立民(立憲)の枝野代表は1日、共同通信のインタビューに応えて、次期衆院選について「単独過半数の獲得を目指す」と述べ、政権交代の実現に意欲を示しました。そして「共産党とは日米安全保障条約や天皇制といった長期的に目指す社会像に違いがあり、連立政権は考えられない」と明言し、289ある小選挙区での野党共闘について「共産との競合区は約70しかない。200を超える選挙区で野党候補は一本化されており、与野党一騎打ちの構図が事実上できている」と豪語しました。何とも現実から遊離した恐るべき自信です。
それに対して共産党の志位氏は9月2日、次のようにツイートしました。
志位和夫@shiikazuo Sep 2, 2021 11:15 PM 【言葉のご説明】私が、6年前から「連立政権」と言わずに「連合政権」をつくろうと言っているのは、「連立政権」とは一般に内閣に閣僚を出す「閣内協力」を意味するのに対して、「連合政権」は「閣内協力」だけでなく「閣外協力」も含むからです。 |
事実、枝野氏は共産党に対して、競合区での立候補を取り下げるように要求するだけで協議に応じようとはしません。
枝野氏は6月17日にも連合本部で開かれた中央執行委員会に出席し、政権構想について「共産党とは理念が違っている部分があるので、連立政権は考えていない」と述べ、共産と連立政権を組む考えのないことを明言しています。
連合の神津里季生会長は会合後の記者会見で「枝野氏の発言は当然だ。共産とは普通に考えれば閣外協力という理屈もない」と語りました。
神津氏の極端な反共思想は夙に知られているところですが、枝野氏(国民の玉木氏も)がそれに丸乗りしているのは異様というしかありません。
3日正午過ぎ、菅退陣を受け枝野代表が国会内で記者会見を開き、「菅政権の次は枝野政権」とまで豪語しました。菅氏が自分のことを見失った挙句に退陣を表明せざるを得なくなったのと同様に、枝野氏も自分のことや立民党のことが良く見えていないように思われます。
会見に立ち会った田中龍作氏が行った質問に対しても、木で鼻を括るような回答をして即座に退場したということです。枝野氏が菅直人政権の内閣官房長官の時に、原発事故直後、ことある毎に「放射能に関してはただちに影響はない」という発言を連発したことは、いまだに多くの人たちの記憶に新しいところです。
田中氏は、「枝野氏と比べて岸田前政調会長はどうだろう」として、「人柄をめぐって悪い話は聞こえてこない。記者会見でも真っ向から丁寧に答える。司会者が『はい、これで記者会見を終わります』と宣言しても、記者から質問が出れば、最後まで答える」と高く評価し、嫌な話は切って捨てる枝野氏とは対照的であると述べました。
枝野氏は革新政党の代表として問題人物であるというしかありません。
田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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オウンゴール重ねた菅辞任で足元危うくなる枝野立憲
田中龍作ジャーナル 2021年9月3日
野党候補がゼロ打ちで圧勝した横浜市長選挙。
候補者らと共にバンザイ三唱のステージに立った、ハマのドンこと藤木幸夫氏が“予言”した。「菅は今晩あたり俺の所に電話してきて『(総理を)辞めます』なんて言うんじゃないかな」。
すると、立憲民主党神奈川県連の青柳陽一郎幹事長が言った。「待って下さい。菅総理が辞めるのは総選挙の後と言って下さい」。
場内は笑いに包まれた。青柳氏の発言は立憲の実情をいみじくも物語っていた。
お粗末極まりない菅政権への反発が、立憲を押し上げただけなのだ。敵失で勝ったことは火を見るより明らかだった。
立憲への支持率は10%に届くか届かない程度だ。
「共産党とは連立しない」「単独過半数を目指す」。枝野代表が強気なのは、総選挙の各種選挙予測でいい数字が出ているからだった。
ところが菅首相の退陣で事態は一変した。オウンゴールを重ねてきた菅首相は、いなくなるのだ。立憲を押し上げてきた最大の功労者が去って行くのである。枝野代表の足元はもろくも崩れた。
かりに岸田文雄前政調会長が新首相になったとする。すでに発表しているようなコロナ対策を強くアピールしていけば、支持率はあがるだろう。医療界が最も求めている野戦病院を政策の4本柱にあげているのだ。
御祝儀相場も含めて新内閣の支持率が上がった分、確実に立憲の獲得票は減る。総選挙まで内閣支持率は上がりこそすれ、下がることはない。言い方を変えれば立憲の支持率は下がりこそすれ、上がることはないのだ。
きょう3日正午過ぎ、菅退陣を受け、枝野代表が国会内で記者会見を開いた。足元が見えていないのだろう。「菅政権の次は枝野政権」とまで豪語した。
選挙の焦点のひとつとなるであろう消費税について田中が質問すると「すでに記者会見などで表明している」。
枝野代表は昂然と言い放つとプイと背中を向けて記者会見場を出て行った。田中が「まだ質問があるんですよ」と言っても、気に留めるようすもなく足早に去って行った。
枝野氏の対話の精神のなさは、原発事故直後の「ただちに影響はない」発言に象徴されている。
岸田前政調会長はどうだろう。人柄をめぐって悪い話は聞こえてこない。
記者会見でも真っ向から丁寧に答える。司会者が「はい、これで記者会見を終わります」と宣言しても、記者から質問が出れば、最後まで答える。
安倍政治を支えてきたとはいえ、対話の精神豊かな岸田氏。嫌な話は切って捨てる枝野氏。
どちらが国民の声に耳を傾けるだろうか。
~終わり~