2021年3月17日水曜日

30都道府県で感染者増の予兆の中で宣言解除に踏み切れるのか

 政府は18日の会合で緊急事態宣言解除する方向のようです。新規感染者数は下げ止まりから増勢に転じつつあるものの、医療提供体制がステージ3に移行しているからというのが言い分のようですが、解除後1か月余りで再爆発を起こせばまたたちまち医療は逼迫するし、変異株が優生になれば感染拡大だけでなく、治療の困難さから医療逼迫の速度が上がります。

 15日の参院予算委でコロナ対策分科会の尾身茂会長は、「宣言を延長しても解除しても、感染抑え込みの本格的な解決にはならない」と発言しました。日刊ゲンダイが言うように無責任と言えばその通りですが、具体的にPCR検査を拡大したり、変異株検出検査を拡大する施策がない中では、だらだらと緊急事態宣言を続けても「本格的な解決にはならない」のは事実です。
 以前にも言いましたが現状の新規感染者数は、第2波のピーク時とあまり変わらないレベルです(添付図は上段が全国の新規感染者数、下段は東京都の新規感染者数の去年2月から現在までの経緯です。傾向を示すだけなので縦軸の目盛りの単位幅は上段と下段で異なります)。





 だから解除してもいずれは収まる(とか、あるいは低姿勢を演じていれば世間は治まる)というようなものでは決してありません。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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30都道府県で感染者増の予兆…宣言解除に踏み切れるのか
                          日刊ゲンダイ 2021/03/16
「専門家の意見も聞きながら最終的に判断したい」――。21日に期限を迎える緊急事態宣言の解除について、菅首相は15日の参院予算委員会で明言を避けた。宣言下の1都3県の新規感染者数は下げ止まりが続き、全国の1日あたりの感染者の5割以上を占めている。他の道府県でも感染者がジワジワと再拡大し始めており、とても解除できる状況ではない。
 1都3県の足元の状況はガタガタだ。東京都の15日の新規感染者数は175人*16日は300人。1週間前の8日(116人)に比べ15倍2・6倍も増加した。1日あたりの感染者数が前週を上回る日が7日続いている。*事務局が追記)

 千葉では県内で初めて変異株によるクラスターが発生し、埼玉は県内の感染者が増加しているため「現時点では解除を要請する状況に至っていない」(大野知事)。1日あたりの全国の感染者数に占める1都3県の割合は55.6%(7日)から56.5%(14日)に上昇しており、増加傾向を見せている。

 こうした状況に、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長はほぼ諦めモードだ。15日の参院予算委で、ついに「(宣言を)延長しても解除しても、感染抑え込みの本格的な解決にはならない」と無責任なことを言い出した。

■第1波と同じ轍を踏む
 菅首相が「意見を聞く」はずの専門家がこんな調子で、解除に踏み切れるのか。なし崩しの判断が恐ろしいのは、感染再拡大の兆しが全国に広がっているからだ。
 14日までの感染者数をもとに、直近1週間とその前週比の〈表〉を作成した。1倍を超えている地域は30都道府県にも上る。直近1週間の1日あたりの平均感染者数は東京(279.1人)や埼玉(121人)、大阪(90.9人)が目立つのは当然として、北海道(59.7人)や宮城(43.7人)、兵庫(41.4人)も決して少なくはない。山形が0倍なのは、感染者数が14日までの1週間で0人から11人に増えたからだ。福井、島根、長崎は0人から1人に増えた。
 1都3県の宣言を解除したら、首都圏で感染者が増えるのはもちろん、全国で気が緩むに違いない。大阪、兵庫、京都など6府県が解除された時も首都圏で人出が増えた。
 お花見・行楽シーズンに人の移動が活発になり、感染者が急増する――。第1波と同じ轍を踏んではダメだ。