2021年6月16日水曜日

土地利用規制法が参院で可決・成立

 基地や原発などの施設周辺の土地利用を規制する土地利用規制法が16日未明、参院本会議で採決が行われ、共産党と立民党が反対する中、自民・公明両党、維新の会、国民党などの賛成多数で可決・成立しました。

 安倍政権下で特定秘密保護法や共謀罪法など戦前の治安維持法に繋がる一連の悪法が成立しましたが、この土地利用規制法は「戦前の要塞地帯法をさらに広く無限定的に適用できるようにした悪法」と言われ、それらに並ぶものです。

 それに先立って14日の参院内閣委員会で行われた参考人質疑では、防衛ジャーナリストの半田滋氏は、「政府が必要だと認めるとき土地利用者から報告または資料の提出を求めることができるとし、重要施設の近くに住むだけで個人情報が丸ごと政府に収集される」と同法案の危険性を強調し、弁護士の馬奈木厳太郎氏は、同法案は「『等』や『その他』の表現で幅を持たせ、何より『内閣総理大臣』という主語が28カ条の条文に33回も出ていて、政権に権限を与える行政命令のような内容だ」とそれぞれ厳しく批判しました。
 それが実施されるわけです。
 しんぶん赤旗とNHKのニュース記事を紹介します。
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個人情報 丸ごと収集 土地規制法案 参考人が危険指摘
                       しんぶん赤旗 2021年6月15日
参院委 山添氏質問
 基地周辺や国境離島の住民、土地利用者を監視し、機能阻害のおそれがあれば土地の利用中止を命じ、応じなければ刑事罰を科すとする土地利用規制法案についての参考人質疑が14日、参院内閣委員会で行われ、日本共産党からは山添拓議員が質問に立ちました。
 防衛ジャーナリストの半田滋氏は、地方自治体などに土地利用者の氏名、住所、「その他の政令」で定める情報の提供を求めることができるが、「その他」が何かは法制定後の政令までわからず曖昧だと指摘。政府が必要だと認めるとき土地利用者から報告または資料の提出を求めることができるとし、重要施設の近くに住むだけで個人情報が丸ごと政府に収集される、と同法案の危険性を強調しました。
 また、弁護士の馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう)氏は、同法案は「『等』や『その他』の表現で幅を持たせている。何より『内閣総理大臣』という主語が圧倒的に多く、28カ条の条文に33回も出てくる」と述べ、同法案は「国民の権利を保障するのでなく政権に権限を与える行政命令のような内容だ」と厳しく批判しました。

 山添議員は同法案の区域指定、処罰対象、調査の主体、客体などが際限なく広がることが想定されることについて質問。同法案に賛成の立場の東京財団政策研究所研究員の吉原祥子氏も「一般論としてありうる」と可能性を認め、「歯止めを考えないといけない」と述べました。馬奈木氏は「戦前の要塞(ようさい)地帯法でさえ、何が処罰対象かを条文に規定していた。いったん法案ができてしまえば簡単に変えることはできない」と語気を強め、「今なら間に合う」と同法案の廃案を訴えました。


重要施設周辺などの土地利用を規制する法律 参院で可決・成立
                     NHK NEWS WEB 2021年6月16日
自衛隊の基地や原子力発電所など、安全保障上重要な施設の周辺などの土地利用を規制する法律は、16日未明参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
この法律は、自衛隊の基地や原子力発電所といった、安全保障上重要な施設の周辺や国境に近い離島を「注視区域」や「特別注視区域」に指定し、利用を規制するもので、「特別注視区域」では土地や建物の売買の際に事前に氏名や国籍の届け出などを義務づけています。
15日夜開かれた参議院内閣委員会で、法案が可決されたのに続き、日付が変わって、16日未明に参議院本会議でも採決が行われた結果、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
一方、立憲民主党と共産党は「私権の制限につながる内容が盛り込まれるなど、問題点が多い」として、反対しました

成立した法律の内容は
安全保障上、重要な施設周辺などの土地利用を規制する法律では、自衛隊の基地や原子力発電所といった重要インフラ施設のおおむね1キロの範囲、それに国境に近い離島などを「注視区域」に指定し、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査できるとしています。
このうち、司令部の機能がある自衛隊の基地周辺や国境に近い無人島など、特に重要性が高い区域を「特別注視区域」と定め、一定以上の面積の土地などを売買する際には、氏名や国籍などを事前に届け出ることを義務づけています。
これらの区域から、電波による妨害行為などが確認された場合、国が土地や建物の利用中止を命令できるとしていて、違反した場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科されるとしています。
一方、区域の指定にあたっては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、必要最小限度にしなければならないとしています。
これまでの審議で、政府は、500か所以上の防衛関係施設の周辺などが、規制の検討対象になると説明しています。