2021年6月11日金曜日

国民投票法改定案 参院憲法審査会で可決

 参院憲法審査会は9日、改憲手続きの国民投票法改定案を採決し、自民・公明両党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決しました。共産党は反対しました。

 共産党の山添拓議員は討論で、改定案は憲法審査会を開く呼び水として提出されたもの」「現行法は資金力の多寡に左右される有料広告、最低投票率、公務員の投票運動などの問題があり、主権者国民の意思表明であるべき国民投票として根本的な欠陥をもつ」と指摘し、こうした根本問題を放置したまま、「『公選法並びの7項目のみの改定案を採決することは許されないと強調しました。
 NHKによれば、10日の議院運営委員会の理事会で取り扱いを協議した結果、11日の本会議で採決することで合意しました。
 この改定案は、最近になって立民党が、附則に「施行後3年を目途に、投票の広告規制などについて法制上の措置を講じる」と盛り込む修正案が通れば採決に応じるとして、突如、立民党の安住国対委員長が自民の森山国対委員長と手を握ったのでした。驚くべき豹変です。
 3年先には本当に適正な広告規制等が行われるかの保障はゼロのままでここに至りました。
 共産党の志位委員長は、記者会見で「国民投票法の改正案を成立させることは、自民党が言っているように、改憲に向けた第一歩になる。そのため、われわれは強く反対を貫いた。きょうの参議院憲法審査会で採決が強行されたことに強く抗議をしたい」と述べました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国民投票法改定案可決
参院憲法審 共産党反対「改憲策動終わらせる」
                       しんぶん赤旗 2021年6月10日
山添議員が討論
 参院憲法審査会は9日、改憲手続きの国民投票法改定案を採決し、賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
 日本共産党の山添拓議員は討論で、改定案は安倍晋三前首相が2017年5月3日以来、9条に自衛隊を明記する改憲を進めようとするなかで、憲法審査会を開く「呼び水」として提出されたものだと指摘。「安倍改憲」に反対する世論が広がり、安倍氏の思惑通りに進まなかったにもかかわらず、菅義偉首相が改定案を、改憲議論を進める「最初の一歩」と述べ、「安倍改憲」を引き継ぎ進めようとしていることは重大だと批判しました。
 また、現行法は資金力の多寡に左右される有料広告、最低投票率、公務員の投票運動などの問題があり「主権者国民の意思表明であるべき国民投票として根本的な欠陥をもつ」と指摘し、こうした根本問題を放置したまま、「公選法並び」の7項目のみの改定案を採決することは許されないと強調しました。
 山添氏は、改定案の採決を機に改憲論議を進めることは断じて許されないと述べ、「安倍・菅政権による改憲策動に終止符を打つ」と表明しました。


国民投票法改正案 参院憲法審査会が賛成多数で可決 近く成立へ
                     NHK NEWS WEB 2021年6月9日
憲法改正の国民投票で、商業施設に投票所を設けることなどを柱とした国民投票法改正案は、参議院憲法審査会で採決が行われ、自民・公明両党と立憲民主党などの賛成多数で可決されました。改正案は近く、参議院本会議で可決・成立する見通しです。
国民投票法の改正案は、公職選挙法に合わせて国民投票も事前に決められた投票所以外でも投票可能な「共通投票所」を、駅の構内やショッピングセンターなどに設置できるようにすることなどが盛り込まれています。
また、衆議院での審議で、立憲民主党の提案に沿って、投票の広告規制などについて「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」と付則に盛り込む修正が行われました。
9日の参議院憲法審査会では、改正案の質疑に続いて採決が行われ、自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されました。
共産党は憲法改正につながる法改正は認められないなどとして、反対しました。
改正案は、近く開かれる参議院本会議で可決される運びで、提出からおよそ3年で成立する見通しとなりました。

自民 石井参院幹事長代理「憲法のあるべき姿も議論を」
与党側の筆頭幹事を務める自民党の石井参議院幹事長代理は、記者団に対し「3年がかりの法案に成立のめどがつき、ほっとしていると同時に、今後も緊張感を持って取り組みたいという思いだ。憲法の施行から74年がたっているので、憲法のあるべき姿についても、しっかり議論する環境づくりをしていくべきだ」と述べました。

立民 那谷屋氏「国民投票法を完璧な形にすることが最優先」
野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の那谷屋正義氏は「CM規制を含め、改正案の付則に盛り込まれた部分について、今後しっかり議論をしていかなければ、公正公平な国民投票法にはならない。憲法改正を急ぐ人がいるだろうが、まず国民投票法を完璧な形にすることが最優先だ」と述べました。

共産 志位委員長「採決強行に強く抗議」
共産党の志位委員長は、記者会見で「国民投票法の改正案を成立させることは、自民党が言っているように、改憲に向けた第一歩になる。そのため、われわれは強く反対を貫いた。きょうの参議院憲法審査会で採決が強行されたことに強く抗議をしたい」と述べました。


改憲手続法修正案、参議院憲法審査会で可決
「とにかくくやしい。」
                       レイバーネット日本 2021-06-10
6月9日参議院憲法審査会が開催され、改憲手続法(国民投票法)修正案(衆議院原案)が、自民、公明、立憲民主、維新、国民民主の賛成で可決した。この過程で日本維新の会が、「立憲民主党の修正案に関する」ということで、「(今後3年間)日本国憲法の改正案の原案の審査を妨げると解してはならない」という修正案を提出した。これに対して、立民、国民は原案(衆議院案)賛成、維新案反対で討論、共産は原案も維新案も反対で討論した。結果、維新案は少数否決された。

散会後、傍聴者を中心に報告集会が参議院面会所で行われた。以下、発言者の主な言葉である。
福島瑞穂さん(社民党・参議院議員):「はりさける、こんなことですむのか。これから改憲の動きがすすむことを恐れている。怒りだけではだめで、がんばりましょう。」
山添拓さん(共産党・参議院議員):「大勢の傍聴者が力になった。これまで改憲を許してこなかった。菅首相をして、(改憲が)難しいと言わざるをえないという状況を作ってきた」
大江京子さん(弁護士):「この間『改憲問題対策法律家6団体』で要請してきた。衆議院はひどかったけど、参議院でずいぶん雰囲気が変わった。簡単に改憲を許さない取り組みを市民でさらに作っていきましょう」
高田健さん(総がかり行動実行委員会):「私は、2017年に安倍4項目改憲案を見て本当に危機感を感じた。今は、そこにもどった感じがする。修正案はまだ通ったわけではない。11日に本会議にかけらえる予定。私たちは、11日12時(正午)から衆議院第2議員会館前で集会をやります。」

参議院での改憲手続法修正案質疑は3回(うち参考人質疑が1回)であった。非常に少ない。これで、改憲手続法の問題点を洗い出すことができるわけがない。ただ、参議院の審議の中で自民党と立憲民主党の思惑が全く違うことが明らかになった。つまり自民は次のステージは改憲、立憲民主はCM規制等の議論が先という風に。改憲を許すか否かという論点はまだ維持されている。(湯本雅典)