2021年9月3日金曜日

憲政史上空前の菅首相の悪あがき

 日刊ゲンダイがここに来ての菅首相の総裁続投を目指しての諸々の醜態について、「 ~ 憲政史上空前の悪あがきに国民はドン引き」とする記事を出しました。

 菅首相は、総裁選対抗馬の岸田氏が「幹事長1期1年、3期を限度」を公約すると、それを無意味化するために盟友だった二階幹事長に引導を渡し、もう一人の下村氏に対しては得意の「恫喝」で立候補を辞退させました。それでも総裁選に勝つのは難しいと見ると、今度は総裁選前に総選挙に打って出る方針を明らかにしました。
 さすがにそんな暴挙が認められるわけはなく1日の朝には撤回に追い込まれました。30日、31日の2回にわたって小泉環境相に説得されたということになっていますが、安倍晋三氏の反対で断念したのが真相と見られています。本当は解散権を封じられた時点で菅氏は「終わっている」のですが、そんな自覚もないようです。
 前後して菅氏は、党役員の交代と内閣の一部改造(6日の予定)を打ち出しましたが、そもそも党役員の交代は新しく総裁になった人が行うべきものであるし、内閣改造もそうです。それをなりふり構わずにやろうとしているのは政権を浮揚させたいためですが、ここまで人心が離れてしまってはそれも期待できません。
 しかしいまはひたすら総裁に再選されることしか眼中になく、それ以外のことは何も見えなくなっているようです。それにしてもまさに禁じ手満載の「私利私欲」の悪あがきで、日刊ゲンダイが「憲政史上空前の」と形容する通りです。
 中谷元・元防衛相はTV番組で、「人事で釣るというのは非常に卑劣。それでは国民も党員も辟易とする。総裁選挙は厳正でフェアであることが大事」と強調しました。
 また自民党関係者は、「感染爆発を見れば、菅さんに総理総裁の資格がないのは明らか。潔く退陣した方がいい。退陣の口上は、『前総理の辞任を受け、残り任期と政策を引き継いだが満了を迎えるので退くすればいい」として、名誉を持った退陣の道があることを示唆しています。
 問題はそうしたことを受け入れる理性が菅氏に残っているのかどうかです。
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<こんな首相、見たことない> 憲政史上空前の悪あがきに国民はドン引き
                        日刊ゲンダイ 2021年9月2日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 国民が切望している新型コロナウイルス対策に対しては後手後手の対応ばかりにもかかわらず、自民党総裁選となると次々と新たな悪知恵、策謀アイデアが浮かぶらしい。「令和のスガーリン」こと、菅首相のことだ。
 17日告示、29日投開票と報じられる総裁選期日を控え、岸田前政調会長ら候補者が続々と名乗りを上げる中、菅が総裁選を先送りし、月内の衆院解散、総選挙に出る――との観測が永田町で流れたのが8月31日夜だった。
 この突然の方針を聞いた党内は蜂の巣をつついたように大騒ぎ。最大派閥細田派の幹部会では、「あり得ない。阻止すべきだ」と怒りの声が続出し、別の党幹部も「衆院選は相当議席を減らすだろう」「菅は何を考えているのか」と猛反発したという。
 総裁、衆院議員ともに任期が迫る中での前代未聞の展開にどうなることかと思っていたら、一夜明けた9月1日午前、菅は報道陣の囲み取材で、あっさりと「月内解散」を否定。「最優先は新型コロナウイルス対策だ。今のような厳しい状況では解散できる状況ではない」と説明し、総裁選について、「先送りも考えていない」と明言した上で、「そういう中で(衆院選などの)日程は決まってくるだろう」と答えた。
 一方、週明け6日にも実施する意向と伝えられる党役員人事とそれに伴う内閣改造に関しては「(人事は)やる」と断言していたのだが、この二転三転するドタバタ劇、醜態は一体、何なのか。

権力が体に染み付いた「パワハラ・サディスト」
 もっとも、当初から「解散、総選挙後の総裁選」というシナリオを描いていたのは菅だ。見立てでは、東京五輪のメダルラッシュ、お祭りムードの余韻が国民に残る中、9月5日のパラリンピック閉幕後に衆院を解散。総選挙で勝利を収めた勢いを保ったまま総裁選を行い、「無投票再選」を果たす腹積もりだった。
 ところが新型コロナの感染拡大で歯車が狂う。新規感染者は増える一方、具体策は何も打てず、もっぱらワクチン頼みとなり、感染しても医療機関に入院できず、自宅待機中に亡くなる患者が続出し、世論の批判は急上昇した
 支持率は右肩下がりとなり、菅政権にとって最初の国政選挙となった4月の衆参3選挙(衆院北海道2区補欠、参院広島再選挙、長野補欠)は全敗。菅のお膝元である横浜市長選でも野党候補に敗れるなど、もはやレームダックに等しい状態となった。
 勝利の方程式は完全に破綻したわけで、これでは党内から「菅では選挙を戦えない」と批判が出るのも当然だろう。マトモな政治感覚を持った首相であれば、総裁選で再選を狙うなんてとんでもない。「自分は総理総裁の器じゃなかった」と退くのが筋だが、権力欲が体に染み付いた「パワハラ・サディスト」はそんな気はサラサラない。出馬の可能性が報じられた下村政調会長を官邸に呼び出して“恫喝”し、下村に出馬を断念させたかと思えば、総裁選の公約で党役員任期の制限を打ち出した岸田前政調会長を“潰す”ため、菅政権誕生を主導した二階幹事長を“ぶった切る”奇策に出たのだ。総理総裁のイスにしがみつくためにあの手この手の浅ましさ。こんな首相、見たことがないだろう。
 政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「菅首相は権力志向の強い人です。かつて官房長官時代の菅首相と会った時、彼は『官邸には全ての情報が集まる。ヒラの大臣より面白い』と話していました。情報、つまり権力を握ることが快感なのでしょう。官房長官の上といえば、首相しかいませんから、絶対に離したくない。そういう姿勢が今回の件にはよく表れていると思いますね」

禁じ手とルール破りを犯して地位にへばりつく卑しさ
「『国民のために働く』ではなく、『自分のために働く』だ」
 自民党内からは、菅に対してこんな声が出ているらしいが、そもそも、総裁選を目前に控えながら、幹事長を含む党役員人事に手を突っ込むこと自体が異例、異様なのだ。総裁選で自身が負けたら、また役員人事をやり直すことになるし、さらに言えば、総選挙後の役員人事だってどうなるのか分からないだろう。
 国民ウケを狙った選挙のための「化粧直し」は明らかで、まさに権力にしがみつくためなら何でもあり。憲政史上空前の悪あがきともいえる愚行に多くの国民はドン引きしているに違いない。
 菅は官房長官時代、加計問題で「総理の意向」と記した文書を「本物」と認めた前川喜平・元文科次官に対し、会見で「地位に恋々としがみついていた」と強く批判していたが、今の菅の姿は「地位に恋々としがみついている」なんてものじゃない。あらゆる禁じ手を繰り出し、ルール破りを犯してでも地位にへばりつきたい。そんな卑しい品性が透けて見えるではないか。
 もがけばもがくほど、菅は泥沼にはまるとしか思えないが、摩訶不思議なことに菅本人に辞めるという選択肢はないらしい。自身の限界すら見えていないのだから、何をやっても裏目に出てガンジガラメになるのは当たり前。コロナ対策が機能停止に陥っているのも当たり前で、外交でもアフガン退避失敗の件がいい例だ。タリバンが首都カブールを制圧した際、現地職員について与党から問われた菅の様子は「ほとんど関心がなかった」と報じられている通り、関心があるのは私利私欲、保身だけ。こうなると、菅を辞めさせるには自民党員総がかりで羽交い締めにするか、自爆解散しかない。

菅は首相に就く以前から無能だった
 自身の責任をホッタラカシにして権力維持に固執する姿には呆れるしかないが、そんな男を「たたき上げの苦労人」「パンケーキ好きの気さくな政治家」などと持ち上げた自民党にも問題があるだろう。
 今ごろ、大慌てで「菅では勝てない」「何を考えているのか」などと、まるで「殿ご乱心」のように驚いているが、菅の性格は、もともとが「パワハラ・サディスト」だ。「岸田潰し」や「二階外し」だって、ある意味、予想されたこと。昨秋の総裁選でも、菅はフジテレビの番組で、政治決定に反対する官僚について「異動してもらう」と冷徹に言い放っていたではないか。つまり、有能な政治家が首相になって突然、無能になったわけではない。首相に就く以前から無能は明らかで、その本性が国民の目に触れる首相となって広く知れ渡ったに過ぎないのだ。
 繰り返すが、官房長官として安倍前政権の公文書隠蔽、改ざんの揉み消しに手を貸し、人事権を盾に歯向かう官僚らを恫喝してきた「パワハラ・サディスト」の無能男を総理総裁にしたのは他ならぬ自民党なのだ。
 政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「何が何でも権力の座にしがみつこうとする菅首相の姿は呆れますが、自民党内から『この国難を変える』という声が出てこないのも情けない。だから、菅首相も『この様子なら俺が総裁選で勝てる』と高をくくっているのでしょう。レベルの低くなった今の政治家、政党の実相が透けて見えます」
「自分が生き延びるための菅ファーストだ」などと怒ったところで、野党が求める臨時国会の開催すら応じず、新型コロナ対策そっちのけで総裁選に血道を上げている党の姿勢はしょせん、菅と同じ穴のムジナ。
 置き去りにされた国民が求めているのは一刻も早い菅退陣と自民党の下野だ。


眞子さまを政治利用してまで「菅首相隠し」の姑息
      事実上の“駆け落ち婚”報道のウラ側
                          日刊ゲンダイ 2021/09/02
「内親王の慶事が政権浮揚につながると当てこんでいるのなら、あまりにも身のほど知らずだ」――政界関係者はカンカンだ。怒りの矛先は1日、読売新聞が報じた秋篠宮家の長女・眞子さまの「年内結婚」スクープ。自民党関係者の多くが「官邸発の報道」と受け止め、「とうとう目くらまし策に皇族まで政治利用するのか」と、菅首相周辺への反感を強めている。
                ◇  ◇  ◇
 2017年9月の婚約内定から4年。眞子さまと小室圭さんが30歳の誕生日を迎える10月までに結婚を決めるのではないか、と皇室担当の記者たちは見通しを立て取材に動いていたという。
「ただ、今月11日には紀子さまが55回目のお誕生日を迎えます。そのタイミングで毎年、記者から3つの質問を事前に預かり、文書でお答えになるのが恒例行事。今年も、眞子さまのご結婚に関するお考えを問う予定です。その回答を出されるまでは、静かな環境でお考えになっていただこうとご結婚に触れるのを控えるのが、皇室記者の間で暗黙の了解だったのに……」(ある皇室記者)
 こうした情報は政界にも届く。読売が“不文律”を破った裏に何があったのか。ここ数日、総裁選前の二階幹事長外し、党役員人事の刷新など奇策を連発してきただけに、真偽はともかく「官邸が書かせたのでは」と、菅首相周辺に疑いのまなざしが向かうのは当然の帰結である。

自民党にはさらなる逆風が吹き荒れる
 実際、各メディアとも読売の後追い記事を垂れ流し、ニュースもワイドショーも、結婚の話題に触れざるを得ない。その分、コロナ無策や総裁選を巡る迷走など菅首相のポンコツぶりに費やす時間は減る。官邸発のリークだとすれば「眞子さま利用の菅隠し」は奏功したようにも映るが、話はそう単純ではない。
 週刊誌は小室さんの母の新たな醜聞を報じているが、肝心の元婚約者との金銭トラブルの解決は膠着状態。母とは別人格とはいえ、小室さんが2度にわたって公表した説明文書の言い訳内容も、世間の反発を招いた。
「国民の理解」を重視してきた秋篠宮さまも、昨年11月の記者会見で「決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない」との見方を示された。だからこそ、一般の結納にあたる「納采の儀」や、結婚の前に天皇・皇后にあいさつする「朝見の儀」など関連儀式の執行は見送り。眞子さまも皇籍離脱に伴って国から支給される最大約1億5000万円とみられる一時金を辞退する意向で、結婚後は小室さんが暮らす米ニューヨーク州で新生活を始められる見通しだという。
「いずれも戦後初の極めて異例の事態です。それだけデリケートに対処すべき問題なのに、菅首相が自分の延命しか考えず、皇室を政治利用したのなら言語道断。オリパラ強行でかなわなかった政権浮揚の“夢よ、もう一度”とばかりに、祝賀ムードで総選挙になだれ込もうとする浅薄な小ズルさが見透かされ、自民党内の逆風がますます吹き荒れるだけです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 最近の菅首相について、ある自民党議員はこう言った。
「総理は自信満々に誤りを繰り返している」