2021年6月22日火曜日

「裏で大金を渡し招致を決めたとトップの方が自慢した」 宮本亞門氏が告白

 東京五輪の招致理由の一つに、既設の施設を最大限に利用して最小限の費用で開催できるというのがあり、当初は総額7340億円と見積もられていました。今から思うとまさに夢のような話です。

 それが20年12月22日の時点で大会組織委が公表した予算額は1兆6440億円に膨らみました。当初予算の2倍以上ですが、会計検査院は、19年12月に「国はすでに関連経費を含めて1兆600億円を支出した」と指摘し、都も20年1月に「関連経費は7770億円」と発表しているので、それらの額を合わせると、大会経費は3兆円を超えます(朝日新聞20年12月22日)。驚くほど杜撰な計画・・・というよりも杜撰な運用です。
 ところで演出家の宮本亞門氏は、五輪組織委が主催するイベントでモデレーターを務めたりコンサートの企画・構成を手掛けるなど東京大会の開催に協力し組織委の「内部」も知る人なのですが、日刊ゲンダイが行ったインタビューで、「東京の招致決定後、あるトップの方とお会いした時、招致が決まった会場で、裏でいかに大金の現金を札束で渡して招致を決めたか、自慢げに話してくれたのです。驚いた私はそれ本当の話ですか?と言ったら笑われました」と語っています
 LITERAが取り上げました。LITERAは、「トップ」というの“五輪のドン”森喜朗・前組織委会長か、安倍晋三・前首相か、当時の猪瀬直樹・東京都知事か、大会組織委の竹田恒和・前会長かだろうと推測し、いずれにせよ「招致買収」は自慢げに話すほどに内部では「公然の秘密」となっていたのだとしています。
 これに関連して、森喜朗氏がブラックボックスと呼ばれる嘉納治五郎財団を創設し、後日買収の話がでると直ぐにそれを解散させたり、買収資金と見られる4~5億円を具体的にセガサミーホールディングスの里見治会長に依頼してのは当時官房長官だった菅首相であるという話などが流れています。
 宮本氏は「五輪は美辞麗句を盾にした、生半可じゃない利権だらけの集合体だった」と述べたということです。その頂点に鎮座しているのがIOCであることはいまや衆知の事実となりましたが・・・ 。
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東京五輪への勇気ある批判を続ける宮本亞門が衝撃告白!
「トップの方が裏で大金を渡し招致を決めたと自慢げに話してくれた」
                             LITERA 2021.06.21
 ついに政府や東京五輪組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)が国民の不安を徹底的に無視することを高らかに掲げた。本日おこなわれた5者協議で東京五輪を上限1万人の有観客で開催することを決定、開会式にいたっては2万人規模の観客を入れることを容認する考えを打ち出したからだ。
 ウガンダ共和国選手団から陽性者が出たにもかかわらず、その他の選手らにPCR検査をおこなうこともなく成田から大阪まで長距離バスで移動させた件では、政府や組織委の言う「万全の感染防止対策」のザルぶりが露呈したばかり。さらに大会開催地である東京都では「すれ違った程度で感染の可能性」が指摘されるデルタ株(インド型変異株)が拡大中。そんななかでリスクをむしろ高める有観客での開催を決定するとは、気が狂っているというほかない。
 世界的パンデミックのなかで観客を入れて開催される、大義なき五輪。いや、それどころか、東京招致をめぐる黒い疑惑にかんし、さらなる証言がここにきて飛び出した。証言をおこなったのは、演出家の宮本亞門氏だ。
 宮本氏といえば、東京五輪組織委員会が主催するイベントでモデレーターを務めたりコンサートの企画・構成を手掛けるなど東京大会の開催に協力してきた立場でもあるが、3月28日放送の『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)では「僕は日本から中止の意思を表明するべきだと思います」と表明。その後も中止すべきという意思表示をおこなってきた。
 そんな組織委の「内部」も知る宮本氏が今回、日刊ゲンダイがおこなったインタビューで、衝撃の事実を告白したのだ。
「東京の招致決定後、あるトップの方とお会いした時、招致が決まった会場で、裏でいかに大金の現金を札束で渡して招致を決めたか、自慢げに話してくれたのです。驚いた私は「それ本当の話ですか?」と言ったら笑われました。
「亞門ちゃん若いね。そんなド正直な考え方で世の中は成り立ってないよ」」
 東京招致は「裏で大金の現金を札束で渡して」決定した──。この「あるトップの方」というのが“五輪のドン”である森喜朗・前組織委会長なのか、はたまた安倍晋三・前首相なのか、あるいは当時の猪瀬直樹・東京都知事なのか、それとも日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和・前会長なのか、このインタビューでは明かされていないが、いずれにせよ「招致買収」は自慢げに話すほどに内部では「公然の秘密」となっていた、ということだ。
 そして、この宮本氏の証言は、くすぶりつづけている招致買収疑惑を裏付けるものだ。

官房長官時代の菅首相がセガサミー会長に買収資金提供を懇願!「足はつきません。国税も大丈夫」
 本サイトでは繰り返し言及してきたが、東京五輪をめぐっては招致委員会がIOCの委員だったラミン・ディアク氏の息子であるパパマッサタ・ディアク氏が関係するシンガポールの会社「ブラック・タイディングズ社」(BT社)の口座に招致決定前後の2013年7月と10月の2回に分けて合計約2億3000万円を振り込んでいたことが判明。さらに2020年9月にはBT社の口座からパパマッサタ氏名義の口座や同氏の会社の口座に2013年8月〜14年1月までに約3700万円が送金されていたことが、国際調査報道ジャーナリスト連合などの取材によって判明した。
 パパマッサタ氏の父であるラミン・ディアク氏は五輪開催地の決定においてアフリカ票の取りまとめに影響力を持つ有力委員だった。そんなラミン氏の息子・パパマッサタ氏が深くかかわると見られるBT社の口座に対し、東京への招致が決定した2013年9月7日のIOC総会の前後におこなわれていた招致委からの約2億3000万円もの送金と、招致委からの送金の直後におこなわれていたBT社からパパマッサタ氏への送金──。しかも、2019年1月にはフランス当局が招致の最高責任者だった竹田JOC会長を招致に絡む汚職にかかわった疑いがあるとして捜査を開始したことが明らかになり、フランス当局による捜査はいまも継続中だ。

 しかも、この招致買収疑惑については、さらに深い闇がある。当時、官房長官だった菅首相がセガサミーホールディングスの里見治会長にこんな依頼をしたと言われているからだ。
「アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億~5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない
嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。この財団はブラックボックスになっているから足はつきません。国税も絶対に大丈夫です」(「週刊新潮」2020年2月20日号/新潮社)
「嘉納治五郎財団」とは、森喜朗・組織委前会長が代表理事・会長を務めていた組織。この菅官房長官からの言葉を受け、里見会長は「俺が3億〜4億、知り合いの社長が1億円用意して財団に入れた」「菅長官は、『これでアフリカ票を持ってこられます』と喜んでいたよ」と語っていた、というのだ。

 なんとも衝撃的な証言だが、しかもこれは“酒席でのホラ話”ではなかった。というのも、「週刊新潮」の取材に対し、セガサミー広報部は「当社よりスポーツの発展、振興を目的に一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターへの寄付実績がございます」と嘉納治五郎財団への寄付の事実を認め、さらに「週刊新潮」2020年3月5日号では嘉納治五郎財団の決算報告書を独自入手し、2012年から13年にかけて2億円も寄付金収入が増えていることを確認。関係者は「その2億円は里見会長が寄付したものでしょう」と語っている。
 もし、里見会長に買収のための資金提供を依頼していたのが事実ならば、菅首相は官房長官という国の中枢の要職に就きながら五輪の招致を金で買うというとんでもない悪事に手を染めていたという世界を揺るがす一大スキャンダルだ。しかし、フランス当局が捜査に乗り出すという異常事態に陥っているにもかかわらず、とくにテレビではこの買収疑惑が掘り下げられることもなく、いまに至っているのだ。
 東京に招致が決まった黒い内幕を聞かされた宮本氏は、「それからです、透明性のない現実の恐ろしさを知ったのは」「五輪は美辞麗句を盾にした、生半可じゃない利権だらけの集合体だったのです」と述べているのだが、こうしてその「利権集合体」はいま、臭い物に蓋をしつづけ、ついには世界的パンデミック下で“金で買われた五輪”を強行開催しようとしているのである。その闇を垣間見た宮本氏は、だからこそ、この現実を前に、「このパンデミック禍でなぜ今、五輪をやらなければいけないのですか?」と声をあげているのだろう。

宮本亞門「何ということに加担してしまったんだと罪悪感にさいなまれました」
 しかも、宮本氏がここまで踏み込んで東京五輪に「反対」を唱えているのは、この五輪に自分が関与してしまったことに大きな罪悪感を抱いているためだ。
実際、5月7日・8日に東京新聞ウェブ版で配信されたインタビューで宮本氏は、「平和や平等を掲げる五輪精神と、正反対の事実が進行している。大会は中止すべきだ」と中止を訴えただけではなく、こうも語っていた。
「IOCや政府の利己的な考えは、「他人のことを思う」という利他的な精神と正反対。国民はその間で心が引き裂かれています」
「2013年の招致決定当初、「世界一お金がかからない五輪」や「復興五輪」といった発言を信じようとした。これだけ政府が断言するのだから、と。17年には大会の公式イベントの演出を引き受けた。しかし大会経費は倍以上に膨れ上がり、福島第一原発事故の後処理も進まない、全て誘致のための架空のものだった。悲惨な現実を見て「何ということに加担してしまったんだ」と罪悪感にさいなまれました」
 まさに宮本氏の言うとおりだろう。放映権料欲しさに日本に開催を迫るIOC、政権浮揚のために五輪開催にこだわり、この状況下で観客を入れるとまで言い出した菅首相、どちらも日本国民の生命を守ることなどつゆほども考えていないからだ。
「コンパクト五輪」などというのもまったくの嘘で、2013年の招致時は7300億円としていた大会経費は、コロナ感染の始まってない2019年末の段階で1兆3500億円、そしてコロナによる延期で1兆6400億円と、完全に倍増。国の負担もさらに増えて、コロナ対策をあれだけケチりながら、五輪には今年度予算と昨年度の第3次補正予算で1410億円を計上している。
 ようするに、宮本氏はこうした政府のインチキ、国民の命の軽視を目の当たりにして、「何ということに加担してしまったんだ」と罪悪感を吐露したのである。
 本来、罪悪感にさいなまれるべきは菅首相や組織委、IOCのはずだが、連中はなんの痛痒も感じていない。有観客による強行開催を押し切ろうとするこの「利権集合体」にとっては、市民の命などおかまいなし、虫けら同然なのだろう。
 だが、もっと問題なのは、宮本氏も前出・日刊ゲンダイのインタビューで心配していたように、虫けら扱いされている私たち市民の側が、このまま諦観してしまうことだ。
 この国では、安倍・菅政権による“国民へのネグレクト”と言っていい強権政治がつづいてきた結果、「政府に何を言っても無駄」という諦めが当然のことのようになりつつある。そしていま、多くの命を危険に晒しかねない東京五輪の強行開催を看過してしまったら、その諦めは決定的なものになるだろう。この国は、いよいよ民主主義を諦めてしまうのではないか──宮本氏はそれを懸念し、こうやって「反対」の声をあげているのである。
 招致買収に踏み込むなど、宮本氏の覚悟は相当なものだ。この勇気を無駄にしないためにも、菅首相や組織委、IOCに「命をないがしろにするな」と声をあげつづけていかなくてはならない。 (編集部)