2021年3月11日木曜日

東日本大震災 福島第一原発事故 発生から10年

 2011年3月11日の東日本大震災と東電福島第一原発の事故の発生から10年が経ちました。
 東日本大震災で確認されている人的被害は、死者と行方不明者は1万8425人「震災関連死」は3775人2月現在の避難者数はいまなお4万1241人もいます。
 福島第一原発事故での死者数の公式発表には接していませんが、現場を知っている人たちは公表されているよりも多いと言っています。
 NHKの2つの記事を紹介します。
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東日本大震災 福島第一原発事故 発生からきょうで10年
                     NHK NEWS WEB 2021年3月11日
東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生からきょう(11日)で10年です。住宅の再建やまちづくりなど、目に見える形での復興は一定の進展があったものの、福島県を中心に全国で今も4万人以上が避難生活をしているほか、経済活動や人とのつながりの再生は大きな課題となっています。10年の経過を震災の被害を乗り越える区切りとは思えない人も多く、長期的な視点で暮らしを支えられるかが改めて問われています。

死者・行方不明者少なくとも2万2200人
今から10年前の2011年3月11日の午後2時46分ごろ、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。
警察庁などによりますと、これまでに確認された死者と行方不明者は1万8425人となっています。
また、復興庁や自治体によりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる「震災関連死」は、東北や関東、それに長野県で、3月9日までに少なくとも合わせて3775人で「関連死」を含めた死者と行方不明者は少なくとも2万2200人にのぼります。

住まいの整備 一定の進展 
この10年で、住まいの環境整備は一定の進展がありました。
一時最大で11万人以上が暮らしたプレハブの仮設住宅は、宮城県では去年4月に全員が退去したほか、岩手県でも今月中に全員が退去する予定です。
自宅を失った人が入居する「災害公営住宅」も去年12月に計画済みのものはすべて完成しました。

いまだ避難生活 4万人超
しかし、避難生活をしている人は、住民の帰還の見通しが立っていない地域がある福島県を中心に、2月の時点で全国で4万1241人にのぼっています。
さらに、新たな住まいでは、経済的な負担やいわゆる孤立死などの問題も起きています。

“10年が区切り”受け止め分かれる
NHKが岩手県・宮城県・福島県の被災した人たちに行ったアンケートで、震災の発生から10年が経過することについて「震災の被害を乗り越える区切りとなる」と思うか尋ねたところ、「そう思う」「ややそう思う」と答えた人は44.5%だったのに対し「そう思わない」「あまりそう思わない」と答えた人も31.0%と受け止めは分かれています。
復興への関心が薄れることや人的・経済的な支援が減ることへの懸念の声も多く、被災した人たちの立場が細かく変化していく中、長期的な視点で暮らしを支えられるかが問われています。


福島第一原発事故から10年 廃炉で問われる国と東電の取り組み
                     NHK NEWS WEB 2021年3月11日
10年前の3月11日、東京電力福島第一原子力発電所は巨大津波により電源を喪失し、その後、3基の原子炉が次々にメルトダウンを起こす世界最悪レベルの事故に至りました。国が最長40年かかるとする廃炉はそのおよそ4分の1の期間が経過しましたが、作業は強い放射線に阻まれて遅れが目立ち、最大の難関とされる「燃料デブリ」の取り出しも今後、技術開発などが必要で具体的な道筋は見えていません
廃炉の最大の難関とされるのは、事故で溶け落ちた核燃料、いわゆる「燃料デブリ」の取り出しです。
1号機から3号機の原子炉の中や原子炉を納める格納容器の中に溶け落ちているとみられ、3基の合計は880トンにのぼると推定されています。
国と東京電力はことし、まず2号機で、デブリの取り出しを始める予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でデブリ取り出しに使うロボットアームの開発が遅れているとして、少なくとも1年開始を遅らせると発表しました。
最初に取り出すデブリの量は数グラム程度です。今後、極めて強い放射線を発する880トンものデブリをどう取り出していくのか、技術開発も必要で具体的な道筋は現時点では見えていません。
また、デブリは水を入れ続けて冷却しなければならないため、いまも毎日、およそ140トンの汚染水が発生しています。汚染水は、ほとんどの放射性物質を取り除く処理をしていますが、除去が難しいトリチウムなど一部の放射性物質は残ります。
この処理した水はタンクにためられていて、その数はこの10年で1000基を超えおよそ124万トンが保管されています。
経済産業省の小委員会は、去年、この水の処分について「基準以下に薄めて海か大気に放出する方法が現実的で、海のほうがより確実に実施できる」などとする報告書をまとめましたが、地元の漁業関係者などの風評被害への懸念は根強くあります。
政府は、タンクをつくる敷地がひっ迫する中、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできないとしていますが、地元を含めたより多くの関係者の納得が得られる形で処分方針を決定することができるのか、今後の政府の対応が問われています。
さらに、今後は、廃炉に伴って発生する大量の放射性廃棄物の問題にも向き合わなければなりません。
福島第一原発の廃炉では、すでにがれきなどの放射性廃棄物がおよそ47万立方メートル発生し、敷地内で保管を続けていますが、国と東京電力は廃炉作業の終了までにどれくらいの量の放射性廃棄物が発生するのか、そしてそれをどこでどのように処分するか、見通しを示せていません。

こうした課題を抱える中、廃炉作業を残りの期間で終えることができるのか、国と東京電力の取り組みが問われています。