2021年6月2日水曜日

ベトナムで“英国 + インド”混合株を発見 政府が初めて警戒

 ベトナムのグエン・タイン・ロン保健相は29日、インド型と英国型が混合した新型コロナの新しい変異株が同国で見つかったと明らかにしました。それはインド型に英国型の変異が現れた非常に危険なもので、ベトナム政府は30日、32検体中4例の混合型を検出したと発表しました。

 ベトナムはこれまで1日あたりの新規感染者数は1ケタから十数人程度で推移してきましたが、4月末に厳格な水際対策をくぐりぬけインド型変異株の流入して以後、国内の累計感染者数は3800人と過去最多の水準で市中感染が広がりました。
 日本でも英国型に続きインド型の国内感染も確認され、政府はようやく危機感を強めたようで、今回は珍しくベトナムで見つかった変異株に警戒を示しているということです。
 日本は、そもそも空港での検疫は50%がすり抜けられるような検査のみだったということで、他国が行ったような空港での一定期間の留め置きも極めて不十分でした。
 そんな風に海外株の流入を阻止できなかった政府が何を今更の感じで警戒心を示したのは、東京五輪が迫ってきたからに他ならず 実際に阻止できるのかははなはだ疑問です。
 日刊ゲンダイと時事通信の記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ベトナムで発見“英国+インド”ハイブリッド変異株の危険度
                          日刊ゲンダイ 2021/05/31
 新型コロナウイルスの封じ込めの“優等生”といわれてきたベトナムで、新たな変異株が見つかり世界に衝撃を与えている。見つかったのは、「インド株」と「英国株」の両方の特性を併せ持つ「ハイブリッド変異株」。強力なロックダウン戦法で感染拡大を抑えてきたベトナムだが、そのベトナムでも感染が広がっている。
                ◇  ◇  ◇
 ベトナムは4月27日以降、第4波に見舞われている。これまで1日あたりの新規感染者数は1ケタから十数人程度で推移してきたが、今月29日に500人を突破。過去最悪の感染状況に陥っている。

空気感染の恐れ
 その最中に確認されたのが、ハイブリッド変異株だ。ベトナムのグエン・タイン・ロン保健相によると、新たな変異株は「インド型に、英国型にもともと含まれていた変異が加わったもの」で「極めて危険」。既存株に比べ、「空気中での感染力がかなり強い」という。換気の悪い部屋だと、あっという間にエアロゾル感染してしまう恐れがあるようだ。
 どの程度、ハイブリッド変異株が広がっているのかは不明だが、感染者が急増しているのは事実だ。ベトナム国内の累計感染者数は、29日までに6856人で、半数以上は5月以降に確認されている。空気感染のリスクが高まるとなると、第4波に拍車がかかりかねない。
 ホーチミン市在住の20代の日本人男性は「これまでの感染拡大とはまったく違う」と危機感をあらわにし、こう続ける。
「ベトナムは日本とは比べようもないほど、感染対策に厳しい。濃厚接触者は基本的に、隔離施設に連れて行かれます。そこに21日間閉じ込められた後、7日間の自宅待機も命じられます。また、濃厚接触者の接触者も検査を求められます。タクシーに乗る時にはアプリを使って健康状態や経路を申告しないと、乗車拒否される場合も珍しくない。感染経路を徹底的に追っているので、ある意味、日本国内よりも安心感はありますが、緊張感があります」

ベトナムから日本への入国規制はかなり緩い
 現在、ホーチミン市内はロックダウン中。公安警察にワイロを握らせて闇営業を続けるガールズバーやマッサージ屋もあるが、感染したら最後、犯罪者扱いされかねない雰囲気だという。
「例えば、アパートやマンションで感染者が出たら建物の前の道を封鎖し、居住者全員をPCR検査することもある。感染者は過去2週間の行動履歴をさらされますし、『危険な感染症を他人に感染させた容疑』で捕まった人もいます」(前出の日本人男性)
 それほど厳格な規制をしても、感染が広がっているのだから、よほどのことだ。ハイブリッド変異株は、多少の規制はものともしない可能性がある。
 現在、ベトナムから日本への入国規制はかなり緩い。新規入国でない限り、入って来られる状態だ。日本政府は英国株やインド株などの流入を許している。今度こそ、手遅れになる前に水際対策を徹底すべきだ。


政府、ベトナム変異株を警戒 緊急事態、延長期間入り 新型コロナ
                            時事通信 2021-06-01
 新型コロナウイルス対策として9都道府県に発令中の緊急事態宣言は、6月1日から延長期間に入った。新たな期限となる同20日までに新規感染者数を減らし、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)状況を改善できるかが焦点。一方、政府はベトナムで確認された新たな変異株を警戒し、水際対策の一層の強化も検討する。 
 菅義偉首相は31日の自民党役員会で、宣言延長に関し、「引き続き対策を徹底し、各地の感染を抑えていきたい」と表明。同時に「飲食店はじめ影響を受ける方々への支援はしっかり継続し、事業と雇用を守っていきたい」と述べ、経済の下支えにも全力を挙げる方針を示した。 
 北海道、東京、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡の9都道府県に対する宣言は5月31日までの予定だった。今回の延長により、6月20日までが期限の沖縄県にそろえる。この約1カ月後の7月23日に東京五輪の開幕を控え、政府はさらなる延長を回避したい考えだ。 
 そのカギを握りそうなのが、感染力が強いとされる変異株の動向だ。英国型に続き、インド型の国内感染も確認され、政府は危機感を強めている。 
 ベトナムで見つかった変異株は、英国型とインド型の特性を併せ持ち、ベトナムのロン保健相は「極めて危険」と警告。政府は世界保健機関(WHO)などと連携し、情報収集・分析を急ぐ。 
 これに関し、加藤勝信官房長官は31日の記者会見で「現時点でわが国において感染者は確認されていない」と説明。ベトナム側などに確認した結果、ワクチンの効果などに関し、「影響があるとの証拠は示されていない」と語った。 
 英国型やインド型の変異株をめぐっては、政府の水際対策の遅れから、国内に流入したとの見方がある。加藤氏は、今後の対応について「国民の不安を取り除く観点から、必要な措置を機動的に行っていきたい」と強調した。