13日付の現代ビジネスに極めて短い記事が載りました。.
5月27日夕刻の官邸入口での首相ぶら下がり取材で、NHK記者が最初に口火を切り「あす専門家に諮るのは緊急事態宣言の延長ということか」と尋ねましたが、首相は再延長には触れませんでした。
その後質問が一巡したので、最後に再びNHK記者が「宣言解除もあり得るのか」と聞きましたが、首相は「専門家の皆さんにお諮りする」と繰り返しただけで立ち去りました。
ところがなんとそのあと首相秘書官の高羽某がつかつかと戻ってきて、NHKの記者を呼び、「更問(=複数回質問すること)はダメだって言ってるだろ! ふざけるな!」と怒鳴りつけたのでした。このぶら下がり会見には報道各社は新人記者を充てるのだそうですが、若い人が相手だからと言ってこんな無茶苦茶な罵倒はあり得ないことです。
記事は高羽某が、内閣の支持率が低下していることに苛立っていたことの顕れと結んでいますが、まさに「理不尽」の一語に尽きます。
相手が質問に答えない あるいは答えに納得出来ないときに聞き直すのは当たり前のことです。それなのに「更問いはダメ」などという“決まり”を作るとは「絶句」もので、先進国では他に例がないのではないでしょうか。
菅氏自身がそうした“決まり”を主導した可能性は大いにありますが、そんな中で内閣官房長官以降8年以上も過ごした結果が、質問に答えられない、会話ができないと言われるいまの首相を作り出したのでした。
そうした恐るべき「文化」の中にいて、それに何等の違和感も持たないでいることがあの秘書官による「罵倒」に繋がったのでしょう。逆に、そういう「無感覚さ」を持たないことには到底首相秘書官にはなれないし、またなっても務まらないという関係と思われます。
官邸の「異常な文化」、恐るべしです。
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菅総理の側近がNHK記者に「ふざけるな!」とブチギレ…一体、何に怒ったのか?
現代ビジネス 2021.06.13
『週刊現代』2021年6月12・19日号
5月27日19時すぎ、菅総理が官邸エントランスでぶら下がり取材に応じた。翌日の専門家会議と緊急事態宣言再延長について、各社の総理番は一言でも引き出そうと躍起だ。NHK記者が口火を切った。
「あす専門家に諮るのは、9都道府県に出されている緊急事態宣言の延長ということでしょうか」
だが、菅総理は再延長には触れず、「緊急事態宣言、まん延防止措置、そうしたことの取り扱いについてお諮りする」とそっけない。
他社も続いて質問を浴びせ、最後に再びNHKが「宣言解除もあり得るのか」と聞いたが、総理は「専門家の皆さんにお諮りする」と合計7回も繰り返して立ち去った。結局、再延長に関しては「ゼロ回答」で、記者たちはうなだれた。
あたりが騒然となったのはその直後だ。菅総理が去った後、外務省出身の首相秘書官・高羽陽氏がつかつかと戻ってきた。そしてNHKの記者を呼び、「更問(=複数回質問すること)はダメだって言ってるだろ! ふざけるな!」と怒鳴りつけたのである。
NHKの質問は常識的な内容だった。なぜ高羽氏はキレたのか。全国紙政治部デスクが言う。
「放送行政を牛耳ってきた菅総理は『NHKが俺の言うことを聞くのは当たり前』という感覚でいる。官房長官秘書官も務め、長年菅氏に仕えてきた高羽氏も同じ。支持率低下で苛立ち、本音が表に出たんでしょう」
衆人環視の中、側近が思わず大声を出してしまうほど菅政権は追い込まれているということか。
『週刊現代』2021年6月12・19日号より