しんぶん赤旗が、「政治考 菅政権「政府危機」の様相 ~ 」という記事を出しました。
東京新聞が25日に発表した都民意識調査では、東京五輪開催の首相説明に「納得できない」が67%で、内閣支持率は16・1%にとどまりました。当然、自民党は大いに衝撃を受けました。
こんな何の取り柄もないどころか有害であるばかりの政権を国民は何時まで許すのでしょうか。
法政大学の五十嵐仁名誉教授は、目下直面してる環境問題、女性差別・ジェンダー問題、原発、核廃絶などの問題は「自民党には解決できない」もので、政権交代の機は熟しているとして、市民の運動で野党共闘を強化してそれを達成することが重要だと述べています。
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政治考 菅政権「政府危機」の様相 五輪強行姿勢に内外から批判
しんぶん赤旗 2021年5月31日
変異株の爆発的広がりで緊急事態宣言延長を余儀なくされた菅義偉首相―。28日の会見で、コロナ危機の下で困難を抱える国民の多数の反対をよそに五輪開催を明言しました。国民には行動制限、営業制限を求め、補償も医療補填(ほてん)も不十分なまま五輪開催だけは強行する姿勢に、内外から批判の声が高まっています。
記者から「緊急事態宣言下でも五輪を開催できるか」と問われた菅首相は「テスト大会も国内で4回開催している」として五輪開催を否定せず、感染拡大や医療資源のひっ迫をもたらすとの懸念には何も答えませんでした。東京五輪メイン会場の国立競技場で行われた五輪テスト大会(9日)は、2000人以下の選手とスタッフで行われました。7万8千人が参加する五輪大会とはまったく違います。
国民が敏感に
神奈川県の「16区市民連合」の事務局長の山本幸子さんは怒りをあらわにします。
「菅義偉首相は、利権絡み、政局絡みで東京五輪を利用している。五輪を開催することで『手柄』を立てたいというのが本音。これだけ医療関係者がひっ迫し、自宅で亡くなる方が続出している。その現状を知りながら、トップの資格はない」
菅政権は入院もできず自宅でなくなる人が後を絶たない状況の下で、病床削減法案を強行し、続けて高齢者の医療費2倍化法案を成立させようという暴挙に出ています。
法政大学の五十嵐仁名誉教授は、「国民はいま政治のあり方、行政の動向によって命と生活、営業、生業(なりわい)が左右されています。政治に対して身近なものになり敏感になっている」と指摘します。
「東京」25日付の都民意識調査では、告示日まで1カ月を切った東京都議選(7月4日投票)について「(投票に)必ず行く」「たぶん行く」を合わせると85・1%に上りました。一方、東京五輪開催の首相説明に「納得できない」が67%、内閣支持率は16・1%にとどまりました。
“壊滅”の不安
都議選での投票先として立憲民主党が14・0%、共産党が12・9%だったことも永田町に衝撃を呼んでいます。閣僚経験者の一人はつぶやきます。「政権はよたよただ。五輪はまさに行くも地獄、引くも地獄」。別の自民党議員は「このまま都議選に入れば自民党は壊滅的になるのではないか。公明党も、支持基盤を固めきれず苦しんでいる」と不安を隠しません。
4月の衆参3補選・再選挙で自民党は全敗。その他の中間選挙でも厳しい結果が続き、大手メディアによる全国世論調査で、内閣支持率は最低を記録しています。もはや「政府危機」の様相です。
現行入管制度の人権侵害を一層ひどくする入管法改定案は、野党の一致したたたかいと、SNSなどでの市民の批判の高まりで事実上廃案に追い込まれました。五十嵐氏は「入管法改定案の取り下げは、都議選、総選挙をにらんで、自民党が“妥協”せざるを得ない状況に追い込まれたということでしょう」と言います。
東京都東村山市の藤田まさみ市議(立憲民主党)は「今変えないと。政権交代をしないで、菅政権を続けさせてしまっては、本当に日本の将来がどうなってしまうのか。それくらいの政治危機だ」と強調します。
野党共闘の勝利へ―草の根の運動がカギ
東京都杉並区の「政治を変える8区の会」の呼びかけ人の小関啓子さんは「これだけみんなが政治に対して怒っている。野党統一候補でたたかえば自民党の候補に勝てる確信がある。勝って政権交代しない限り、日本の危機的状況を変えられない」と言います。
五十嵐氏は、昨年の検察庁法改定を断念させたことや、森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視(べっし)発言での辞任、入管法改定案を廃案に追い込んだことなどをあげ、「市民の中に、やればできるという自信と確信が生まれてきている」と指摘。「おかしいではないかと国民が声を上げることで政治を動かしてきた」と述べ、総選挙で野党共闘が勝利するためには、「草の根のたたかいが決定的です」と言います。
東京の「20区市民連合」の共同代表の井口信治さんは「総選挙も、共闘の力で野党が本当に自民党に勝てるようにしないと。自民党には危機感がある。市民と野党の共闘の強さ、必要性を実践で示したい」と語ります。
五十嵐氏は、コロナ危機打開の先に、解決すべき課題として、環境問題、気候変動、女性差別・ジェンダー問題、原発、核廃絶などがあるとし、「自民党には解決できない」と強調。「政権を代えることでしか解決できない問題です。政権交代の機は熟していると言えます。コロナ危機によって政治の実態が見えやすく、わかりやすくなっている。そのもとで都議選や総選挙が行われます」と指摘し次のように続けます。
「菅政権・与党にとって、次の総選挙は危ないという危機意識は強く、半端なものではない。参議院選挙と違い衆議院選挙は政権交代に直結します。だから、かつてない危機意識にかられて野党に対する懐柔、妥協、攻勢をかけてきています」と言います。
五十嵐氏は支配層からの攻撃に負けないためにも市民の運動が極めて重要だと主張します。