20世紀初頭、アメリカの女性が「パンを」「参政権を」と立ち上がったのに連帯し、社会主義をめざす女性の会議で1910年に提起され、1911年、最初の国際女性デーがドイツ、オーストリア、デンマーク、スイスで取り組まれました。
女性文芸誌『青鞜』の創刊号に平塚らいてうがあの「元始、女性は太陽であった」という文章を載せたのが1911年でした。そして1918年の富山県の漁村の女性の行動が全国に拡大する「米騒動*」などを経て、1923年に神田の青年会館で行われた婦人講演会が日本初の国際女性デーでした。
*(2月3日)女たちはやむにやまれず立ち上がる 映画『大コメ騒動』
1977年、国連総会は3月8日を「国際デー」と位置付けました。
国連のグテレス事務総長は1月、ジェンダー平等は「世界で最大の人権課題」と述べ、女性のリーダーシップは「女性の無給のケア労働、ケア経済への資金投入は経済成長とパンデミックからの復興の起爆剤」と呼びかけました。この提起は、コロナ禍で女性の貧困と格差拡大が深刻化する日本にとって極めて重要です。
菅政権は男女共同参画計画から選択的夫婦別姓の言葉をなくし、別姓制度導入を企図した地方議会に圧力をかけた国会議員の1人、丸川珠代院議員を男女共同参画担当相に任命しました。あり得ないことが平然と行われる政権です。
菅首相が口先とは裏腹に、コロナ禍のなか貧困と格差拡大に苦しみ自殺者が増加している女性の問題を解決する能力はおろか、問題を正しく受け止める能力自体を持っていないとLITERAは指摘しています。
⇒(3月9日)コロナ対策でも露呈した菅首相の女性問題への不見識!
3月8日の「国際女性デー」では、世界と日本の各地で女性たちの共同行動が行われました。しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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きょう国際女性デー ジェンダー平等後進国 日本
性暴力・差別 運動が政治動かす
しんぶん赤旗 2021年3月8日
3月8日は、女性の権利保障と世界平和の実現を求めて、世界各地で多彩な行動が取り組まれる「国際女性デー」です。国連機関UNウィメンが定めた今年のテーマは「リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する」です。
新型コロナ危機は、仕事と暮らし、差別・暴力、命・健康など多くの面で女性により深刻な影響を与えています。男女間の社会的・政治的な格差が大きい「ジェンダー平等後進国」の日本の現状は、女性や少女の貧困の拡大、性被害や自死の増加などかつてない厳しい状況です。
国民に自己責任を押し付け、性差別を容認する安倍・菅自公政権の失政は、悪化に歯止めをかけられず、むしろ拍車をかけています。
こうしたなか、“黙ってはいられない”“つながって政治・社会をかえていこう”と声をあげ、行動する人たちの輪が力強く広がっています。
全国に広がったフラワーデモをはじめ、性暴力や女性差別を許さない世論と運動が政治を動かしています。
法務省の性犯罪に関する刑事法検討会に、性暴力被害の当事者団体「一般社団法人Spring」代表理事の山本潤さんの参加が実現。同意なき性交を犯罪とすることが重要な論点になっています。山本さんは「お互いの意思を尊重した性交を当たり前にしたい」とデモで訴えています。
被害者を侮辱する発言をした自民・杉田水脈衆院議員の辞職を求める13万人の署名が寄せられ、自民党を窮地に追い込みました。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(当時)の女性蔑視発言に抗議し再発防止策を求めるオンライン署名には15万人超が賛同。署名は20代前半の女性3人が発起人となり取り組んだもの。発起人の能條桃子さん(22)は「女性差別が繰り返される社会は、私たちの世代で終わらせたい」と話します。
森発言をめぐっては、新日本婦人の会も各地で抗議行動を展開。「わきまえろと言われても声をあげ続ける」との同会のツイッターが共感を大きく広げるなか、森氏はわずか10日で辞任に追い込まれました。
フラワーデモ呼びかけ人で作家の北原みのりさんは、性暴力の背景にジェンダー不平等があると指摘し、「セクシュアリティーや性別にかかわらず、みんなで一緒に声をあげて社会を変えたい」と語っています。
(写真)オンラインで開催された国際女性デー中央大会=8日
国際女性デーの8日、全国各地で平和やジェンダー平等の実現を目指し世界の女性と連帯しようとアピール行動や集会が開かれました。2021年国際女性デー中央大会は、「ひとりで悩まずつながろう!いのち・暮らし・雇用・営業を守れ!改憲NO」などのスローガンを掲げ、コロナ禍でオンラインで開催されました。
あいさつした柴田真佐子実行委員長(日本婦人団体連合会会長)は、コロナ感染は新自由主義の矛盾、ジェンダー差別の存在を浮き彫りにしたと指摘。ジェンダー視点でコロナ対策を求め、女性の権利を国際水準に引き上げようと訴えました。核兵器禁止条約の批准を求め、総選挙では「市民と野党の共闘で憲法を守り、ジェンダー平等の政治に転換させよう」と呼びかけました。
早稲田大学名誉教授・女性差別撤廃条約実現アクション共同代表の浅倉むつ子さんが「ジェンダー平等の実現を目指して―女性の権利を国際基準に」と題して講演。女性差別撤廃条約の実効性を強化する選択議定書について紹介し、日本女性の権利を国際基準に前進させ、ジェンダー平等社会の実現にむけて運動を強めていこうと語りました。
ギリシャ、ベトナム、ブラジルなど10カ国を超える海外の女性団体と国際婦人年連絡会の連帯メッセージを紹介。労働者やフリーランス、業者、農民など国内の取り組みを報告、交流しました。
日本共産党、立憲民主党、社民党、参院会派「沖縄の風」がメッセージを寄せました。
2021国際女性デー 女性 政策決定の場に 新宿 共産党が街頭宣伝
しんぶん赤旗 2021年3月9日
日本共産党は8日、東京・JR新宿駅西口で、同日の「国際女性デー」に連帯する街頭宣伝を行いました。すべての政策にジェンダー平等の視点を貫ける政権交代の実現を目指し、倉林明子ジェンダー平等委員会責任者・参院議員と井上哲士参院議員、坂井和歌子衆院東京ブロック比例代表予定候補が演説しました。
倉林氏は、森喜朗前五輪組織委員会会長の女性差別発言について、「世界でもあ然とした人は多かったのではないか」「“わきまえて”声を押し殺すのではなく、いま声を上げて、このジェンダー後進国の日本を改善するときではないでしょうか」と主張。日本のジェンダーギャップを悪化させてきた要因について「日本は女性の国会議員の数が少なすぎる」と指摘し、「女性がさまざまな意思決定の場に参加して、発言をすることがジェンダー平等の大きな一歩になる」と訴えました。
井上氏は、日本のジェンダーギャップ指数が153カ国中、121位と世界各国から大きく遅れていることに触れて、「世界は解消に向かっているのに、日本ではいまだ根深く女性差別がある。政権交代を目指し、こんな政治を皆さんと一緒にスクラムを組んで変えていきたい」と決意を述べました。
坂井氏は、コロナ禍での女性の過酷な状況に対し「(政府が)どれだけ向き合ってきたのか」と批判し、「女性の皆さんと手をつなぎ、ともに歩んでいきたい」と連帯を表明しました。
小雨が降るなか、立ち止まって演説に聞き入り、賛同の拍手をおくる人の姿が見られました。