2021年6月21日月曜日

通常国会 共闘・世論が政治動かす(1)(2)(しんぶん赤旗)

 通常国会が16日に閉会しました。しんぶん赤旗が、通常国会で菅政権が目指した反国民的政治と、それに対抗してきた共産党と野党の活動について、テーマ毎に総括する連載記事を始めました。

 1回目は新型コロナ感染対策と五輪開催の是非の問題、2回目は医療破壊の問題を取り上げました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
通常国会 共闘・世論が政治動かす(1)
五輪開催の是非 大争点に
                       しんぶん赤旗 2021年6月18日
 通常国会が16日に閉会しました。新型コロナ危機が深刻化するもと、国民の命と暮らしを守るために政治が果たす役割が根本から問われる国会となりました。コロナ禍で、国民の声に応える政治をどうつくるか―。都議選、総選挙で示される一票一票に、その行方が託されています。
 「オリンピック開催で新たな感染拡大の波が起これば、亡くなる人が増える。そうまでして開催しなければならない理由は何か」―。日本共産党の志位和夫委員長は、党首討論(9日)でこうただしましたが、菅義偉首相は答えることができませんでした。
 政府は、9都道府県での緊急事態宣言を解除し、そのうち7都道府県を「まん延防止等重点措置」に移行することを決定。飲食店を中心に営業自粛や酒類の提供制限の要請は継続します。一方で“オリパラ期間中はテレワーク実施を”などと、五輪開催のためなら国民にさらなる我慢と自粛を強いる支離滅裂な対応を続けています。
 日本共産党は志位氏が1月21日の衆院本会議で、「五輪開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだ」と先駆けて提案して以降、一貫して五輪中止を訴えてきました。感染拡大が続き、反対の世論が高まる中で、五輪開催の是非が今国会の大争点となりました。

菅政権の“人災”
 今国会は緊急事態宣言のもとで始まりました。東京では140日以上も「宣言」や「まん延防止」が続いています。深刻な状況は菅政権の招いた“人災”です。
 政府は、野党の再三の指摘・警告を無視し、経済優先で「Go Toトラベル」事業に固執。首相が「切り札」とする日本のワクチン接種数は世界111位、PCR検査数は140位と大きく遅れています。菅政権のコロナ対応の失敗は明白です。
 そんな中で、日本共産党は政府に対する建設的な提案を繰り返し行ってきました。
 3月16日の参院予算委員会の中央公聴会では、小池晃書記局長が、コロナ封じ込めのための大規模検査を求める緊急要請(同月12日に発表)を示して質問。政府分科会の尾身茂会長は、検査の大幅拡大を求める党の要請をすべて肯定しました。5月20日には、安全・迅速なワクチン接種、大規模検査、十分な補償を3本柱とする緊急要請も発表しました。
 また、野党としては日本共産党、立憲民主党の共同で総額36兆円の予算組み替え動議を提出し、持続化給付金や家賃支援給付金など事業者への支援、辺野古新基地建設費などを削減し、コロナ対策にまわす抜本的な提起を行いました。

「第5波」指摘も
 東京の緊急事態宣言が20日に解除となる中で、菅首相は五輪強行の姿勢を崩していません。しかし、専門家からは「第5波」の指摘も上がっています。
 政治の決断で五輪中止は可能です。五輪を中止し、コロナ収束に全力をあげる政治が求められています。東京都議選はその大きな審判の場となります。(つづく)


通常国会 共闘・世論が政治動かす(2)
医療破壊を止めよう
                        しんぶん赤旗 2021年6月20日
 新型コロナウイルスのまん延で医療体制が逼迫(ひっぱく)し、入院できず自宅療養中に亡くなる人が相次いでいます。ところが菅政権は、脆弱(ぜいじゃく)な医療体制の立て直しを行うどころか「病床削減推進法」と「高齢者医療費2倍化法」の成立を強行。医療提供体制の縮小・再編、負担増による医療からの患者閉め出しを狙っています。

病床削減を加速
 二大悪法の問題点は国会論戦を通じて明らかです。政府は2023年度からの医師養成数の削減を狙い、推進法で過労死ラインの2倍近い長時間労働を容認。病床削減・統廃合の財政支援を法制化し、病床削減を進める地域医療構想、436の公立・公的病院に検討を迫った再編統合の推進に固執しています。
 特に、コロナ禍で病床逼迫が深刻な東京では、リストで名指しされた公立・公的病院が都心や多摩地域、島しょ部に計9カ所もあります。小池百合子都知事も都立・公社病院の独立行政法人化を狙うなど、医療への公的責任を後退させていく政策は国と一緒です。
 野党は国会論戦で、コロナ禍を教訓に病院名リストの撤回や見直しを行うよう何度も追及。医師・看護師らの抜本的増員こそが必要であることも浮き彫りになりました。

「公助」切り捨て
 2倍化法の論戦でも、受診控えの影響を軽視し、命・健康を脅かす菅自公政権の冷酷さが鮮明になりました。
 野党は、政府が2割負担対象者は「負担能力がある」と言いながら、受診控えが起こると見込んでいた問題を追及。日本共産党の宮本徹衆院議員の質問に、政府は年1050億円(25年度)の受診控えが起きると認め、病気の早期発見・早期治療を困難にして健康悪化につながる実態が明瞭になりました。
 「現役世代の負担軽減」を強調しながら、実際の軽減額は1人あたり月33円(同)にすぎず、公費は年約1200億円も削減される実態にも批判が集中。「公助」切り捨てのための法律であることが示されました。
 国民が切実に求めているのは、医療破壊ではなくコロナ収束への対策です。命を守る「ケア」に手厚い政治への転換こそ必要です。
 二つの医療破壊法に対するたたかいは、これからがいっそう重要です。2倍化法による75歳以上への窓口2割負担(現行1割)の導入は来年10月以降であり、病床削減・統廃合の財政支援の利用は、自治体などが決めることです。7月の東京都議選と秋までに行われる総選挙で自民・公明などに審判を下し、医療破壊の実施を止めさせることが必要です。(つづく)