2021年3月26日金曜日

26- 豊栄学園 松下元総務副大臣も接待記録(続報)

 しんぶん赤旗が、「豊栄学園」宮崎県)による接待疑惑の続報として、自民党参院議員の松下新平・元総務副大臣が、同学園から繰り返し接待を受けたことを報じました
 清水理事長と松下氏は総務副大臣だった期間を含め16年から19年まで東京都内のすし店などで少なくとも計6回、会食をしています。
 また19に松下氏がフィリピン出張した際には、清水理事長とみられる人物が同行しています。
 清水理事長16年、松下氏が代表の自民党宮崎県参議院選挙区第1支部100万円の個人献金をしています。

 日刊ゲンダイが、亀岡偉民前副文科ともに「豊栄学園」から接待された藤原誠・文科事務次官について取り上げた記事「スガ親分のために悪事で出世 ~ 」を出しましたので、併せて紹介します。
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豊栄学園 松下元総務副大臣も接待記録 16年~19年 6回総額40万円
本紙スクープ 税金還流か
                       しんぶん赤旗 2021年3月25日
 学校法人「豊栄学園」(宮崎県三股町、清水豊理事長)による接待疑惑で本紙は24日、自民党参院議員の松下新平・元総務副大臣(内閣府副大臣兼任)=宮崎選挙区=が、繰り返し接待を受けたとされる記録を確認しました。同学園は税金が原資の私学助成金を受け取っています。教育機関に入った税金が国会議員との交際費に使われた形で、道義的責任が問われます。(丹田智之)

 本紙が確認した記録によると、清水理事長と松下氏は2016年から19年まで東京都内のすし店などで少なくとも計6回、会食をしています。学園側が支払った総額は約40万円にのぼります。1回の1人あたりの金額は、約8千円から約2万円になる計算です
 松下氏が総務副大臣だった期間にも接待とみられる記録があります。16年5月には、清水理事長と松下氏ら計3人が、「打ち合わせ」として会食しています。場所は東京・神田のすし店です。飲食代の4万390円は、学園側が支払ったことになっています
 松下氏と清水理事長の関係は、会食だけにとどまりません。松下氏のホームページで公開されている「デジカメ活動報告」によると、19年のフィリピン出張に清水理事長とみられる人物が同行しています。
 本紙が確認した記録によると、清水理事長は松下氏とフィリピンに出張。その際、「交際費」として学園側が11万949円を支出しています。
 また松下氏が代表の自民党宮崎県参議院選挙区第1支部の16年の政治資金収支報告書によると、清水理事長が100万円の個人献金をしています。
 19年12月末には、清水理事長と松下氏、財務省、法務省の課長が面談したとされています。なんらかの便宜が図られていないか、解明が求められます。
 本紙は松下氏の国会事務所に文書で、▽会食の目的と誰が会食代を負担したのか ▽フィリピン出張での飲食代は誰が負担したのか―など質問しました。同事務所からは、「回答しない」との返事がありました。学園の担当者は「個別の会食について言うことはできない」としています。


スガ親分のために悪事で出世 霞が関はヤクザ社会と同じじゃないか
                       日刊ゲンダイ 2021年3月25日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 霞が関のモラル崩壊が止まらない。農水、総務両省に続き、文科省でも接待攻勢によって行政がゆがめられた疑惑が浮上だ。
 渦中の人物は、安倍政権末期に文科副大臣を務めた亀岡偉民復興副大臣。そして文科省トップの藤原誠事務次官だ。
 22日の「しんぶん赤旗」によると、接待漬けにしたのは宮崎の学校法人「豊栄学園」の清水豊理事長ら。亀岡とは2015~19年末に少なくとも計14回会食し、支払い総額は約95万円に上る
 藤原氏がゴチになったのは官房長だった15年11月と17年11月。亀岡も同席していた。事務次官になっても亀岡や学園側と複数回会っていたというが、豊栄学園は紛れもない「利害関係者」だ。
 文科省は18年4月、学園が経営する都城東高を「教育課程特例校」に指定。20年2月には、私立高の産業教育施設を整える補助金約2400万円の交付を決定した。
 赤旗の取材に豊栄学園の担当者は「自らの利益になるからこそ接待で経費を落とす」旨を認めている。藤原氏が職務に関して供応接待を繰り返し受けていれば、国家公務員倫理法違反はもちろん、単純収賄罪にあたる疑いもある。
 またもや露呈した行政をゆがめた接待疑惑。藤原氏もまた、安倍政権時代から官邸の覚えめでたい人物なのである。

汚れ仕事に報いて異例の定年延長
「和泉さんから話を聞きたいと言われたら、対応される意向はありますか?」
 17年5月、加計学園問題のさなかに「出会い系バー通い」を読売新聞に報じられる前日、前川喜平元文科次官宛てに一通のショートメールが届いた。「和泉さん」とは、菅首相の懐刀・和泉洋人首相補佐官。送り主は藤原氏だった。
 既に前川氏は内閣府から「総理のご意向」と言われたことを記録した文科省文書の存在を認め、「加計ありき」を告発する意思を固めていた。藤原氏に時間稼ぎのつもりで「ちょっと考えさせて」と返信すると、翌日あの記事が出たという。
 昨年2月の日刊ゲンダイのインタビューに前川氏は〈想像ですが、あの時、和泉補佐官に会っていたら「読売を抑えてやる代わりに加計の話はするな」「これまで話したことは嘘だと言え」と取引を持ち掛けられたかもしれない〉と語っていた。
 恐らく藤原氏は菅や和泉氏らの意向をくみ、暗に圧力をかけたのだろう。そんな「汚れ仕事」が評価されたのか、17年1月に発覚した天下りあっせん問題で減給処分を受けたにもかかわらず、翌18年3月には定年を延長され、同年10月に事務次官まで上り詰めたのだ。
 異例の抜擢は、菅たちの“お目こぼし”があればこそ。藤原氏も職員への就任挨拶で庇護に応える。政権批判を繰り返す前川氏の著書「面従腹背」を念頭に「『面従腹背』はやめよう」と皮肉たっぷりに言い放ったのだ。
 まさに政権のイエスマン。藤原氏が次官に就いたため、「官邸と距離を置く人物」だった本命の小松親次郎氏は退官した。そして藤原氏は今年3月末にこれまた異例の3回目の定年延長により、次官続投が既定路線だ。度を越した「えこひいき」人事である。

もはや霞が関にモラルを求めるのはムダ
 官邸の意向を忖度し、汚れ仕事も辞さない官僚だけが異例の出世を果たす。腐臭漂う文科省トップの疑惑浮上は偶然ではなく、必然だ。
 赤旗の取材に藤原氏は「利害関係者」からの接待には亀岡の招待で出席したとして「行ったら、そこに(清水理事長が)いらっしゃった。(飲食代は)亀岡先生の負担だと聞いていた。文科省には届け出はしていない」と答え、開き直った。
 判で押したようなセリフを吐いた官僚トップが、もう一人いる。贈収賄で在宅起訴された吉川貴盛元農相と鶏卵大手「アキタフーズ」前代表の接待会食に同席、減給処分を受けた農水省の枝元真徹事務次官だ。
 枝元氏は「前代表が会食の場にいることを知らずに参加した」「吉川大臣に誘われたので大臣が支払ったと思っていた」と釈明。接待の見返りに行政をゆがめた疑いを否定しているが、贈賄側と収賄側と同じ席にいた人物の言い分を真に受けることはできない。
 18年10月と19年9月の枝元氏ら農水省幹部7人への接待には、アキタ社からの現金提供が発覚し内閣官房参与を辞職した西川公也元農相が2度目に同席。
 昨年の自民党総裁選で菅の選対事務局長を務めた吉川も含め、接待の場は政権中枢にいた人物ばかりだ。
 さらに2度ともアキタ社の地元・広島選出の河井克行元法相が同席していた。河井は菅の数少ない“子分”のひとり。行政に与えた影響を明かさない農水省の隠蔽姿勢は、「スガ直結人脈」への配慮ではないのか。
 親分をかばうためなら平気で情報を隠す霞が関の忖度気質は、モリカケ・桜を見る会など安倍政権時代の一連の国政私物化の頃から変わらない。むしろ「スガ親分」に代替わりしてから、悪化の一途である。

法を犯し、嘘をつかないと出世できない
 何しろ、この間に出るわ出るわ、農水省に総務省、文科省にせよ、薄汚い接待とその見返りに行政をゆがめた疑惑に登場する官僚たちは事務次官、審議官、局長クラスと出世頭のエリートばかりだ。
 こうなると幹部が腐っているのではなく、単に腐った官僚を幹部に引き上げてきただけではないのか。安倍政権の官房長官時代から内閣人事局を通じて人事権を振るい、官僚を従わせてきたのは言うまでもなく菅だ。
 決して菅の目が節穴なのではなく、そこには悪の人事査定が存在しているとしか思えない。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「菅首相は『政権の方針に従わない官僚は異動してもらう』と公言してはばからない。官僚に政権の方を向いて仕事しろと迫り、『国民の公僕』として政権に意見すれば飛ばされる。コロナ禍以前から霞が関は『行動様式の変容』を押し付けられ、同じセリフが出てくるのは新様式が浸透してしまった証拠です。官邸の意向を忖度し、公文書改竄や虚偽答弁など法を犯し、嘘をつかないと身分が保障されない。政権を守るため、身を張って悪事を働く官僚だけが出世する。今やヤクザ社会顔負けの霞が関にモラルを求めるだけムダ。接待の毒は全省庁に回っているに違いありません」
 スガ親分のために悪事で出世――。そんな腐敗構造の象徴が、菅の長男が勤める放送事業会社「東北新社」から高額接待を受けた山田真貴子前内閣広報官だ。
 16年10月に東北新社が放送法の外資規制を超えていたのに、総務省はBS4K事業の申請を認定。17年10月には違法状態のまま、新設子会社への事業継承申請も認めた。いずれも最終決裁者は当時、情報流通行政局長の山田氏。この決裁には、接待問題で懲戒処分になった他の複数の幹部も関与していた。
 しかも、東北新社側は17年8月に外資規制に抵触する旨を総務省の担当者に伝えたと主張。言い分通りなら、山田氏が違法申請を知りながら目をつぶり、行政をゆがめたとの見立ても成り立つ。総務審議官時代の一晩7万円超の接待も、次官級の広報官起用も菅一族への便宜の見返りだったのではないか。
 むろん、辞職では済まされず、菅長男と共に国会招致し、さらなる追及が必要だ。
菅首相こそ過去8年もの自民1強体制にあぐらをかき、人事を操る独裁的手法で政治と行政のモラルを破壊した張本人。腐敗政権に従えば、官僚が腐るのも当然です。倫理観を失った霞が関の腐敗と荒廃を断ち切る上でも、次の総選挙は極めて重要になります」(政治評論家・本澤二郎氏)
 公正・公平な政治と行政を取り戻すには、アベ・スガ政治を一掃するしかないのだ。