2021年3月2日火曜日

02- プロセスと結果が最悪の菅首相判断(植草一秀氏)

 菅内閣が発足して5ヵ月が経過しまし。植草一秀氏が、菅首相は「すべての時点で判断を誤ってきた」と断じました。
 菅首相政権発足時に日本学術会議新会員5名の任命拒否しました官房長官時代に人事権をふりかざして官僚を牛耳ってきたのでその慢心があったのでしょう、ことの重大性への認識がありませんでした。この問題はいまなお解決せず、菅首相は振り上げた拳を下ろすことができずにいます。重大な判断ミスでした
 そして新型コロナを甘く見て経済活動を優先させるべくGo Toを推進しました。その結果11月感染再拡大が鮮明になったにもかかわらず、Go To1228日まで止めなかったため感染爆発を招き、10都府県をほぼ2ヶ月前後緊急事態宣言下に置くことになりました。
 しかも宣言解除後も様子を見るしかなく、PCR検査体制が貧弱なままではリバウンドする危険の方が大のため、経済活動の停滞が長引くのは避けられません。
 変異株の流入阻止にも失敗しました。五輪が可能な客観的条件が生れるのかも全く見通せません。
 そして長男が主役となった総務省幹部の接待問題です。別掲の中原一歩氏の記事でも明らかなように、ここでも菅首相はお粗末な対応しかできずこの問題も長引きそうです。

 植草一秀氏のいう通り菅氏はすべての時点で判断を誤ってきました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
プロセスと結果が最悪の菅首相判断
                                 植草一秀の「知られざる真実」 2021年2月28日
政治は結果で判断される。
年中無休で新しい変化が起きる。それぞれの変化に対してトップは判断をしなければならない。
その一つ一つの判断がのちに結果を生み出す。その結果によって判断の是非が判明する。
一つ一つのことがらに「全集中の呼吸」で対応しなければならない。
菅内閣が発足して5ヵ月が経過したが、この内閣は下り坂を滑り続けている。
その理由は菅首相が判断の誤りを積み重ねていることにある。
すべての時点で判断を誤ってきた。その結果が現在の状況を招いている。因果応報だ。

政権発足時に菅首相が判断したのは日本学術会議新会員の任命拒否。
人事権をふりかざして人々をひれ伏させる。これが菅流だが、この流儀を日本学術会議に持ち込んだ。
しかし、学術会議の任命については法律の定めがあり、その運用については、国会での議論の積み重ねがある。
このことによって、日本学術会議による推薦を内閣総理大臣が覆してはならないと定められてきた。
しかし、菅首相はこの法定事項を無視して任命拒否に突き進んだ。
問題は、いまなお解決していない。菅首相は上げた拳を下ろすことができず、処理が棚上げされている。重大な判断の誤りだった。

日本の主権者にとって最重要の関心事項はコロナ感染の収束。
経済活動が大切であることを誰も否定しない。
しかし、経済活動を正常化させるためにもコロナ感染収束が優先されるべきだと国民の大多数が判断している
昨年の11月にコロナ感染再拡大が鮮明になった。その背景にGo To推進があった。
会食を奨励し、旅行を奨励すれば、感染が拡大するのは当たり前。
その懸念が現実のものになった。
「過ちて改むるに憚るなかれ」だ。直ちにGo To見直しが必要だった。
議論が頂点に達したのが11月3連休だった。3連休前にGo To全面停止に動く必要があった。
しかし、菅首相はGo Toを12月28日まで止めなかった。その結果としての感染爆発を招いた

12月入り後、英国で変異株が発見された。変異株がコロナ感染収束問題に与える影響は大きい。直ちに外国人の入国規制を強化する必要があった
菅首相は12月28日に規制強化を表明したが羊頭狗肉だった。
外国人入国の大宗を占めるビジネストラック、レジデンストラックの規制を行わなかった。
菅氏が方針転換したのは1月7日のこと。変異株の日本流入を完全に容認してしまった

2月3日に東京五輪組織委の森喜朗氏が女性蔑視、女性差別発言を行った。
直ちに森氏辞任措置が必要だったが、菅氏が動き始めたのは2月11日に森氏主導で後任会長に川淵氏指名が報道されてからだった。
菅氏が行動しない間に問題は燎原の火のように燃え広がった。

そして表面化した菅正剛氏が主導したと見られる公務員法違反接待事件。
最大の焦点は2018年の総務省による囲碁将棋チャンネルの不自然な認可。
この決定を下した最高責任者が山田真貴子情報流通行政局長だ。その山田氏が翌年、7万4000円の高額接待を受けた
山田氏が官邸記者会見を仕切れば、質問が山田氏問題に集中するのは目に見えている。
山田氏更迭に追い込まれることは確実だろう。
しかし、菅首相は山田氏続投を表明した。
一つ一つの重要な判断ミスが政権の力を確実に凋落させる。菅内閣終焉の時期が近付きつつある。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。
  https://bit.ly/37cW7Bs ぜひご高覧賜りたい。

           (以下は有料ブログのため非公開)