2021年3月24日水曜日

ギャンブル依存症で日本を崩落させた菅首相(植草一秀氏)

 首相として何一つ取り柄のない菅氏が、官房長官時代に「堅いガード」「鉄壁」などと称されたというのは不思議な話です。菅氏は小まめにメディアのメンバーを議員会館の個室に招いていたというので、その辺の手管には長けていたようです。前述のような不思議な評価はその成果と見るべきなのでしょう。しかしそれはちゃんとした能力を有している人なら許される程度の「人たらし」の業に過ぎません。
 植草一秀氏が菅氏は首相になってから五つのギャンブルに臨んでそのすべてに負けたとする記事を出しました。学術会議会員の任命拒否に始まってGo To、特異株の水際作戦、森喜朗氏や山田真貴子氏の処遇など、首相としての判断をことごとくを誤りました。森氏、山田氏の件はいくらかマイナーかも知れませんが、菅氏がことに当たって客観的で的確な判断が出来ないことを端的に示す例であることに変わりはありません。
 いずれにしてもトップであれば一つのミスがあっても叩かれるものです。これだけことごとく間違いを重ねていてはどうしようもありません。
 ところで最大の問題であるコロナも、収束の気配を見せていないどころか、リバウンドがいつ爆発するかが心配されているというのが実態です。
 植草氏が3つ目に上げた特異株の流入阻止に失敗した結果がそれに重なって、いまや全国の至る所で特異株がはびこり出しています。日刊ゲンダイの記事「変異株が37都道府県に超速拡大! 新規感染22都道府県で増加」を併せて紹介します。
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ギャンブル依存症で日本崩落 菅首相
                               植草一秀の『知られざる真実』 2021年3月23日
菅義偉首相はギャンブル狂い。そしてめっぽうギャンブルに弱い。
昨年9月の内閣発足から五つのギャンブルに臨んだ。そして、すべてに負けた。

一つ目は日本学術会議の会員任命拒否。
日本学術会議法は学術会議が推薦した者を内閣総理大臣が任命することを定めている。
法律制定時の国会審議で内閣総理大臣には任命拒否権がないことが確認されている。
ところが、菅義偉氏は内閣総理大臣の大権を強調したかったのだろう。
あえて、6名の候補者を任命拒否した。
強い政治力を示すギャンブルに突き進んだ。ところが、この対応が炎上した。
憲法が保障する「学問の自由」侵害に直結する重大問題。
戦前の経験を踏まえて学術会議の独立性が重視されてきた。
ここに踏み込んで炎上した。

二つ目はGo Toトラベルの強行。
Go Toは菅氏肝いりの政策。7月22日に見切り発車した。
日本の感染第2波は8月7日がピークだから、感染が拡大し、ピークに向かう直前にGo Toトラベ始動を強行した。
東京都はGo Toトラベルに慎重姿勢を示した。妥当な対応だ。
すると、菅氏は東京都をGo To適用除外にした。
神奈川県はGo To適用だから首都圏を目的地とする旅行は東京泊を回避して横浜泊などにシフトした。東京都への嫌がらせを実行したのである。
10月1日にはGo Toトラベルに東京が組み込まれた。
東京からウイルスが日本全国に運ばれるようになった。
11月から感染第3波が鮮明になった。Go To即時停止が必要だった。
ポイントは11月21日からの3連休。感染抑止を優先するなら連休前のGo To即時停止以外に選択肢はなかった。ところが、菅義偉氏はGo Toトラベルを12月28日まで全面推進した。
Go Toトラベルを推進しても感染爆発は生じない。菅氏はギャンブルに突き進んだ。そして討ち死にした
感染爆発が生じて緊急事態宣言の再発出に追い込まれた。
菅義偉氏は緊急事態宣言の発出も忌避した。宣言を発出しなくても乗り越えられると判断した。これもギャンブルだった
しかし、小池百合子東京都知事に緊急事態宣言発出を迫られて白旗を上げた。
「後手後手対応」に対する批判がさらに強まった。

三つ目は外国人に対する入国規制強化。
菅義偉氏は入国規制を強化しなくても構わないと判断した。
12月中旬に英国で変異株が確認された。外国人の入国を規制しなければ変異株が日本国内に持ち込まれる。
菅氏は12月28日に入国規制強化を発表したが、入国の太宗を占めるビジネストラック、レジデンストラックの入国停止を行わなかった。
菅氏は緊急事態宣言発出に際してもビジネストラック、レジデンストラックの入国停止を排除した。これもギャンブルだった。この賭けにも負けた。結局、1月13日になって両者の停止に追い込まれた。

さらに、五輪組織委員会の森喜朗氏の差別発言、山田真貴子内閣広報官の違法接待問題発覚後も菅義偉氏は両者を続投させることを決めたこれもギャンブルだったが、これも負けた。

すべての問題で、根拠の乏しい楽観論で突き進んで敗北している。
危機管理の鉄則は「悲観的に準備して楽観的に対処する」こと。
菅首相は楽観的に準備して悲観に終わっている。危機管理に最悪の首相である。

「UIチャンネル」第380回放送、鳩山元首相との対談がアップされております。
  ⇒ https://bit.ly/37cW7Bs  ぜひご高覧賜りたい。
           (以下は有料ブログのため非公開)


変異株が37都道府県に超速拡大 新規感染22都道府県で増加
                          日刊ゲンダイ 2021/03/23
 新型コロナウイルス第4波の主流になりそうな変異株。日刊ゲンダイが厚労省や自治体の発表をもとに集計したところ、22日までに37都道府県に広がっていることが分かった。これらの自治体の新規感染者数はほとんどが前週比で増加。やっぱり、感染力の強い変異株が感染拡大に拍車をかけている。
                ◇  ◇  ◇
 厚労省は毎週水曜日、都道府県別の変異株の確認数を発表している。最新は17日発表分で26都道府県399件だ。厚労省の発表はゲノム解析により確定した件数である上に、発表が週1回というのんびりしたペースなので、タイムラグがある
 22日までに変異株が確認された都道府県を調べると、厚労省発表よりも11増えて37都道府県にも上った。とくに直近は連日、初確認が続いている。福井(18日)、福岡、宮城、高知(19日)、富山(20日)、大分(21日)。22日は愛知で初めて8人の変異株の感染が確認された。
 変異株が確認されていないのは岩手、秋田、山形、鳥取、島根、山口、佐賀、長崎、熊本、宮崎のわずか10県だ。

グーグルの予測では新規感染者が倍増へ
 変異株が確認された都道府県の22日までの1週間平均の新規感染者数を前週(9~15日)と比較したのが〈別表〉だ。22都道府県が増加(1倍超)、6県が下げ止まり(0.95~1倍)だった。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「今さら、変異株のスクリーニング検査の実施割合を感染者全体の40%にすると言っていますが、遅すぎます。変異株は全国に拡大していて、早晩、全都道府県で確認されることになるでしょう。しかも、現在行われている変異株の検査は、陽性者の検体を検査する後追いがほとんど。変異株の拡大を防ぐものになっていない。1月の緊急事態宣言の発令時に変異株のスクリーニング検査と、感染者のすみやかな隔離を徹底していれば、変異株の流行は一部の地域にとどめられていた可能性があります。昨年秋以降の英国の大流行をヒントに日本で変異株の流行阻止の体制づくりはできたはずです」
 22日時点のグーグルの感染予測によると、3月20日から28日間の全国の新規感染者数は7万7276人と1日当たり2759人。直近の1週間平均の感染者数は1297人なので「倍増」すると見込んでいる。
 西村経済再生相は22日の参院内閣委で、「Go Toトラベル」について「感染拡大している地域と行き来がない」ことなどを条件に再開を検討する考えを示したが、日本中が感染拡大地域になるんじゃないか。変異株の後手対応の責任は重大だ。