目はNTTからそういうご案内があった。3回目は共通の知人で会合にも出席した民間の方から連絡があった」とし、2018年のNTTからの誘いについては「直接私が案内いただいたのではなく、私についている職員に宛ててだと思う」と説明した。
 NTT社長らとの会食目的については「懇親と、情報通信関係全般の意見交換だった」と説明した。
 また「出席者や金額は大臣官房で事実関係を確認している」「国家公務員倫理法に抵触するものがあったのか、なかったのかを大臣官房で精査している」と述べた。通信事業関係者との会食は他にもあったとも語った。
 これに対し、共産党の田村智子氏は放送事業会社「東北新社」以外からの違法接待を否定してきた谷脇総務審議官の答弁について「報道を読めば明らかに倫理規定に反する接待と言わざるをえない。虚偽答弁だったのでは」と指摘した。谷脇氏は「今回の会食3件では先方の申し出に応じて提示された金額を負担した。倫理法には抵触しないものと認識し、大臣官房には報告しなかった」と述べた。
 菅義偉首相は谷脇総務審議官について、職務を続けさせるかどうかを問われ「今はまだ調査している段階だ」と述べるにとどめた。


山田前広報官のNTT会食報道 菅政権「一般の方」と事実確認は行わない意向
                           東京新聞 2021年3月4日
 菅義偉首相の長男らから高額接待を受けて辞職した山田真貴子前内閣広報官が、NTT社長らとも会食をしていたと週刊文春で報じられたことについて、政府は4日の参院予算委員会で山田氏に事実確認をしない考えを示した。共産党の田村智子氏の質問に答えた。
 菅首相は、山田氏が3月1日に辞職した際にNTT社長らとの会食を知らなかったのかと尋ねられ「承知していませんでした」と答えた。田村氏が「(会食を報じた)週刊文春は内閣広報室や総務省を通じて事実確認の質問をしたが、回答を得られなかったとしている。東北新社による接待が大問題の最中に総理の耳に入っていなかったのか」と確認すると、菅首相は「承知していませんでした」と繰り返した。
 さらに田村氏が「山田氏への事実確認は当然行いますね」と尋ねると、加藤勝信官房長官は「既に退任されているので、当方から事実確認する立場にはないと思っている」と答弁。田村氏が「なぜ事実確認されないのか 」と質問すると、加藤官房長官は「既に退任されて一般の方になっているわけですから、政府側が確認する立場にはない」と説明した。
 田村氏が「それでは菅政権は接待問題を究明する立場にないことになる」と追及すると、菅首相は「そこはルールに基づいてしっかり対応している」と主張した。


一人10万円超も NTTが山田前広報官と谷脇総務審議官に高額接待
                 「週刊文春」編集部 文春オンライン 2021/3/3
 菅義偉首相の長男・正剛氏が部長職を務める東北新社から接待され、減給の懲戒処分を受けた谷脇康彦・総務省総務審議官と、給与の自主返納と内閣広報官辞職に至った山田真貴子氏。2人が、NTTからも高額な接待を受けていたことが「週刊文春」の取材で分かった。NTTは総務大臣から事業計画などの認可を受けて経営されており、総務省幹部がNTT側から供応接待を受けることは、国家公務員倫理法に抵触する疑いがある。
 2人を接待していたのはNTTの澤田純社長や、子会社・NTTデータの岩本敏男前社長(現相談役)ら、NTTグループの幹部。
 山田氏が接待を受けたのは、昨年6月4日。当時山田氏は総務審議官(国際担当)の任にあり、総務省国際戦略局長の巻口英司氏とともにNTTグループの関連会社が運営するレストランを訪れていた。接待したのはNTTの澤田純社長と北村亮太執行役員。4人の飲食代は総額で約33万円(割引前)だった。NTTら会員企業は100万円単位の年会費を店側に支払っており、会員企業の場合、代金が4割引きになる。
 一方、谷脇氏も昨年7月3日に同じ店で接待を受けていた。接待したのはNTTデータの岩本前社長。当時、外務審議官だった金杉憲治氏(現インドネシア大使)も同席した。計4人の飲食代の合計は約19万3千円。

NTT側からの接待は58万円を超える
 また谷脇氏は2018年9月4日と9月20日にも同店で接待を受けていた。
 9月4日はNTT社長を退任したばかりの鵜浦博夫相談役ら3人で会食し、総額30万2千円と一人10万円を超える接待を受けた。
 9月20日はNTTの澤田社長ら3人で会食し、総額8万7千円。
 谷脇氏に対するNTT側からの接待は、3回合計の総額で58万円超、谷脇氏が受けた接待額は計17万円を超える計算になる。また総務省に対して、必要な届出を出していないことも分かった。
 山田氏には内閣広報室を、谷脇氏には総務省を通じて質問したが、回答は得られなかった。NTT広報室は「回答を差し控えさせて頂きます」とした。
 谷脇氏はこれまで「東北新社以外の衛星放送各社、民放やNHK、あるいは通信会社の社長から接待を受けたことはありますか」(3月1日・衆院予算委、森山浩行議員の質問)と問われ、「公務員倫理法に違反する接待を受けたということはございません」などと答えてきた。過去の国会答弁との整合性も問われそうだ。

 3月4日(木)発売の「週刊文春」では、まだ“谷脇事務次官”をあきらめていない菅首相の狙い、NTTによる高額接待の詳細や総務省との関係、2月13日夜の福島県沖地震発生直後に起きていた危機管理にかかわる重大事態などを、5ページにわたって詳報する。