2021年6月9日水曜日

小池書記局長 首相に五輪中止を迫る コロナ変異株内外に拡大 バブルに大穴と

 共産党の小池晃書記局長は7日の参院決算委、「このままでは東京五輪の開催が国内あるいは世界に新型コロナウイルスの変異株を感染を広げてしまう危険がある」と、菅首相に五輪中止の決断を迫りました。菅首相は「国民の命や健康を守ることが大前提だ」を繰り返すだけで、小池氏が具体的に示した危険性については何一つ答えることが出来ませんでした。

 菅首相に対し、五輪開催の可否について「国民が納得する基準を示すべきだ」と迫りましたが、首相は答弁に立たず基準を示せませんでした。小池氏は「分科会に諮問し、専門家の意見を聞くべきだ「なぜ、五輪開催という大事な問題では諮問しないのか」と迫りましたが、首相は都合の悪い意見が出てくることを怖れて応じようとしませんでした。
 また「五輪を開催すれば入国者は今の5倍以上になる。変異株によって感染が持ち込まれる危険がある」と指摘したのに対して、田村厚労相「頻繁に検査をする」と述べました。しかし現行でも「検疫での検査をすり抜けて、変異株が入ってきている。水際では、明らかに『水漏れ』が起きている」と迫りました。
 また来日するIOC委員など「五輪ファミリー」の送迎のために2700台の車両を確保し、日本人を運転手として動員する計画について、24時間体制を取っている理由や運転手公共の交通機関を使って通勤することで「運転手の安全は守られるのか」と追及しましたが、的確な答弁は得られず、丸川五輪相は「検査の頻度、ワクチンの接種は検討している」と答弁しました。しかしそれでは7月10日の業務開始に間に合いません。
 政府が「バブル」で選手を守ると豪語していることについても、「五輪に関わる日本人を守る仕組みを検討していない。バブルに大穴があいている」と批判しました。
 結局、東京五輪の安全を確信できる説明は皆無でした。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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五輪中止 首相に決断迫る 変異株 内外に拡大
水際で水漏れ バブルに大穴 小池書記局長が追及
                          しんぶん赤旗 2021年6月8日
参院決算委
 日本共産党の小池晃書記局長は7日の参院決算委員会で、東京五輪の開催が新型コロナウイルスの変異株を拡大させる危険性を指摘し、「このままでは国内あるいは世界に感染を広げてしまう危険がある」と五輪中止の決断を迫りました。菅義偉首相は「国民の命や健康を守ることが大前提だ」を繰り返すだけで、小池氏が具体的に示した危険性については何一つ答えられませんでした。(論戦ハイライト下掲

 小池氏が五輪開催のリスクについてただすと、政府分科会の尾身茂会長は「リスクをどう低減できるか選択肢も含めてやることはわれわれの責務だ」と答弁。これを受けて、小池氏は、国民はいくら「安全安心の大会だ」と言われてもリスク評価が分からなければ安心できないとして、菅首相に「政府分科会に諮問して意見を聞くべきだ」と迫りました
 ところが、菅首相は「分科会は感染状況について対応するところ」と述べるだけ。小池氏は「都合の悪い意見には耳を傾けようとしない」と厳しく批判しました。
 その上で小池氏は、英国で見つかった変異株(アルファ株)に加え、インドで見つかった変異株(デルタ株)が新たに広がる危険性を指摘。デルタ株PCR検査はまだ試行段階で、今年2~4月は外国人の入国者は1カ月で2万人以下なのに、陽性者が急増しているとして、「デルタ株の感染力はこれまでの2倍以上だといわれている。五輪を開催すれば入国者は今の5倍以上になり、しかも水際対策は緩和される。変異株によって感染爆発の危険があるのではないか」とただしました。
 田村憲久厚労相は「入国前にPCR検査をやり、国内に入ってからも検査をやる」と答弁。小池氏は、デルタ株が確認されてからの7週間では、入国前にPCR検査を受けているにもかかわらず、インドとネパールからの入国者6200人のうち陽性者が230人にのぼり、180人からデルタ株が確認されていると指摘。しかも「外出自粛中」の発症例が10件以上、無症状者を含めればさらに多い可能性もあるとして、「水際で、明らかに水漏れが起きていると批判しました。

 さらに、小池氏は、五輪選手や大会関係者を外部と遮断する「バブル方式」にも問題があると指摘。IOC(国際オリンピック委員会)の委員など「五輪ファミリー」の送迎のため確保される車両は24時間体制で運行させるうえ、日本人運転手にはワクチン接種やPCR検査もなく公共交通機関を使って通勤することなどを挙げ、「遮断などされていない」とただしました。
 菅首相は「徹底した対策を行うと報告を受けている」と答弁。小池氏は「30万人の日本人が五輪業務にかかわるのに、こういう人たちを守る仕組みが全く検討されていない。バブルに大穴があいている。それこそバブルは“泡”と消える」と述べ、五輪中止を重ねて主張しました。


論戦ハイライト
五輪開催強行は無責任 参院決算委 小池書記局長の質問
                        しんぶん赤旗 2021年6月8日
 「水際では、明らかに水漏れ」「バブルには大穴」―。日本共産党の小池晃書記局長は7日の参院決算委員会で、東京五輪開催による新型コロナウイルス変異株拡大の危険を取り上げ、五輪中止を求めました。また、コロナ禍で広がる格差拡大を是正するための富裕層課税を提案。富裕層と大企業に応分の負担を求めるよう主張しました。

リスク評価
小池「開催の是非、分科会に諮問を」
首相「西村・尾身氏で連絡を取り合っている」
小池「今からでも諮問すべきだ」
 小池氏は、東京五輪・パラリンピックをめぐり、同日、「国民の命と健康を守れなければやらない」と答弁した菅義偉首相に対し、開催の可否について「国民が納得する基準を示すべきだ」と迫りました
 菅首相は答弁に立たず、基準を示しませんでした。西村康稔経済再生担当相は「人流や重症者数がどうなるか、ワクチン接種の影響などの分析を進めている」としつつ、「さまざまな対策により感染を抑えていくことを示したい」と、開催ありきの姿勢でした。
 小池氏は「感染拡大の危険がどれだけあるか、医療にどれだけ負荷をかけるかのリスク(危険性)をきちんと国民に示す必要がある」と指摘。五輪に関する既存の会議体は大会推進が前提で、リスク評価を目的としていないとして、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)に開催の是非を諮るよう求めました。
 小池 分科会に諮問し、専門家の意見を聞くべきだ。
 首相 西村担当相と尾身会長が連絡を取り合っている。
 小池氏は、必要なのは西村、尾身両氏の個人的な意見交換ではないと強調。緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」を発令する際は必ず分科会で専門家の意見を聞き、首相会見には尾身氏を同席させて回答に詰まった際に再三助けを求めてきたと述べ、「なぜ、五輪開催という大事な問題では諮問しないのか」と重ねて迫りました。
 小池 正式に諮問すると、政府に都合の悪い意見が出てくるからだと見られても仕方がない。今からでも諮問すべきだ。
 首相 西村担当相と尾身会長で連携している。分科会は感染状況について対応するところだ。
 小池氏は「五輪は感染状況を踏まえて判断する最大テーマだ。耳の痛いことは言われたくないとしか思えない」と批判しました。

水際対策
小池「すでに入国始まっている」
厚労相「入国前に検査をやり、国内に入ってからも」
小池「すり抜けて変異株が入っている。水際では『水漏れ』起きている」
 小池 もうすでに入国が始まっている。こういう状態で外国から10万人を新たに迎えるのは大変危険だ。
 小池氏は入国者数と、検疫での新型コロナ陽性者数の関係について、入国者数が増えると陽性者数も増加すると解説。「4月頃から、入国者はそれほど増えていないのに、陽性者が増えている。これはデルタ株の影響もあるのかもしれない」と主張しました。
 小池 五輪を開催すれば入国者は今の5倍以上になる。変異株によって感染が持ち込まれる危険がある。
 田村憲久厚労相 入国の前にPCR検査をやり、国内に入ってからも検査する。
 小池氏は、インドとネパールの入国者が、出国前にPCR検査を受けている人でも日本入国時の検疫で陽性者がいることや、入国後、外出自粛中に発症した事例も各地で報告されていると主張し、「インドなどだけでなく、世界中から変異株が入ってくる危険がある」と指摘しました。
 「頻繁に検査をする」と豪語する田村厚労相に対し、小池氏は「検疫での検査をすり抜けて、変異株が入ってきている。水際では、明らかに『水漏れ』が起きている」と迫りました。

五輪ファミリーの送迎車2700台
日本人を運転手に動員 検査・ワクチン間に合わず
 小池氏は、選手や大会関係者らを外部と遮断する「バブル方式」の問題点について追及しました。
 小池氏は、来日するIOC(国際オリンピック委員会)委員など「五輪ファミリー」の送迎のために2700台の車両を確保し、日本人を運転手として動員する計画だと指摘。勤務時間は午前7時から午後10時までと、午後10時から翌朝の午前8時までの夜間運行があるとして、次のように迫りました。
 小池 国民には「夜間外出をやめなさい」「8時になれば帰りなさい」といいながら、五輪ファミリーには夜中に車を提供するのか。
 丸川珠代五輪担当相 競技は10時まである。競技の内容によって延長もある。
 小池 夜10時までならそこまででいいではないか。なぜ24時間体制か
 小池氏は、運転手の感染対策が会話の制限や運転席と乗客間に間仕切りを付ける程度で、ワクチン接種やPCR検査も計画も示されず、運転手は公共の交通機関を使って通勤すると指摘。「これで運転手の安全は守られるのか」と追及しました。丸川氏が「検査の頻度、ワクチンの接種は検討している」と答弁すると、小池氏は「7月10日から業務が行われる。全く間に合わない」と批判しました。
 小池 「国民の健康が前提」と言っているが、これでは五輪ファミリーの健康と利便のためにやっているとしか見えない。
 首相 外国の関係者は徹底した対策を行う。日本に来てから3日連続、毎日検査する。
 小池 3日以降も毎日検査するのは選手だけだ。オリンピックに関わる日本人を守る仕組みを検討していない。バブルに大穴があいている。それこそ、泡(バブル)と消えるのではないか。
 小池氏は「非常に大きなリスクがある。オリンピックは中止すべきだ」と強調しました。

コロナ禍の格差拡大
小池氏「金融所得課税で格差是正を」
財務相「所得の分配を考えなければ」
           (後 略)