日本共産党が23日、「新自由主義を終わらせ暮らしに安心と希望を」と題した新経済提言を発表しました。しんぶん赤旗には、志位委員長がそれを発表したという記事と「提言の全文」が掲載されました。後者は1万字を超える長文のため下記から原文にアクセスしてください。⇒ コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を ― 日本共産党の新経済提言
「経済」は本来的に弱肉強食性を持っているので、古い時代の(経済)学者は神の摂理の下にあるなどと述べて合理化しようとしましたがそれはあり得ないことで、政治には利益の再分配機能が要求されています。
そうであるのに新自由主義は逆に政治が公然と大企業側に加担することでさらに加速させるものなので、国民は貧しくなる一方です。当然政商が自由に跋扈することになります。
新自由主義は、細川内閣、小渕内閣で経済改革の旗振り役を担った中谷巌教授が日本に導入したとされていますが、中谷氏は2008年、「懺悔の書」と言われる著書『資本主義はなぜ自壊したのか〜「日本」再生への提言』を著わしてその非を明らかにしました(日本が生んだノーベル賞クラスの経済学者と称された宇沢弘文氏は始めから批判的でした)。
そのとき確か中谷氏は竹中平蔵氏にも転向を呼びかけたのですが、それには応じずに現在に至っています。その竹中氏や中小企業淘汰論を公然と主張するアトキンソン氏らをバックボーンにして1年前に首相として登場したのが菅義偉氏でしたが、コロナ対応が余りにもお粗末だったため僅か1年で退場を余儀なくされました。
しかしもしも次期首相に河野氏がなれば、彼も菅氏同様の新自由主義者なので、安倍氏に代わって菅氏が首相の背後に回るだけという惧れがあります。
共産党の「経済提言」の骨子を要約したしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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新自由主義を終わらせ暮らしに安心と希望を 日本共産党が新経済提言
志位委員長が発表
しんぶん赤旗 2021年9月23日
日本共産党の志位和夫委員長は22日、党本部で記者会見を行い、総選挙に向けた政策として、コロナ危機の教訓を踏まえ、新自由主義からの転換を掲げた党の新経済提言「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を」を発表しました。会見には田村智子政策委員長が同席しました。
志位氏は冒頭、提言全体について、「コロナの体験と教訓を踏まえた、新しい日本の経済社会のあり方のビジョンをまとめて総合的に示すものとしました」と強調。コロナが日本の社会、経済の弱点やもろさを映しだしたと指摘し、「提言全体を通した一貫したテーマは、弱肉強食の新自由主義を終わりにし、国民の暮らしと命を何よりも大切にする政治に切り替えようというものです」と強調しました。
提言の第1の柱は、「医療、介護、保育、障害者福祉など、ケアをささえる政治に」です。志位氏は「コロナのもとで深刻な医療崩壊、公衆衛生の崩壊が起きました」とのべ、自公政権が長年にわたって医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合をつづけ、全国の保健所を半減させてきたことなどが原因にあると指摘。コロナ後も公立・公的病院の削減・統廃合を進め75歳以上の医療費2倍化を強行するなど無反省だと批判しました。
提言は、「医療崩壊と保健所の機能マヒを再び起こしてはならない」との立場で、新たな政策パッケージとして「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」を提唱。志位氏は「この分野での予算を2倍にして抜本的な立て直しをはかる」として、感染症病床、救急・救命体制、ICU(集中治療室)予算、保健所予算の2倍化や国立感染症研究所などへの予算10倍化を提案。感染症に対応する政府の専門機関の「感染症科学者会議・仮称」を新設すると提案し、これらのパッケージを、「いますぐ着手するよう訴えるとともに、総選挙で実現を求めていきます」と表明しました。
提言では、「ケア労働の待遇改善、社会保障の充実」とともに、「コロナで収入が減り、生活に困っている人への支援を抜本的に強化」を掲げ、生活困窮者への一律10万円の特別給付金などを提案しました。
第2の柱は「働く人の『使い捨て』をやめさせ、8時間働けばふつうに暮らせる社会に」です。志位氏は、「コロナの経験を踏まえ新たにまとめた点」として、非正規労働者の権利を守ることにかかわって、シフト制労働者の業務減少を企業が「休業」だと認めず、雇用調整助成金や休業支援金の対象外となっている問題を指摘。労働契約への賃金の最低保障額や休業手当の支給の明記など、ルールをつくると強調しました。
第3の柱の「お金の心配なく、学び、子育てできる社会に」では、大学入学金制度の撤廃や児童手当の18歳までの支給などを提案。
第4の柱の「コロナ危機で困難に直面している中小企業、農林水産業を支援し、地域経済を立て直す」では、米価の大暴落対策として政府による米の緊急買い入れなどを提案しています。
第5の柱の「税金の不公平をただす―消費税減税、富裕層・大企業への優遇をなくす」では、消費税率5%への引き下げ、インボイス(適格請求書)導入の中止などを掲げました。
これら提言実行のために財源はどうするのか。志位氏は、「緊急の対応は国債でまかなう」とのべ、コロナ危機への対応実施などには20兆円超の規模だとして、「あくまで臨時的・一時的な支出であり、命と暮らしをコロナという大災害から守るには必要な財政支出です」と訴えました。
また、志位氏は、「恒久的な施策の実行には全体で19兆円規模が必要」と指摘し、法人税率を大企業については安倍政権以前の28%に戻すなど大企業と富裕層への応分の課税や軍事費や大型開発の浪費の削減など、税制・財政の民主的改革を行うとのべました。
最後に、志位氏は、暮らしと家計応援の政治こそ、コロナ危機からの日本経済の立て直しの大道であり、「新自由主義からの転換の流れは世界に広がっている」と強調しました。
コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を――日本共産党の新経済提言
1、医療、介護、保育、障害者福祉など、ケアをささえる政治に
2、働く人の「使い捨て」をやめさせ、8時間働けばふつうに暮らせる社会に
3、お金の心配なく、学び、子育てできる社会に
4、コロナ危機で困難に直面している中小企業、農林水産業を支援し、地域経済を立て直す
5、税金の不公平をただす――消費税減税、富裕層・大企業への優遇をなくす
6、気候危機打開と一体に、災害に強い社会をつくる
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。