菅政権は昨年9月の内閣発足以来 成果は皆無で、コロナ対策の無為無策が重なって支持率は30%台に下がりました。しかしながらこの末期症状の政権の受け皿として立憲民主党の名前が上がることはなく、同党の支持率も依然として低迷したままです。
植草一秀氏が、「枝野氏 優柔不断ではチャンス活かせぬ」とする記事を出し、菅内閣がどれだけ失政を重ねても、枝野新政権に対する期待が一向に高まらない理由は、枝野幸男氏の優柔不断な姿勢にあり、新しい政権のビジョンをまったく示すことができていないからだとしました。また新しい政権樹立に向けての共闘のあり方も不明確だと断じました。
そしてこの立民党の体たらくは、2009年8月の衆院総選挙で小沢-鳩山体制の民主党が国民の熱烈支持を受けて大勝利したのと全く異なっているとして、当時の状況に触れています。
民主党政権の樹立に驚いた当時の既得権勢力は、悪の限りを尽くし、マスコミを巻き込んで小沢-鳩山政権を攻撃し、8ヵ月で転覆させることに成功しました。その後は守旧勢力が菅直人内閣、野田佳彦内閣を創設し、公約破棄の消費税増税に突き進んだ挙句に安倍自民に政権を奉還したのでした。
植草氏は、この破壊活動に全面的に協力したのが民主党内の「隠れ自公勢力」である「悪徳10人衆」で、それは藤井裕久、仙谷由人、渡部恒三、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎の各氏であると名指ししました。10人衆のうちいま立民党に残っているのは枝野氏と安住氏の2名です。
枝野氏から国対委員長に指名された安住氏は、口先ではいつも威勢のいいことを言いますが肝心なところで常に自民党に妥協してきました。60年体制下でも野党の国対委員長には政権与党から密かに巨額のカネが渡っていたことが後に明らかにされましたが、今はどうなのでしょうか。
枝野氏は、当時民主党内で小沢氏排斥の先頭に立っていた獅子身中の虫でした。しかし菅直人政権の内閣官房長官を務めたときには、四六時中「放射能は直ちには健康に影響しない」を口癖にしており、その他の数々の不手際と共に国民が民主党政権に幻滅した一つの大きな原因になったように思われます。
植草氏は枝野氏を優柔不断と批判します。連合との関係もまさにそうです。
演説は立て板に水の如くに流暢ですが、翻って、一体何を考えているのかは一向に判然としません。消費税問題然り、野党統一戦線問題然りです。枝野氏の思考の中心にあるのはどうすれば立民党が伸びるかだけです。それでは連合の神津会長の反共主義と相まって、本当の野党統一戦線を作るなど百年河清を待つにも等しい難事です。
神津氏がようやく連合の会長を退く意向を固めたと報じられています。神津氏はいわゆる「労働貴族」であり民主勢力の前進ひいては労働者の生活向上を阻害してきた元凶でもありました。この際枝野氏も潔く立民党代表の地位を退くべきです。
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枝野氏優柔不断ではチャンス活かせぬ
植草一秀の「知られざる真実」 2021年6月 5日
菅義偉内閣の末期症状が続く。昨年9月の内閣発足以来、成果は皆無。失点だけを積み上げてきた。
学術会議の任命拒否問題はいまなお解決されていない。
国民にとって最重要課題はコロナ対応だったが失政を繰り返して深刻な事態を招いた。
五輪開催の絶対条件は主権者国民の賛意だが国民の圧倒的多数が今夏開催に反対している。
このなかで五輪開催を強行する目的は自己利益。国民の不利益を踏み台にして自己利益の増大を図る。宰相としてあるまじき姿勢だ。
同類の行動を示すのがIOC。IOCの金銭的利益のためなら日本国民にどのような被害が発生しようと構わない。傍若無人の自己本位主義がはびこる状況はこの世の末を感じさせる。
この状況下で衆議院の任期満了が近づく。
本年10月までに必ず衆院総選挙が実施される。
国政を左右する最大の要因は総選挙。総選挙で多数議席を獲得した勢力が政権を担う。
国政を変えるには選挙で多数議席を獲得することが唯一にして最大の方策だ。
菅内閣大失政が続くなか、政権刷新気運が高まって当然の局面。
しかし、その気運が広がらない。2009年の状況と著しく異なる。
2008年から2009年にかけてリーマンショック、サブプライム金融危機不況が世界を襲った。日本でも深刻な不況が発生した。
2008年末には製造業で雇用を打ち切られた大量の非正規労働者が寒空の下で路頭に投げ出された。東京・日比谷公園には年越し派遣村が創設され、命からがら人々が駆け込んだ。
新自由主義経済政策の負の側面が誰の目にも明らかになった。
この状況下で主権者の期待を一身に浴びたのが民主党の鳩山代表だった。
2006年の代表選で小沢一郎氏が選出された。解党の危機に直面した民主党で火中の栗を拾った。ここから、民主党は奇跡の大躍進を遂げる。
既得権勢力による日本支配維持を目論む勢力による不当な攻撃、弾圧によって小沢-鳩山体制の民主党は猛攻撃を受けた。
しかし、この猛攻撃を跳ね返して小沢-鳩山体制の民主党は主権者国民の熱烈支持を受けた。
その結果として、2009年8月30日衆院総選挙で民主党が大勝。ついに日本民衆の力によって政権を刷新する偉業が達成された。
残念ながら、画期的な革新政権はわずか8ヵ月で破壊された。日本支配を続けてきた既得権勢力が悪の限りを尽くして鳩山内閣を破壊した。
この破壊活動に全面的に協力したのが民主党内に潜伏していた「隠れ自公勢力」だった。
私は「悪徳10人衆」として破壊者を明記した。
藤井裕久、仙谷由人、渡部恒三、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安住淳、枝野幸男、玄葉光一郎の各氏。
革新政権の鳩山内閣は破壊され、守旧勢力が菅直人内閣、野田佳彦内閣を創設し、公約破棄の消費税増税に突き進んで安倍自民に大政を奉還した。
立憲民主党は政権刷新の最大チャンスを生かせていない。菅内閣がどれだけ失政を重ねても、枝野新政権に対する期待が一向に高まらない。
その理由は枝野幸男氏の優柔不断な姿勢にある。新しい政権のビジョンをまったく示すことができていない。
新しい政権樹立に向けての共闘のあり方も不明確だ。これでは政治刷新は覚束ない。
テレビに登場して単独で発言する機会を得ながら、その機会をまったく生かせていない。
優柔不断な姿勢を変えられないなら、枝野氏は主権者から見切りをつけられる。
(以下は有料ブログのため非公開)