2021年6月23日水曜日

「提言」無視し上限1万 政府・組織委など5者 五輪有観客方針を決定

 メディアが1920日に行った6月の世論調査で、東京五輪開催による新型コロナ感染再拡大への不安は、「共同」では、「ある程度」を含め「感じている」との回答が計867%、「朝日」では「感じる」が83でした。菅首相「安全・安心な大会実現するとしていますが、テレビ朝日(ANN)の調査では、実現できると「思わない」は66・8%で、「思う」192でした(朝日新聞)。

 また都医師会60地区医師会長に五輪・パラ大会についての考えを聞いたところ、「開催は中止すべき」との回答が18医師会、「無観客での開催」は23医師会、「感染対策を徹底した上での少人数の観客での開催」が8医師会でした(しんぶん赤旗)

 東京五輪・パラの観客数について政府、大会組織委、東京都などは21日、5者協議を開き、全会場で定員の50%以内で1万人を上限とすると決めました。これによる観客数(チケット数)の減分は、当初の364万人から272人に減る程度で、チケット保有者と大会関係者をあわせると、期間中に約300万人の人出が起きることになります。
 政府コロナ対策分科会の尾身茂会長らが提言した「無観客開催」は完全に無視されました。
 炎天下で都内約90万人の子どもたちを動員する学校連携観戦は依然として生きていて、都教委は参加をキャンセルできることを区市町村に通知していなかったことも明らかになりました。5月に作成するとしていた「観戦の手引き」もいまだ完成せず、感染防止を図りながらの引率の負担増や、マスク着用による熱中症のリスクの増加も考慮されていません、
 日本共産党東京都議団と東京都委員会は21日、小池百合子知事と都教育長宛てに、都内約90万人の子どもたちを動員する学校連携観戦の中止を要請し「今からでもキャンセルできると周知すべきだ」と訴えました
 東京都医師会など都内54医師会は21日、五輪・パラ開催についての意見書をまとめ、大会開催の必須条件として、大会によって「感染が拡大しないこと」と「通常医療が圧迫されないこと」を政府と大会組織委員会、東京都知事に要請し無観客または中止とすることも考慮して欲しいと求めました
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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「提言」無視し上限1万 政府・組織委など5者 五輪有観客方針を決定
                       しんぶん赤旗 2021年6月22日
 東京五輪・パラリンピックの観客数について政府、大会組織委員会、東京都などは21日、5者協議を開き、全会場で定員の50%以内で1万人を上限とすると決めました。政府新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長らが提言した「無観客開催」を無視しました。感染拡大を防止し国民の命と健康を守るという政府、都の責任を放棄した決定です。(五輪問題取材班)
 5者協議では、▽上限を会場収容定員の50%以内で1万人とする ▽小中学生が観戦する学校連携は別扱いとする ▽緊急事態宣言などが発動された場合は無観客も含め検討する ▽パブリックビューイングは中止や規模縮小の方向で検討する―などを合意しました。
 上限を超えた数のチケットが販売されている競技については再抽選するとしています。チケットは現在364万枚が販売されていました。再抽選をすることで約272万枚となるといいます。
 チケット保有者と大会関係者をあわせると、期間中に約300万人の人出が起きることになります。専門家らは観戦による人出の増加と五輪の「お祭りムード」で気分が緩み感染が増えることを懸念しています。
 政府は17日に、大規模イベントの開催基準として、定員50%以内、上限1万人を認めるという方針を決定。この時の会見で、尾身会長は「(上限1万人は)五輪とは分けて考えるべき。五輪はもう少し厳しくする」と指摘していました。18日には尾身氏らが提言で、無観客での開催が最も望ましいと要請し、観客を入れる場合でも大規模イベント開催基準を適用せず、「さらに厳しい基準に基づいて行うべき」と求めました。
 組織委の橋本聖子会長は同日の会見で専門家の提言を無視した理由について問われ、「しっかりとした対応をすることで政府のイベント開催基準にのっとって開催できると判断した」と回答。提言で指摘された懸念事項をどうするかについて言及しませんでした。


子どもの動員中止を 五輪観戦で共産党都議団 知事らに要請
                       しんぶん赤旗 2021年6月22日
 日本共産党東京都議団と東京都委員会は21日、小池百合子知事と都教育長宛てに、東京五輪観戦に都内約90万人の子どもたちを動員する学校連携観戦の中止を要請しました。
 都として学校連携観戦を中止するとともに、▽区市町村や学校の参加の意向の確認 ▽参加キャンセルが可能なことの周知 ▽各学校の観戦割り当ての公開 ▽五輪中止を決断しコロナ対策に集中すること―などを求めました。
 組織委が学校観戦の参加やキャンセル意向を各都県に求めていたにもかかわらず、都教委は区市町村・学校に意向確認をしませんでした。都議団は、組織委からの確認を自治体に対して非公開にしたため現場が混乱していると指摘。斉藤まりこ都議は「今からでもキャンセルできると周知すべきだ」と訴えました。
 公共交通機関で3密が避けられない競技会場に連れて行くことは、感染リスクが増すこと、都教委が5月に作成するとしていた「観戦の手引き」もいまだ完成せず、感染防止を図りながらの引率の負担増や、マスク着用による熱中症のリスクの増加も考慮されていないと強調しました。
 都教委が、各学校がいつどこで、どの競技を観戦するのかのスケジュールを非公表とし、保護者にすら知らせていない学校もあると指摘。現在の計画を直ちに都民や保護者に公開するよう求めました。
 応対した都担当者は「事実確認を行う」と答えました。


感染抑止・通常医療維持できぬなら中止か無観客にせよ 都医師会など
                       しんぶん赤旗 2021年6月22日
 東京都医師会など都内54医師会は21日、五輪・パラリンピック開催についての意見書をまとめ、大会開催の必須条件として、大会によって「感染が拡大しないこと」と「通常医療が圧迫されないこと」を政府と大会組織委員会、東京都知事に要請しました。
 意見書は、新型コロナウイルス感染症は「その収束への行程は不確実」で、現時点で十分に「コントロールされた状況とは言えない」と指摘。必須条件を維持できない場合には「都民・国民の安全・安心を守るために、無観客または中止とすることも考慮していただきたい」と求めています。
 都医師会は意見書に先立って、都内全60地区医師会長に五輪・パラリンピックに関するアンケートを実施。大会についての考えを聞いたところ、「開催は中止すべき」との回答が18医師会、「無観客での開催」は23医師会、「感染対策を徹底した上での少人数の観客での開催」が8医師会でした。