2021年6月9日水曜日

自分の言葉で語ることなし 小池書記局長、首相答弁を批判

 安倍前首相とその母 安倍洋子氏から全幅の信頼を寄せられ、NHK政治部副部長に就いていた岩田明子氏は、6月の異動で部下のいない解説委員になり、ネットワーク報道部の記者主幹を兼ねることになりました。ネットワーク報道部は、新聞で言うと地方部のような位置づけだそうです。

 岩田氏とツルんで安倍氏に迎合してこれまで権勢を誇ってきた元政治部長は広島にトバされるということです。新部長には氏の傀儡同然の人物が就き、ナンバー2には治部から追い出されていた人物が氏に近いということでカムバックを果たしま
 これがNHKによる「菅シフト」で 何ともすさまじい話です(以上、デイリー新聞「NHK岩田明子氏が政治部から異動でショック 安倍前首相との蜜月がネックに」- 6月4日 より抜粋)
 背景には、菅首相が安倍氏に対していよいよ対決姿勢に転じたという事情があります。
 キングメーカーを気取る安倍氏が、次期政権の候補者として自分を射程外にしていることに我慢が出来なくなり、ついに腹を括ったのでした。仮にそうだとしても、菅首相にここまで浅はかに迎合するNHKはどうしようもありません。メディアとしての矜持は皆無です。
 因みに菅氏の不興を買ったNHKの有馬キャスターは、6月の人事異動でパリにあるヨーロッパ副総局長(新設)に就くことになりました。

 自分の権力の維持のためにはここまで機敏に且つあざとく対応できる菅氏ですが、肝心の「政治」における「姿勢」はどうなのでしょうか。
 菅氏の「会話の能力」「国語力」のなさは衆知の通りで、「まるこ姫」や「くろねこの短語」氏が豊富な語彙で述べている通りです。
 共産党の小池晃書記局長7日、参院決算委での自身の質問に対する菅首相の答弁について、自分の言葉で語ることが今日もなかった」「同義反復で全く答弁になっていない」、「説得力ある話はついぞ聞かれなかった」と酷評しました。これでは質疑応答の成り立ちようがありません。安倍首相の不毛の8年弱に続いて、それに勝るとも劣らない不毛がさらに継続されようとしています。
 ところで記者会見の際に指名されなかったメディア書面で質問を送ることが認められていますが、文書回答であれば多少はマシになるのでしょうか。
 日刊ゲンダイが実際に書類で質問を出した結果について報じています。同紙は菅氏の無内容乃至ピント外れの答弁を「スガ答弁」という意味深な呼び方をしていますが、結果的に「菅首相の “スガ化” がさらに加速!」と述べています。
 しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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自分の言葉で語ることなし 小池書記局長、首相答弁を批判
                        しんぶん赤旗 2021年6月8日
 日本共産党の小池晃書記局長は7日、国会内で記者会見し、参院決算委員会での自身の質問に対する菅義偉首相の答弁について、「自分の言葉で語ることが今日もなかった」と批判しました。
 小池氏は、菅首相が五輪・パラリンピックの開催について「国民の命と健康を守る」と繰り返しながら、明確な基準も示さず、「命を守れるかどうかが基準だ」などと語るなど、「同義反復で全く答弁になっていない」と批判。「リスク評価についても、分科会に諮問するのは当然だと追及したが、最後まで『うん』とは言わなかった」と指摘しました。
 また、政府は、「バブル方式」で感染者を包み込むと強調する一方で、現場で働く日本のボランティアや運転手などへの安全対策の計画が示されなかったと指摘。「五輪ファミリー(関係者)さえ守れば、日本人の命はどうなってもいいのかという疑念を抱いた」と語りました。
 小池氏は「五輪を開催したいという思いがあるのなら、自分の言葉で具体的なリスクや克服の方法を示す必要があるが、菅首相からそういう説得力ある話はついぞ聞かれなかった」と批判。「安全安心の大会を開くと言葉では言うが、あの答弁を聞くととても国民は安心できない」と強調しました。


菅首相の“スガ化”さらに加速! 書面質問に「スガ答弁」回答
                          日刊ゲンダイ 2021/06/07
 緊急事態宣言の再延長決定後に開かれた5月28日の首相会見。抽選で当たって参加した日刊ゲンダイの記者は、例によって指名されなかったが、当日、書面で質問を送ると、1週間も待たされた上に肝心なことには答えない。「スガ答弁」は一段とヒドくなっている――今月4日の回答はそんな内容だ。
 会見5日前のNHK日曜討論で加藤官房長官は「インド株の国内発見例は今のところそれほど多くない」と甘い認識を示していた。改めて菅首相に「同様の認識か」と問うと〈5月24日時点で、国立感染症研究所において国内45例、検疫190例が確認されており、感染状況を注視している〉と的外れの回答だ。発見例が多いかどうかの認識を聞いているのに、「注視」では話にならない。 さらに、インド株の早期発見体制確立に向けた具体的な中身とスケジュールを尋ねてみた
 スクリーニング検査は〈5月28日より、民間検査機関で開始〉、監視体制は〈ゲノム解析による強化〉、水際対策は〈指定する期間・宿泊施設での待機の対象とする〉など「中身」は示したものの、肝心の「体制の確立時期」は答えない
 記者が最も聞きたかったのは、繰り返す失敗に対する政治責任だ。もし、再延長期限の6月20日に解除できなかったら、3度目の宣言だけでも3度目の失敗だ。解除できない場合の進退を問うと、〈政府としては、引き続き、変異株への対策を強化してまいります〉と変異株対応に触れるだけ。政治責任については完全スルーだった
 菅は「国民から見て当たり前のことをする」と再三語ってきた。失敗続きの責任者が引き続き先頭に立つことに“当たり前の疑問”を抱く国民は少なくないのに、バカにしているのか。あるいは言い訳が見つからなかったのか。
 目に余る首相自身の「スガ化」。コロナ収束に政治生命をかける覚悟はサラサラないようだ。

首相会見の質問と回答全文
【日刊ゲンダイの質問】
 すでに、市中で感染経路不明のインド株が見つかっているのに、5月23日のNHK日曜討論で加藤官房長官は「インド株は水際ではかなり確認されてますけど、国内の発見例は今のところそれほど多くない状況だ」と甘い認識を示しました。放送から、数日経過していますが、現時点で菅首相も同じ認識ですか
 また、同番組で加藤氏は「徹底的に検査をし、インド株を早くに発見できる体制をつくっていく」と意欲を見せました。放送から、数日経過していますが、今のところ、早期発見のためのインド株の簡易検査はほとんど行われていません。いつになったら、加藤氏が言う「早くに発見できる体制」ができるのか、具体的な体制の中身、スケジュールを教えてください。
 こんな調子では、英国株の蔓延を許したように、インド株を大流行させかねません。菅首相は今日の会見で、「先頭に立ってやり遂げる」と決意を表明しました。今回、緊急事態宣言を再延長しましたが、この先、インド株の蔓延を許すなどうまくいかなければ、3度失敗したことになります。民間なら、3度失敗した人に、さらに担ってもらう〝寛容な会社〟はほぼないでしょう。もし、6月20日に解除できない場合、引き続き先頭に立つつもりなのでしょうか。6月20日に解除できなければ、自ら総理の座を辞し、ほかの人に担ってもらう方が、国民の健康に寄与すると思いますが、いかかがでしょうか

【首相回答】
○B.1.617系統の変異株(デルタ株等)については、5月24日時点で、国立感染症研究所において国内45例、検疫190例が確認されており、感染状況を注視しているところです。
※デルタ株等:従来、「インドで最初に検出された変異株」と呼称していたもの。
○変異株への対策については、先般、専門家より、特にB.1.1.7系統の変異株(アルファ株)等の割合が極めて高い地域では、従来の監視体制を見直し、あらゆる変異を見つけられるゲノム解析の監視体制に重点を置くべきとの提言をいただいたところです。
※アルファ株:従来、「英国で最初に検出された変異株」と呼称していたもの。
○こうした提言等を踏まえ、ゲノム解析による監視体制の強化を進めています。
○また、特に、B.1.617系統の変異株(デルタ株等)への監視体制を強化するため、同変異株のスクリーニング検査についても、国立感染症研究所と民間検査機関との間で技術的な課題等について調整を進め、5月28日より、民間検査機関で開始したところです。○さらに、水際対策ではB.1.617系統の変異株(デルタ株等)などについて、強い危機感を持って対応に当たっており、指定する期間・宿泊施設での待機の対象とするなど、機動的に対策を強化してきています。
○政府としては、引き続き、変異株への対策を強化してまいります。
              (取材・文=生田修平/日刊ゲンダイ)