LITERAが、東京五輪感染対策のザル化が酷いとする記事を出しました。
政府は観客数の上限を1万人とし、メインスタジアムでの開会式は2万人とする方向で調整しています。ところで競技場の数は、札幌、福島なども含め全部で43個所もあり、決してメインスタジアムにとどまるものではありません。
各会場の観覧席規模や予選から決勝までの競技期間はそれぞれ異なりますが、いずれにしても観客の総人数は莫大となり、とても人流の抑制どころの騒ぎではなくなります。
政府は期間中、計1万5000人の選手に毎日検査を実施することを強調したので、当然それは鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査であると思われたのですが、実際には試料採取や分析の医療スタッフが揃えられないために、唾液で判定する抗原定量検査に変わったことが明らかになりました。
唾液の場合はうがい薬を使って入念にうがいをすれば検査を潜り抜けることが可能と言われています。スタッフが揃って初めて一応の体制が整えられるわけなのに、スタッフが揃わなかったから出来なかったなどというのでは話になりません。
また参加選手の保護は「バブル」システムで行うことを謳い文句にしてきました。しかし海外選手団受け入れ第2弾のウガンダ選手の受け入れで早速問題が起きました。
一行9人はまず空港で全員が唾液による抗原定量検査を受け、1人だけ結果がはっきりしなかったため、PCR検査を受けたところ陽性であるとわかりました。ところが同じ飛行機に乗ってきた残りの8人は「濃厚接触に当たるか公表できない」として、PCR検査もしないままで合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動させました。いまのところ他の感染者が出たという情報はないので無事に収まったようですが、今後もこんな対応を繰り返すのであれば、いずれ選手団の中でクラスターが発生する可能性があります。
政府の対応はいわば「僥倖にすがる」博打の精神です。
もしも失敗し、海外からの批判に晒されたとき政府は一体どう答える積りなのでしょうか。
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東京五輪感染対策のザル化が酷い! 開会式の観客は2万人、毎日PCR検査のはずが抗原検査に、感染者以外のウガンダ選手は合宿地へ
伊勢崎馨 LITERA 2021.06.21
開催強行だけでなく、有観客という方針で進み始めた東京五輪。「これでは、五輪後に感染拡大が起きるのは避けられない」と専門家からも厳しい批判の声が上がっているが、菅政権や組織委はそんなことはおかまいなし。今度は観客の上限をなし崩しに増やそうと動き始めているらしい。
周知のように、政府は五輪の観客の上限を1万人とする方針を打ち出していたのだが、なんと開会式は2万人を入れる方向で調整しているというのだ。
スクープしたのが御用マスコミの日本テレビだったため、報道では、当初の計画から観客数を減らすことを強調。「大会関係者を1万0500人から9000人に、セレモニー関係者を7300人から6000人に絞りました」「さらに大会関係者9000人のうち、パッケージツアーの客など5000人を「一般に近い関係者」として、一般販売の9300人と合わせて再抽選し、1万人以内に絞ることで総数を2万人以内にするということです」などと解説していたが、ようは、大会関係者やスポンサーだけで1万人を超えるため、開会式だけは観客上限を倍にしてしまえ、ということらしい。
菅義偉首相の「徹底した感染対策」「安全安心」がいかに口だけかがよくわかるが、なし崩しにザル状態になっているのは観客の上限だけではない。
五輪・パラ開催強行に当たって、政府は期間中、計1万5000人の選手に毎日検査を実施するということを強調しており当然PCR検査を実施するものだと多くの人が思っていたが、この検査は鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査でなく、唾液で判定する抗原定量検査だったのだ。
この事実を報道した朝日新聞によると、〈当初は鼻の奥をぬぐって検体を採取するPCR検査の導入が検討されたが、採取には医療従事者が必要になるため見送りに。唾液を用いた抗原検査とPCR検査でいずれも陽性が疑われる時に限ることにした〉のだという。
周知のように、抗原検査はPCR検査に比べると精度が落ちる。抗原定量検査は定性検査よりも確度が高いと言われるが、唾液による抗原検査は唾液採取の直前に歯磨きやうがい、飲食をすると検査の精度が落ちるため、試合に欠場したくない選手が、検査前にイソジンなどでうがいをするという可能性もある。
陽性判明者以外のウガンダ選手団はPCR検査受けずに合宿地へ 全豪オープン選手らの2週間隔離とは大違い
実際、この検査のザルぶりは、東アフリカ・ウガンダの選手団の感染でも明らかになっている。
19日、成田空港に到着したウガンダの選手団9人のうち1人がPCR検査で陽性だったことがわかったが、残りの8人はPCR検査を誰も受けていない。まず、全員が唾液による抗原定量検査を受け、1人だけ結果がはっきりしなかったため、PCR検査を受けたところ、陽性であることがわかったのだ。
しかも、残りの8人は同じ飛行機に乗ってきたのに、「濃厚接触に当たるか公表できない」として、PCR検査もしないまま事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動している。
ちなみに、「バブル方式」で開催されたテニスの全豪オープンでは、錦織圭ら選手数十人の乗った飛行機で、乗員と選手以外の乗客で陽性が出たことから、選手47人が2週間の隔離、ホテルから出られず練習もできないという対応をとった。ジョコビッチ選手が隔離期間の短縮など要望するも、オーストラリア当局は却下している。
それに比べると、日本政府の対応がいかにずさんかがよくわかるだろう。おそらくこれからどんどん感染した関係者が入国してくるだろうし、大会が始まってから感染者が出ても、濃厚接触の判断を五輪優先にして、恣意的にゆるくしていきかねない。
バブル状態で実施しても、サッカー南米選手権では、65人を超える感染者が出ている。五輪は規模も参加者も参加国も桁違いに大きいうえ、このザルな感染対策を見ていると、五輪が感染再拡大の引き金になるのは必至、と言わざるをえない。 (伊勢崎馨)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。