植草一秀氏が「国民民主の野党共闘離脱大歓迎」(10日付)というブログ記事を出しました。立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が9月8日、次期衆院選に向けて安保法制の違憲部分廃止、憲法改悪反対、原発のない脱炭素社会の追求、消費税減税を内容とする政策協定を結びました(原発についての政策公約が曖昧であるものの妥協できるラインで協定を締結したことは評価されるとしています)が、最大の成果はこの協定に「連合・6産別」※を支持母体とする国民民主党が加わらなかったことだと述べました。
※ ⇒(9月8日)野党の惨敗にも意味はある(植草一秀氏)
要するに労働者の6%に過ぎない大企業御用組合「連合・6産別」の意向を第一にしている勢力が共闘に参加していても有害なだけなので、離脱してすっきりしたという意味です。
そして政策協定に消費税減税が盛り込まれたことで、れいわ新選組も共闘に参画できたのは極めて意義が深いと述べています。
またこの際「連合・6産別」は、立民党に関わるのをやめるべきとも述べています。これは逆に言えば、枝野氏ら立民党の首脳部は旧同盟系の連合指導部の掣肘を離脱すべきだという主張で、そうしないと健全な野党になれないとしています。
そして、いまだに連合の神津会長の影響を受けて「共産党とは連合政権を作らない」などとフラフラしている枝野氏に向けて(と思われますが)、「立民党議員で共産党の支援なしに当選できる候補者は極めて少ない。共産党と強固な共闘を構築することによって立民党も議席を確保できることを忘れるべきでない」と述べています。
枝野氏は最近も「立民党は単独で過半数を取れる見通しがついた」などという世迷いごとを口にしたばかりで、そんな考えではシッカリした野党共闘が出来る筈がありません。
植草氏は9日にも「低迷野党を生き返らせる方策」と題して、菅内閣崩壊なのに政権刷新の気運が一向に高まらないのは、枝野氏が「連合・6産別」の御用組合トップの影響を受けているせいだと批判するブログを出しています(多分、野党4党と市民連合との間で野党共通政策に合意した」というニュースを確認する前に書いたものと思われます)ので、併せて紹介します。
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国民民主の野党共闘離脱大歓迎
植草一秀の「知られざる真実」 2021年9月10日
立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が9月8日、次期衆院選に向けた政策協定を結んだ。
協定には、安保法制の違憲部分廃止 憲法改悪反対 原発のない脱炭素社会の追求 消費税減税 が盛り込まれた。
基本政策を共有して連帯する考え方は「政策連合」が提唱してきたもの。
原発についての政策公約があいまいだが、妥協できるラインで協定を締結したことは評価される。
最大の成果はこの協定に国民民主党が加わらなかったこと。国民民主党は「連合・6産別」を支持母体とする。
これまでに記述してきたように「連合・6産別」は大企業御用組合の連合体である。
組合員数686万人の連合の6割にあたる約400万人が6産別所属。
6産別は ▽UAゼンセン=繊維、化学、食品、流通など(177万) 自動車総連=自動車(79万) 電機連合=電機(57万) ▽JAM=機械、金属(38万) ▽基幹労連=鉄鋼、造船、非▽鉄(27万) ▽電力総連=電力(21万)
この6産別が連合の主導権を握っているために、野党共闘が破壊されてきた。
6産別は 戦争法制容認 原発稼働推進 消費税増税推進 の色彩が強い。
戦争法制廃止、原発ゼロ、消費税減税・廃止を求める市民の意思に反する基本政策を有している。
今回の政策協定に国民民主党が加わらなかった。
国民民主党の支援母体が連合・6産別。国民民主党・連合6産別は、自公と基本政策を共有しているのだから、自公陣営に移籍するのが妥当だ。
野党共闘勢力から国民民主党・連合6産別が離脱すると野党共闘が俄然、力を増すことになる。
基本政策が真逆であるから、連合は6産別とそれ以外の労働組合に分離することが望ましい。
水と油が同居して運営が円滑に進むわけがない。
この分離が実現すれば、連合が野党共闘を妨害することもなくなる。
連合・6産別は立憲民主党に関わるのをやめるべきだ。
立憲民主党は連合・6産別と訣別して、政策を基軸にした大きな連帯構築に踏み出すべきだ。
政策協定に消費税減税が盛り込まれたことは極めて意義深い。
このことによってれいわ新選組も共闘に参画できることになる。
国民民主党・連合6産別は 原発推進、消費税増税推進であるのだから。野党共闘とはまったく離れて、自公と連携して選挙を戦うべきだ。
野党共闘勢力は直ちに候補者調整を行う必要がある。立憲民主党議員で共産党の支援なしに当選できる候補者は極めて少ない。共産党と強固な共闘を構築することによって立憲民主党も議席を確保できることを忘れるべきでない。
共産党がすでに決定している候補者の出馬取りやめを行うなら、共産党の重点選挙区では立憲民主党などが出馬取りやめを実行する必要がある。ギブアンドテイクがなければ円滑な共闘は実現しない。
自公サイドは「共産党と共闘するんですか」とアピールしてくる。
このアピールに対しては「共産党と共闘しますよ、それが何か」と答えればよい。
森友、加計、桜疑惑で、常に先頭に立って不正を追及してきたのが共産党であることを忘れてはならない。市民の間に共産党支持者が多く存在することを忘れてはならない。
(以下は有料ブログのため非公開)
低迷野党を生き返らせる方策
植草一秀の「知られざる真実」 2021年9月 9日
菅内閣崩壊なのに政権刷新の気運が一向に高まらない。
逆に自民党は党首選で電波をジャックする。
マスメディアの大半は自公政権の御用機関だから、党首選を大義名分にして自民党の大宣伝活動を展開する。
自民党党首選が終われば新内閣の発足。閣僚の顔ぶれ紹介に終始する。
新内閣が発足した直後に衆院総選挙が実施される。
内閣発足直後は内閣支持率を高く発表する。この状況下で衆院総選挙が行われる。
本年の秋までに衆院総選挙が実施されることは既定の事実だった。
安倍・菅政権の迷走が続き、内閣が国民支持を失ってきた。
安倍政治は政治私物化の総合商社状態だった。菅政治は国民無視の利権政治だった。
コロナ感染を爆発させるなかで五輪開催を強行した。
国民の命と健康よりも自分の利益、自分の利権を優先した。
その結果として内閣支持率が3割を割り込み政権崩壊秒読み態勢に移行した。
山形県知事選、千葉県知事選、国政3選挙、静岡県知事選に自公は全敗。
菅氏が総力を注いだおひざ元の横浜市長選でも惨敗した。
その結果として菅首相は辞任に追い込まれた。
野党は一気呵成に政権奪還を狙うべき局面だが、政権刷新への期待が一向に高まらない。
理由は野党共闘の枠組みが確立されていないこと。
政策を無関係に共闘すればいいというものではない。基本政策を共有する勢力が連帯しなければ意味がない。
政策を基軸に連帯し、共闘体制を構築する。これが「政策連合」の考え方。
ところが、これと似て非なる動きがある。政策の不一致に目をつむり、無理やり形だけの共闘を成り立たせようとしている。根本的な食い違いは、共産党との共闘に関する考え方。共産党との共闘に反対する勢力がいる。
この勢力は 戦争法制を肯定し、原発稼働を肯定し、消費税増税を肯定している。
この基本政策方針は自公と同一。基本政策が自公と同一なのだから、自公と連携すればよい。
それにもかかわらず、野党共闘の輪の中に無理やり入り込もうとして、野党共闘確立を妨害している。
これでは市民の政権刷新に向けての期待が高まるわけがない。
野党共闘確立を妨害している勢力は 「連合・6産別」とこれを支持基盤としている「国民民主党」。国民民主党と連合・6産別は自公勢力に移転するべきだ。
存在を否定しているのではない。基本政策路線が異なるのだから、基本政策路線を共有する勢力と連帯するべきなのだ。
共産党が武力革命を唱えている、直ちに自衛隊の廃止を求める、直ちに天皇制の廃止を求めているわけではない。
共産党が単独で政権を樹立すれば事情は変わるだろうが、共産党はそのような無茶な提案を示していない。
共有できる基本政策を確認し、その枠組みの中で「連合政権」を樹立することを唱えている。
極めて現実的な提言を示している。
平和主義を堅持し、原発を廃止し、共生の経済政策を実現する。この基本政策を共有し、大きな連帯を形成する。これが「政策連合」の考え方。
共産党を含む野党共闘を妨害する勢力は野党勢力の弱体化を目指す勢力としか認定しようがない。
ところが、野党第一党の立憲民主党が「連合・6産別」に支配され続けている。
この状況では次の総選挙での政権奪還は実現しない。
立憲民主党が態度を改めぬなら選挙後に総括が必要になる。
(以下は有料ブログのため非公開)