2021年9月24日金曜日

五輪・パラ検証 大会費用はなぜ3兆円超に 理解不能の代理店への報酬

 東京オリンピック・パラリンピックの費用は招致時の見込み額7340億円をはるかに上回り3兆円を超える見通しということです。当初予期しなかった要因としてはコロナ対策費がありますが、それは1千億円程度なので、他にはどんな要因があってそれほど増えたのでしょうか。
 分かりやすい例として人件費の問題があります。TBSが組織委員会の元職員から取材しました
 ここでは「五輪・パラ」で、いわゆる「人入れ家業」に従事したパソナを始めとする大手広告代理店など9社が、「管理費」という名目で如何に莫大な手数料を取得したのかが明らかにされます。
 そもそも会場誘導員などの日当を27000円/日(本人に渡るのは9600円/日程度)に設定すること自体が余りにも非常識です。民間企業では絶対にあり得ないことが、都や国の事業となるとどうして許されるのでしょうか。加えて無観客になってもそうした警備員の経費は変わらないし無観客になってもキャンセルはできない(人数は減らせない)とされていて、その理由が全く理解できません。
 人件費の総額は一体いくらだったのでしょうか。いずれ費用の不足分は都民や国民が負担するのですから、国や都は然るべき方法で全体像を明らかにして欲しいものです。
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東京オリパラ検証 3兆円超の大会費用はなぜ? 不透明な代理店への報酬
                      TBSニュース 2021年9月22日
  【報道特集】 無観客だったのにかかる観客誘導スタッフの人件費、
         スポンサーから調達した割高物品・・・
         これから膨らむ赤字の補填は税金か

 東京オリンピック・パラリンピックの費用は当初(招致時)予定されていた7340億円から、3兆円を超える見通しだ。コロナ対策費が1千億円程度追加されたとはいえ、4倍以上に膨らんだ。その理由は何なのか。組織委員会の元職員が取材に応じた。

組織委 元職員:
 政府補償イベントみたいなものですから、全部(都や国が)面倒見るとわかっている。やっぱり、そこは破綻しない団体のルーズさみたいなのが、ある意味モラルハザードが起きていますよね。
  不透明な金の流れの一つが代理店への報酬だ。
競技が行われた42会場の運営費用の見積額を記した文書によると、委託されている
大手広告代理店など9社が管理費という名目で報酬を得ているという。
42会場の運営委託費の総額は、約196億円。そのうち、10%から15%の管理
費として、あわせて、約23億円が広告代理店9社の報酬になる計算となる。
  さらに、バドミントンなどが開催された会場の運営委託契約書には、人件費の内訳
記されている。組織委員会の元職員によると、人件費それぞれにも管理費が上乗せさ
れているという。1日あたり1人2万7000円、会場で観客誘導などを行うサービ
ススタッフの場合は・・・。
組織委 元職員:
 サービススタッフっていうのは、ほとんどこれはアルバイトによって賄っている例で、2万7000円というのは、アルバイト代をここから出した上で、業者としての管理費とかそういうのを全部、手数料を乗っけた上でのこの金額と。
  複数の業者を経由して、実際にアルバイトに支払われている金額は・・・。
組織委 元職員:
 (アルバイトの)本人に時給を聞いたら、「私は1200円です」と。普通に考えたら時給1200円×8時間で9600円ですから、2万7000円ということは、それの3倍ぐらいの金額だろうなと受け止めています。
膳場貴子キャスター:
 無観客だったことで、観客の誘導のアルバイトの人たち仕事をしなかったと思うのですが。
組織委 元職員:
 まず無観客になったからといってキャンセルできるものではないということは業者の方から言われました。
観客誘導の必要がなくなったにも関わらず、広告代理店側にアルバイトの人件費を
払う可能性があるという。
組織委 元職員:
 仮に減らした場合でも、減らした分に関しては、キャンセル料は6割というふうに聞いています。業者からすると、「いやそれは減らすのは無理だったし、そもそもキャンセルだからといって6割で済む問題ではないというので、多分今後もめるだろう」ということは言われました。
また、会場で使用する物品についても必要以上に金がかかる仕組みになっていた。大
会スポンサーから購入する契約になっていることが理由だという。
組織委 元職員:
 先にスポンサー企業から調達する(こと)ありきで、スポンサー企業からの言い値で受けてしまっていて、ほぼ言いなりの金額でのんでいる。組織委員会としてそれは高い安いの判断は全然つかない。なぜならばそういうのを調達した経験もないし、それが市場価格としてどれくらいなのかっていう、判断能力も持っていない。
膳場キャスター:
 スポンサーから調達したものはどれぐらい高かったんですか。
組織委 元職員:
 スポンサーからの方が一般公募よりも倍の金額になっていたという実態です。
スポンサーからは無観客となり期待した宣伝効果が得られなかったことで、「損害賠
償の話も出ている」と組織委員会の別の現役職員が証言した。
組織委 現役職員:
 お客さんがくることを前提にマーケティングパートナーとは、いろいろ交渉していたようなので(契約の)大前提が崩れてしまったということはあるようです。聞いたところだとやはりお金の交渉というか、返金する、しないということも発生しそうだというような話は聞きました。
だが、報道特集の取材に対し組織委員会は「賠償請求については承知しておらず、仮
定の質問には回答できない」とした。

今後について現役職員は。
ディレクター:
 税金の投入額が増えるということですか?
組織委 現役職員:
 赤字は税金で補てんされると聞いていますので、そういうことになると思います。

           (報道特集9月18日放送内容から抜粋・編集)