2021年3月24日水曜日

宣言解除だけなら深刻な事態に 広島方式=戦略的大規模検査が成果

 コロナ封じ込めるためには、コロナの検査を徹底させて自覚者・無自覚者を問わずに感染者を早期に発見して隔離する方法しかありません。これがWHOが当初から推奨していた鉄則で、それ以外の方法はありません。集団免疫という理論は多くの犠牲の上で結果論的に到達したものであって、政策的に進めることが人道上許されないのは明らかです。

 欧米ではPCR検査を励行しているのにコロナが蔓延しているからPCR検査拡充は有効でないと主張する向きがありますが、何故蔓延したのかの原因を追及をしないで、検査拡充不要論の口実にするというのでは雑な言い分のそしりを免れません。
 何よりも厚労省の「PCR検査拡充不要論」に与していたコメンテータなどが、いざ自分に感染の可能性が生じると、真っ先に伝手のあるある病院等に駆け込んで検査して貰っているのが何よりの証拠です。

 共産党の小池晃書記局長は22日、国会内で記者会見して、1都3県に発令されていた緊急事態宣言の解除への受け止めを問われ、「緊急事態宣言を解除してまともな対策をとらないというのでは深刻な事態になる。いまこそ大規模な検査を行い、医療機関への抜本的な支援策を講じ、そして事業者等に対する補償を強めることが必要」「リバウンドが起こり始めているという認識のもとで、抜本的な対策の強化を行うのがいまの政府の責任」と述べました(しんぶん赤旗)
 関連して、しんぶん赤旗が「 ~ 広島方式が成果 無症状者発見・保護へ戦略的大規模検査」とする詳細な記事を出しました。
 また河北新報は、逆にいち早くGo Toイートを再開してコロナのリバウンドを招いた宮城県と仙台市の現状を報じました。
 3つの記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宣言解除だけなら深刻な事態に 大規模検査などの抜本的拡大を
小池書記局長が会見
                       しんぶん赤旗 2021年3月23日
 日本共産党の小池晃書記局長は22日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルス感染拡大防止対策で1都3県に発令されていた緊急事態宣言の解除(21日)への受け止めを問われ、「緊急事態宣言を解除してまともな対策をとらないというのでは深刻な事態になる。いまこそコロナ封じ込めの大規模な検査を行い、医療機関への抜本的な支援策を講じ、そして事業者等に対する補償を強めることが必要だ」と主張しました。
 小池氏は、東京都をはじめ首都圏でも、関西地方、宮城、沖縄両県などでも新規感染者数が増加傾向にあることは明らかだと指摘。19日の参院予算委員会で日本共産党の山下芳生副委員長が大規模検査と医療機関への減収補てん、事業者への十分な補償を求めたのに対し、菅義偉首相が「(検査の拡充の)方向性はほぼ一緒だ。ただ量が違う」と答弁したことに言及。「問題は量だ。検査の量もスピードも、補償の量もあまりにも少なすぎる」と批判し、「リバウンドが起こり始めているという認識のもとで、抜本的な対策の強化を行うのがいまの政府の責任だ」と重ねて主張しました。


新型コロナから命守る 大規模クラスター防ぐ
広島方式が成果 無症状者発見・保護へ戦略的大規模検査
                        しんぶん赤旗 2021年3月23日
 新型コロナウイルス感染症を封じ込めるための大規模なPCR検査を―。感染再拡大(リバウンド)の危険が指摘される中、切実に求められる緊急対策です。広島県では全国に先がけ、無症状感染者を早期発見・保護する体制を整え、戦略的な大規模検査に取り組んでいます。「広島方式」の現場を取材しました。(土屋知紀)
 同県の大規模検査は感染者をいち早く発見し、感染の連鎖を断ち切るためのもの。県内5カ所(広島市2カ所、東広島市、福山市、三次=みよし=市)にPCR検査センターを設置し、飲食店・医療機関・介護事業所などの無症状の従事者や関係者を対象に、唾液によるPCR検査をしています。
誰でも何度でも
 さらに広島市内の2カ所のPCR検査センター(流川=ながれかわ=、観音)では2月22日から対象者を拡大し、市内在住か市内勤務の人は誰でも何度でも検査を受けられます(1日先着500人)。
 「この取り組みを全国でやったらいいと思います」―ランドセルを背負った女児を連れて流川検査センターを訪れた30代の男性=市内の会社に勤務=はこう話します。
 検査センターの取り組みに加え、重症化しやすい高齢者や障害者が入所する施設では社会的検査を実施。職員を対象に定期的にPCR等検査を行い、入所者へは必要に応じ抗原検査をしています。県内475施設が対象で、15日時点で410施設、延べ1054施設で行われました。
 感染拡大地(広島市、福山市、廿日市=はつかいち=市、海田=かいた=町、府中町、坂町の3市3町)ではこれまで月2回の職員へのPCR等検査を行った結果、早期に感染を突き止め大規模クラスター(感染者集団)へ発展することを未然に防ぐことができました。
 感染症対応をしている医療機関の従事者に対しても、すでに43医療機関で月1回の定期的なPCR検査をしています。
 さらに、県医師会の協力を得て県内の全市町で1000超の診療所や病院で県民向けにPCR検査を行っています。同県の1日あたりの検査能力は現在、民間検査機関をあわせ約1万3000件。県は今後さらに検査能力を高めていきたいとしています。
積極的受検訴え
 新型コロナは、軽症なら風邪やインフルエンザ症状とよく似ており、花粉症との判別も困難です。同県ではチラシやホームページで「風邪かな? と思ったらまずはかかりつけ医か積極ガードダイヤルに相談を」と積極的な受検を勧めています。
 広島県は、2月中旬に感染者が比較的多かった広島市中区の居住者・就業者を中心に、面的な無症状者の大規模PCR検査を試行実施しました。6573人が受検し、4人の陽性者が見つかり県が準備したホテルと病院で療養・治療しました。
 同県の渡部滋新型コロナウイルス感染症対策課長は「行政検査では発見できなかった無症状感染者を、大規模検査で見つけられたのは意義があった」と強調します。
大規模検査へ交付金を
 同県の大規模検査戦略の考え方は東京大学・合原一幸特別教授、中国上海師範大学・郭謙教授らの共同研究グループの「感染症数理モデル」に基づいています。
 同モデルはPCR検査の集中実施で無症状感染者を早期発見・保護し、市中での感染連鎖を断ち切った方が、営業時間の短縮要請などによる社会的コストがかからず「社会経済へのダメージを軽減できる」としています。
 同県が支出した飲食店への時短要請の協力金などの予算総額は3月末までで149億円。これに対し、PCR集中検査の実施費用は10億4千万円です。
PCR検査有効
 同県健康福祉局の平中純総括官は「民間の力も活用しながらPCR検査センターを設置し大規模検査をした結果、感染爆発が収束に向かったことを経験し、PCR検査の有用性を認識した」と振り返り、「コロナ対策は陽性者の早期発見・早期保護・早期治療が最大の感染対策だ」と強調します。
 「昨年9月、呉市の高齢者施設でのクラスター発生の時、無症状者も含めた全員検査が必要だと意識が変わりました。その後、県として積極的に広報しPCR検査をする人が増えた結果、感染者を捉えることができている。県と県民が一緒になった取り組みが陽性者を抑えられているのでは」と話します。
念のため検査
 18日、広島市内の歓楽街の一角にあるPCR検査センター(流川PCR検査センター)にはPCR検査を受けるため無症状の人が次々と訪れていました。
 『ひろしま県民だより』を持った60代の男性は、検査センターの入り口で氏名、住所、年齢や44項目のアンケートを記入し手指消毒の後、唾液を採取しました。「検査センター内に梅干しの写真が張ってあり、見ていたら唾液がたまったので検体採取はすぐに終わりました」
 この日は風邪気味で仕事を休んだついでに受検したと言います。「新聞に『ひろしま県民だより』が入っており家族から『無料だから休みついでに受けて』と勧められました。もしコロナなら周りに迷惑をかけるため念のため」と話します。
変異株の監視
 同県では、さまざまな検査や積極的疫学調査で把握された県内の感染拡大の予兆や感染源の情報も、同県の健康福祉局へ集中する体制がつくられています。この体制が変異株の監視でも力を発揮しています。
 把握した新規感染者の検体は、行政検査の場合は全検体を、民間検査の場合は感染経路ごとの検体を県か広島市の衛生研究所で、変異株PCR検査をしています。
 渡部課長は「県内のどこかで感染拡大が起きるとその地域で面的検査を本格実施します。また、陽性者を早期探知する仕組みを利用し変異株PCR検査をしている」と話します。
 例えば5人のクラスター(感染者集団)を民間検査機関の検査で把握した場合、そのうちの1検体を県か市の衛生研究所に送付し、変異株PCR検査をします。これにより、全感染経路で変異株の発生を捉えることができます。渡部課長は国に対し「これから第4波となり新たな取り組みが必要になった時に『これはダメ、これはいい』と制限するのではなく、幅広く施策を実施できる交付金を」と求めています。
繰り返し要望
 7度にわたり大平喜信・日本共産党広島県コロナ対策本部長(衆院中国ブロック比例代表予定候補・前衆院議員)とともに県に対策を要望してきた辻つねお県議は「県の検査戦略はコロナ封じ込めに有効です。繰り返し求めてきた結果です。変異株がまん延する状況もあり、引き続き無症状感染者への検査を続けるよう働きかけたい」と話しています。


病床逼迫、やむなく再要請 仙台市内ほぼ満床
                         河北新報 2021年03月22日
 新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)を封じ込めることができず、宮城県と仙台市は21日の対策本部会議で、市内の酒類提供店に対する時短営業の再要請に追い込まれた。感染者に占める働き盛り世代の割合が多く、市中感染が懸念される上に、仙台圏のコロナ病床が埋まりつつある。「戦争以来の危機的な状況だ」(佐藤和宏県医師会長)。医療関係者からも深刻な憂慮が相次いだ。
 3月の県内感染者は21日時点で1103人。このうち20~40代が60・7%、地域別では仙台市が74・1%を占める。3月の1日平均感染者は52・5人で、前回ピークだった1月の39・3人を大きく上回る。
 政府分科会に基づく県内の感染状況と指標は表の通り。県が特に重視する全入院者の確保病床使用率は21日、ステージ3(急増)に達した。仙台市内はほぼ満床だという。
 仙台圏の入院・療養先を調整する医療調整本部の本部長を務める冨永悌二東北大病院長は「今が最大の危機だ」と強調。「既に病床は逼迫(ひっぱく)し、今後は重症者の増加も見込まれる」とコロナ以外の医療体制への影響を危惧した。
 県内で3月に複数の人が感染した業種・業態の公表は34件で、うち仙台市が27件。接待を伴う飲食店が6件と最も多く、酒類提供飲食店も4件あった。クラスター(感染者集団)の発生13件のうち、市は11件に上る。
 厚生労働省は17日からリエゾン(情報連絡員)を派遣している。仙台市の保健所運営を調べた担当者は対策本部会議で「20、30代に感染の経緯を明確に話さない人がいるという。推測だが、飲食店や昼のカラオケなどが感染の背景にあるのではないか」と報告。時短要請を支持した。
 ソフトバンク子会社「Agoop(アグープ)」によると、青葉区国分町の人出(午後10~11時台)は、昨年末に始まった前回の時短要請中は前年同期比の下げ幅が50~60%台で推移。2月上旬の終了後は20%台まで縮小する時期もあり、人出が戻る傾向が表れている。
 県感染症対策委員長の賀来満夫東北医科薬科大特任教授は「コロナは半数が無症状者から感染し、感染症で最も制御が難しい。昼夜を問わず、人との接触機会を減らしてほしい」と呼び掛けた。