中国が武漢ラボで研究し、米国も資金を出すかたちで、米中は共同で軍事系っぽいコロナウイルスのヒトへの感染研究を呉越同舟的にやっていた。この研究は生物兵器の開発だった疑いがある。ファウチはこの事業の米国側の責任者だった。武漢ラボで開発されていたヒトに感染するウイルス(生物兵器になる手前のもの?)が2019年秋に漏洩して新型コロナになったと考えられる(以上 田中宇の国際ニュース解説 記事一覧 概要説明より)。
ファウチは米国CDC所長であると同時に米国諜報機関や軍産の有力者でした。ここにきて米中共同の秘密作業に関与していたことがバラされたのは、同氏の立場が揺らいで来ていることの反映です。
世界中のコロナの死者は4日時点で370万人超で、今後どこまで増えるのか分かりません。一生重篤な後遺症に悩まされている人は無数にいます。絶対に許されない犯罪です。
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米中共同開発の生物兵器が漏洩して新型コロナに?
田中 宇 2021年6月4日
新型コロナウイルスの発祥経路について、これまで2つの可能性が取り沙汰されてきた。(A)自然発生説。中国の武漢市にある野生動物市場で売られていた野生の中型哺乳類(猫など)からヒトに感染した、といった説(その哺乳類は自然界でコウモリが持っていたウイルスから感染した)。(B)武漢ラボ漏洩説。SARSの発祥経路を解明するためコウモリのコロナウイルスを哺乳類に感染させる研究をしていた武漢ウイルス研究所(武漢ラボ)で、研究員が実験中のウイルスに感染し、市中に感染拡大した、という説。中国や米国の政府などは、これまでAの説を公式に採用し、Bの説は「無根拠な陰謀論。間違い」とされてきた。ところが米国で最近、Bの武漢ラボ漏洩説が突然「有力」になっている。(科学的にでなく政治的に有力になったので、怪しげなカッコつきの「有力」)
ラボ漏洩説が「有力」になった原因は、米政府のコロナ対策の最高責任者であるアンソニー・ファウチCDC所長が、ずっと前から所長をしていたNIAID(アレルギー感染症研究所)で、武漢ラボのコロナウイルス研究に公金の支援金を不正なやり方で出していたことが発覚したからだ。コウモリのコロナウイルスを哺乳類に感染させる「機能獲得(Gain-Of-Function)」の研究は、もともと中国だけでなく米国の2つの研究所でも行われていたが、この研究は実験中のウイルス漏洩の恐れがあり、米政府は2014年に米国内でのこの種の研究を禁じた(その後、判定機関を作って危険性の高いものだけ禁じるようにした)。ファウチは、米国でやっていたこの種の研究の続きを中国の武漢ラボでやってもらうことを決め、その代わり米国側が武漢ラボに支援金(米政府の公金)を出すことにした。NIAIDが直接に資金援助すると、米政府の研究禁止令に違反するので、NGOであるエコヘルス・アライアンスを経由して武漢ラボに資金を流す迂回路を作り、米国でやれない危険なコロナウイルスの機能獲得の研究を、こっそり武漢ラボに事実上委託していた。
武漢ラボは米国から支援金をもらう前から、コウモリのコロナウイルスを哺乳類に感染させる研究をしていた。ヒトの細胞を部分的に移植したネズミをコロナウイルスに感染させ、ヒトへの感染を確認する研究も行われていた。こうした研究の表向きの目的は2003年に流行ったコロナウイルスSARSの発祥経路を特定することだったが、武漢ラボは人民解放軍の傘下でもあり、ヒトに感染するウイルスを生物兵器として使うことを視野に入れた軍事研究だった可能性がある(米国のマスコミは武漢ラボが中国軍の施設だと非難してきた)。この場合、米国は中国の生物兵器の開発に資金を出していたことになる。しかし米国側は、諜報力の高さから考えて、無知や騙されて資金援助していたのでなく、中国側の裏の構図を把握した上で動いていたはずだ。
武漢より南の華南地方には、コロナウイルスを宿した多くの種類のコウモリがおり、武漢ラボはコウモリのコロナウイルスの世界最大の集積地だ。米国(米軍と米諜報界。軍産)は、武漢ラボの軍事系のコロナウイルスの機能獲得研究に資金を出すことで、中国と同じコロナの生物兵器、もしくは中国から研究の成果物であるウイルスをもらってさらに開発してより強いコロナ生物兵器を開発することを視野に入れていたのかもしれない。(ほとんどの人が不感染や軽症で終わる今回の新型コロナが兵器になるのかという疑問は残るが)(武漢コロナウイルスの周辺)
真意は不確定だが、米中が共同で軍事系っぽいコロナウイルスのヒトへの感染研究を、武漢ラボで呉越同舟的にやっていたことは事実だ。ファウチは、この米中共同のコロナウイルス開発研究の、米国側の担当責任者だった。ファウチは米国の医学界のトップに30年も君臨してきた人で、このような長期の権力権威の保持ができたのは、ファウチ自身が諜報界・軍産の有力者だからと考えるのが自然だ。武漢ラボで行われていたコロナウイルスの研究は、米中共同の生物兵器(っぽいもの)の開発だった疑いがある。武漢ラボで開発されていたヒトに感染するウイルス(生物兵器になる手前のもの?)が2019年秋に漏洩して感染拡大し、新型コロナになったと考えられる。
ファウチは武漢での新型コロナの発祥後、米マスコミなど軍産傘下の勢力や、中国側と声をそろえて「新型コロナの発祥地は武漢ラボでない」「武漢ラボ漏洩説を言う人々は大間違いの妄想家で、取り締まりが必要だ」といった言説を喧伝した。本当は武漢ラボで米中開発中の軍事系のウイルスが漏洩したのであれば、米国側(ファウチら軍産マスコミ)も中国側も、ラボ漏洩説を認めたがらなくて当然だ。漏洩説が主流になると、武漢ラボで何をどう開発していたのかという真相究明を世界が求め、米中が共同で危険なウイルスを開発していたことがばれてしまい、米中両方の上層部が窮地に陥るからだ。中国側は一時「武漢野生動物市場発祥説」をとりかけたが、うまく立証を演出できないのでやめてしまった。新型コロナの発祥から1年半、漏洩説は陰謀論として幽閉され、発祥の真相究明は遅々として進まなかった。
この状況が変わったのは今年4月以降、共和党に味方する米諜報界の一部がランド・ポール上院議員らに、ファウチが武漢ラボのウイルス開発(機能獲得研究)に公金を迂回支援していたことを教え、ポールら共和党が米議会でファウチを証人喚問して攻撃したためだ。ファウチは守勢に立たされ、ポールら共和党側からの「都市閉鎖やマスク義務を緩和しろ」という要求に屈するようになり、以前に書いた米国コロナの「ベルリンの壁崩壊」が起きた。この大転換の深層は、ランドポールら共和党のがんばりもさることながら、それよりも米諜報界で「コロナ危機の永遠化」を目指す派閥と、それを潰そうとする派閥が暗闘し、潰そうとする派閥が勝ったからと考えられる。 (米国コロナの「ベルリンの壁崩壊」)
その後、武漢市で新型コロナの感染拡大が始まる直前の2019年11月、武漢ラボの3人の研究者がコロナ感染して入院していた新事実も報じられた。こうした話は以前から流布していたが、無根拠なうわさ話と一蹴されてきた。WSJが報道し、米諜報界の上層部がこれを事実だと認めた直後、ファウチは、これまでの自然発生説への固執とラボ漏洩説の拒絶を突然にやめて「コロナは自然界でできたと確信できない。詳しい調査が必要だ」と、ラボ漏洩を半ば認める姿勢に転換した。
同時期に、諜報界の人である米国務省の元高官(David Asher)も「新型コロナが自然発生したと考える証拠はほとんどない。武漢ラボからの漏洩を疑うべきだ」とFOXテレビで発言し、従来の常識やタブーを覆した。バイデン大統領も、コロナは自然発生でない(ラボから漏洩の)可能性があるので再調査すると表明した。マスコミやSNSも追随し、大慌てで「ラボ漏洩説は無根拠だ」という記述を訂正・消去し始めた。
その後、米国のマスコミによる情報公開請求が認められ、ファウチと仲間(武漢ラボへの資金の迂回を担当したエコヘルスのトップPeter Daszak)との、ラボ漏洩説を潰すことについてのメールなどが公開された。ファウチは、ランドポールら米議会に対して「武漢ラボでの研究内容は(米政府が禁止した)機能獲得の研究ではなかった(だから自分は不正などやってない)」と証言したが、私的なメールでファウチは、武漢ラボでの研究が機能獲得であると認めており、偽証罪に問われそうだ。ファウチはますます不利になり、更迭や起訴が取りざたされている。ファウチのメールの情報公開のタイミングの絶妙さからは、今起きているコロナのベルリンの壁の崩壊が偶発的なものでなく、諜報界内部の暗闘の結果であることが感じられる。
米国の世界戦略は大統領府や連邦議会でなく諜報界が隠然と握ってきた観があるが、その諜報界は今回、ファウチを無力化して「永遠のコロナ危機」の構図を破壊することを、中国敵視策の強化と抱き合わせにすることでうまくやろうとしている。ファウチや米マスコミは、中国側と結託してコロナ発祥の武漢ラボ漏洩説を潰してきたが、これだとコロナを使って中共を敵視することができない。「コロナは中共が起こしたんだ」「中共にコロナの責任を取らせろ」と主張する新たな中国敵視策の強化をやるためには、ファウチが無力化・更迭・起訴されてもやむを得ないので、武漢ラボ漏洩説を主流にする転換をやらねばならない。そんな理屈で、米諜報界内部の「永遠のコロナを潰したい派閥」が、ファウチの無力化と中国敵視の強化を抱き合わせにして推進している。中国敵視は、今の米上層部が超党派で賛成せねばならない政策なので、この抱き合せによって、民主党やバイデン政権からの妨害が弱められている。バイデン政権のアジア担当であるカート・キャンベルは最近、米中協調の世界体制が終わり、米中の対立が強まると述べている。
米国がファウチを犠牲にして武漢ラボ漏洩説を引っ張り出して主流に据えた直後、中国政府系のマスコミなどが「米国との対立が激化して核戦争になるかもしれない。中国の核軍備を増強する必要がある」と言い出している。米中の敵対が強まっている。その一方で、米国の覇権は低下しており、米国が中国を敵視するほど、中国は米国に気兼ねせず勝手に動く傾向を強めて台頭が加速し、中国がロシアなど非米諸国を率いて貿易決済通貨の非ドル化を進め、米国覇権の原動力であるドルの基軸性を潰す動きになっていく。今後、米国が中国を敵視するほど、中国の台頭や覇権の多極化が誘発される。