アメリカのバイデン大統領を平和主義者と見るのは間違いで、まぎれもなく戦争国家の大統領です。
⇒(15.2.28)アメリカは建国後合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた
それがどいう風の吹き回しか、ロシアのプーチン大統領と6月16日にスイスのジュネーブで会談する予定です。
櫻井ジャーナルが、バイデンが3月以降、どんなにロシアや中国を恫喝して来たのかを列挙する記事を出しました。
また「マスコミに載らない海外記事」は6日、「米軍の悲劇」と題して、軍隊を補充する際の主力である17歳から24歳の男性新兵の約71%と女性新兵の84%が、肥満、高校卒業資格の欠如、赦免されない犯罪歴という三つの理由で、軍の健康診断に合格できない事態になっていることを報じました。
これでは米軍の装備がいくら豪華であっても、それを有効に使って戦争に勝つことは出来ません。まさに「米軍の悲劇」です。
併せてその記事を紹介します。
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ロシアや中国への恫喝に失敗したバイデン大統領はプーチン大統領と会談
櫻井ジャーナル 2021.06.06
ウラジミル・プーチン露大統領とジョー・バイデン米大統領は6月16日にスイスのジュネーブで会談する予定だ。大統領に就任して以来、バイデンはロシアや中国を恫喝、屈服させようとして失敗、話し合いへ切り替えたのかもしれないが、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は会談でアメリカはロシアから愉快でないシグナルを受け取るという前提で準備してくるべきだと語っている。
バイデンは大統領に就任して以来、好戦的な政策を打ち出してきた。バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権は国際問題をネオコンに任せ、そのネオコンはロシアと中国を軍事的に揺さぶろうとしたが、同じことを繰り返そうとしているようだ。バイデン大統領はオバマ政権の好戦派を引き入れている。
東アジアでは3月8日から久しぶりに大規模な米韓軍事演習を実施、12日にはアメリカ、日本、インド、オーストラリアの4カ国の首脳がオンライン会議を開いた。この4カ国は「クワッド」と呼ばれ、アジア版のNATOを創設しようとしていると中国は見ている。
そして、3月15日にアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官は日本を訪問、茂木敏充外相や岸信夫防衛相と会談、その際にブリンケン国務長官は中国の「威圧的で攻撃的な姿勢」を批判した。オースチン国防長官は3月18日に、アメリカ軍は朝鮮を「今夜にでも攻撃する準備ができている」と威嚇している。
そして3月18日と19日にはアメリカと中国の外交責任者がアンカレッジで会談。アメリカからはブリンケン国務長官と国家安全保障補佐官のジェイク・サリバンが、また中国からは中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任と王毅外交部長がそれぞれ出席した。席上、アメリカは中国を威圧しようとしたのだが、中国から強い反撃にあっている。
3月10日にウクライナ南部のオデッサへNATO加盟国の軍艦4隻が入港したと伝えられているが、これはバイデン政権の意思だろう。3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、それ以外にカタール空軍が5機の輸送機を使い、トルコを経由で物資を運んでいると伝えられている。そして3月16日、バイデン大統領はABCニュースの司会者からウラジミル・「プーチンは人殺しだと思うか?」と問われ、「その通り」と答えている。チンピラ的な恫喝だ。
トルコ政府は4月上旬、「モントルー条約」(ボスポラス海峡、マルマラ海、ダーダネルス海峡の通航制度を定めた条約)の締結国に対し、アメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告。
また、アメリカ空軍は4月に入ると1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられている。ドイツのラムシュタイン空軍基地からC-130輸送機とC-17輸送機がキエフへ飛来したほか、アメリカからリビウへC-17、そしてポーランドのポズナンからイギリスのBae 146-200がキエフへそれぞれ来ているという。
5月3日から14日までアメリカ軍は軍事演習「トロイの足跡21」を黒海周辺の国々、つまりブルガリア、ジョージア、モンテネグロ、北マケドニア、そしてルーマニアで実施、その演習にはアメリカの海軍特殊部隊、陸軍、空軍、イギリス軍、ドイツ軍、スペイン軍、ウクライナ軍、そして演習の舞台になる5カ国の軍隊が参加した。
こうしたアメリカの軍事的な恫喝に対し、ロシアに噛みつこうとする外国勢力の歯をへし折るとプーチン大統領は警告、セルゲイ・ショイグ国防大臣は5月31日、ロシア西部地域の軍事的な緊張に対処するため、新たに20戦闘単位を組織すると発表した。経済面ではアメリカが基軸通貨であるドルを発行する権利を使い、他国を攻撃しているとプーチンは非難、ロシア政府はドル離れをさらに進める意思を示している。
それに対し、バイデン大統領はロシアからEUヘ天然ガスを運ぶために建設している「ノード・ストリーム2」の完成を妨害しないと示唆、ポーランドが怒りの声を上げるという展開になった。
米軍の悲劇
マスコミに載らない海外記事 2021年6月 6日
ウラジーミル・ダニーロフ New Eastern Outlook 2021年6月5日
現在の米軍の状態は、多数のアメリカ人専門家の間で真摯な懸念を引き起こしている。それは、世界中で、アメリカが仕掛ける無数の軍事紛争で実践したり、ワシントンのいわゆる「主要敵国」であるロシアと中国の国境付近で画策したりする挑発的「訓練」のための武器や金や機会に米軍が不足しているからではない。アメリカの専門家たちが言う通り、米軍は史上最も良く装備された戦闘部隊だ。そして最も高価なものでもある。その経費は他の国々とは比較にならない。
地上部隊は、部隊の戦闘準備態勢では著しい進展を成し遂げたが、そもそも、その全てを実現するのに必要な戦闘員と人員がいないのだ。次の戦争で必要とするであろう戦闘と作戦能力を改善する資金を工面するため規模縮小すると決めた海兵隊にもあてはまるとNational Interestが報じている。
会計年度2021年のアメリカ国防予算は7405億ドルになる。先進的兵器システムと、全軍事部門における1,282,000人の名簿が、より小さい「通常の」国々は言うまでもなく、他の世界強国にとって、米軍を手ごわい競争相手にしている。
にもかかわらず、「成功」と「力」のうわべの背後で、深く危機に悩まされるアメリカ社会から米軍が受け継ぐ様々な問題がある。アメリカの専門家によれば、米軍の最弱の輪は要員だと認識されている。アメリカの男性のほぼ75%、女性の80%が、身体的に現役勤務に不適当なので、主要な関心事の一つは、現在の兵役採用における新兵の適応性だ。このため、新しい装置と、十分以上の軍事予算をもってしても、米軍の人員欠乏が、間もなく国防総省の無能力化をもたらしかねない慢性的問題になる可能性があるのだ。
現時点で、米軍予備役は、約1,400万人で、その大半が、1990年-2010年の昔に軍務に服した高齢アメリカ人だ。だが、この「黄金備蓄」は老朽化しており、ワシントン政策の予知不可能さと、ロシア嫌いと中国嫌いに基づく、報復主義思想強化のため、ホワイトハウスによって近い将来いつ何時おきかねない「Xデー」の事態で、それは突然「手遅れ」になる可能性がある。
軍隊を補充する上で、主力と見なされている17歳から24歳の青年は、現在、最も重要な仕事には、ほとんど不適当だ。男性新兵の約71%と女性新兵の84%が、主な三つの理由で、軍の健康診断に合格できないと国防総省は証言している。肥満、高校卒業資格の欠如と、赦免されない犯罪歴だ。USAトゥデーが確認する通り、軍の問題は、他の政府機関や、民間企業と同様、若者の適応性の低下に直面している、この国の根本的な社会過程を浮き彫りにしているに過ぎない。
軍人の不足は、明らかに、現在のアメリカにおける若年世代の悪化過程が今日重要な節目に達したことを示している。低い生活水準、栄養不良、劣悪な住宅、包括的な中等教育と、定期的医療の欠如が、率直に言って不適当な状態の中で成長したアメリカの少年少女が、兵役基準に大規模に不適当なことを意味する。性的少数者問題のほかに、賭博、盗み、アルコールと薬物乱用や薬物密輸などの、より伝統的悪事が米軍で今蔓延している。
そのうえ今日では皆がアメリカ政府に奉仕するのを望むわけではない。最近のアメリカ研究が示すように、兵役は、もはやアメリカでは名誉と見なされない。
結果として、試みが「標準未満の兵士」で部隊を編成したが、彼らは平和時の間にさえ過度の損失をこうむり、戦闘状態には全く不適当と分かった。言うまでもなく、国防総省「訓練」で負傷するアメリカ兵の比率は着実に増加している。5月9日、即応演習の際、エストニア、イェルヴァ県のヌルムシ飛行場に着陸後、アメリカ空挺部隊第82師団の10人のアメリカ軍人が負傷で病院に運ばれたとエストニア新聞Postimeesが報じた。
現在の米軍人員問題に対する主な解決の一つとして、アメリカの軍事戦略家は、性的少数者共同体の「能力」に頼ることに決めた。そして、今回、アメリカ海軍では、軍用ヘリコプター乗組員四人が、前例がない公然のゲイ男性で編成された。
「寛容のパレード」でCIAに続いて合流し、米軍はレスビアンのカップルと性的少数派の行列を含むコマーシャルを公開したとデイリー・メールが報じている。この動きは、既に、アメリカと多くの西側諸国で、ソーシャル・メディアに混乱と拒絶をもたらした。このコマーシャルは、少なくともこのようにして新兵を米軍に引きこもうと意図した軍事キャンペーン、The Callingの一環だった。
更に今、ツイッターページで、テキサス州のテッド・クルーズ上院議員が、ロシア軍と競争するには、アメリカ軍は「余りに政治的に意識しすぎ」で「男性意識が欠如している」かもしれないという恐れを表明した。この政治家は両国の軍隊コマーシャルを大いに悲嘆している。ロシアのものは、筋骨たくましい男性が、厳しい環境で気骨を養成するのを見せているが、アメリカのものは、レスビアン・カップルに育てられた女性伍長を見せていると、インサイダーが報じている。テッド・クルーズ自身、決して軍務を勤めていないが、インサイダーは、彼は女性には軍に居場所がなく、まして戦闘では、いっそうそうなのだという意見を表明した。2016年、上院議員再選のための選挙運動で、この政治家は、女性を軍の戦闘配置に配備するのは「正気ではなく」「性的差別を越えている」と言った。
だから、最近米国メディアが、米軍がロシアや中国との競争だてではなく、今日準備ができていないが、アフガニスタンでさえ面目を保つことができないという専門家の自認を益々発表しても驚くべきことではないのだ。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/06/05/the-tragedy-of-the-us-army/