2021年9月1日水曜日

首相、9月中旬解散意向 党役員人事・内閣改造後 総裁選先送り

 菅首相は30日、官邸で二階氏と会談し来週 党役員人事の改造を行い幹事長を交代する旨を伝えたということです。政調会長と総務会長、選挙対策委員長の党4役全てを交代するようです。敢えて二階氏との熱々の関係を解除する理由として、総裁選に立候補する岸田氏の「幹事長の任期を3年にする」という選挙公約を事実上無意味化するためと伝えられています。それが効果的であるのかは分からないし、派閥を持たない菅氏にとって唯一の後ろ盾になっていた二階氏と決別することがいいことなのかも分かりませんが、「楽観バイアス(⇒偏位)」で知られる菅氏が、当面の課題である総裁に勝ち抜くためにはそうすることが有利と考えたのは間違いありません。

 と同時に、「桜問題」と「河井夫妻に1億5千万円支給」のカネの問題で、検察に押収されていた安倍事務所の資料一式が自民党本部の二階幹事長のところに返却されていることで、大いに頭を痛めていた安倍晋三氏にとってもそれらが二階氏の手元から離れるのは望ましい処置でした。
 一方、二階氏は幹事長として今回の選挙を差配する中で、自分は引退し自分の跡を安全に子ども(三男)に継がせたいという構想を持っていたようなので、この幕切れではそれも叶わずに不快な思いをしていることでしょう。「政界の一寸先は闇」を地で行く構図となりました。
 首相は31日、自民党の二階俊博幹事長と再度会談し、衆院選について9月中旬の解散も選択肢との考えを伝えました党役員人事一新に合わせ閣僚の一部交代も行うことで政権浮揚を図り、その勢いで衆院選に入れば、仮に自民党の単独過半数は達成できなくとも自公ではそれが維持できるので、それによって何とか総裁選を省略して首相再任を果たそうという魂胆なのでしょう。その程度のことで政権が浮揚するとはとても思えませんが、「楽観バイアス」のかかった目にはそう見えるのだと思われます。
 いまは何よりもコロナの鎮静のために政府は総力をあげなくてはならないのに、そうしたことを全く行わず(都知事も全く同じ)菅氏の私利私欲に基づいて解散・総選挙を先行させることには何の道理もありません。「菅首相では選挙を戦えない」と考えている自民党議員にとってはまさに「泣きっ面に蜂」ですが、そういう人間を首相に選んだのですから自業自得です。
 自民党議員に多少なりとも正義感があるのであれば、選挙後でも総裁選を省略することなく実施して、首相をまともな人に交代させるべきです。
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首相、9月中旬解散意向 党役員人事・内閣改造後 総裁選先送り
                            毎日新聞 2021/8/31
 菅義偉首相は自民党役員人事と内閣改造を来週行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る意向だ。複数の政権幹部が31日、明らかにした。自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)は衆院選後に先送りする。首相は衆院選の日程を10月5日公示、17日投開票とする案を検討している。
 首相は来週の党役員人事で二階俊博幹事長を交代させる方針だ。首相は8月30日、首相官邸で二階氏と会談し、二階氏を交代させる意向を伝達。二階氏も「自分に遠慮なく人事をやってほしい」と応じ、交代を容認した。
 首相は、人事を断行することで政権浮揚を図り、衆院選を有利に進めたい考えだ。政権内では9月14~16日に臨時国会を召集し、解散する案が浮上している。
 政府・与党内では新型コロナウイルス対策を切れ目なく行うために、衆院を解散せず、公職選挙法に基づく「任期満了選挙」を行う案も浮上していた。しかし、総裁選は岸田文雄前政調会長の出馬表明で選挙戦となる見通しで、首相に対する批判票が対抗馬に集まる可能性が出ている。首相は党内の支持を十分集められる見通しが立っておらず、総裁選を先送りするために解散に踏み切ることにしたとみられる。
 これまで首相は衆院選の時期について「新型コロナ対策が最優先」としてきたが、衆院解散によって「政治の空白期間」が生じるため、批判が集まる恐れもある。党内では菅首相のままでは衆院選を戦えないという声も根強くあり、解散を断念させるために巻き返しの動きが起きる可能性もある。【高橋恵子】


菅首相 今月中旬に解散 総裁選先送りの見方も 自民党幹部
                      NHK NEWS WEB 2021年9月1日
菅総理大臣は、来週前半にも、二階幹事長を含め自民党の役員人事を行い、これにあわせて閣僚を交代させることも検討しています。党幹部の間では、人事のあと速やかに衆議院選挙を行うのが望ましいとして、菅総理大臣が、今月中旬に解散に踏み切り、総裁選挙を先送りするのではないかという見方も出ています
菅総理大臣は、おととい自民党の二階幹事長と会談し、歴代最長の5年あまりにわたって幹事長を務める二階氏の交代を含め、党の役員人事を行う意向を伝えました。
二階氏の交代について、自民党内では「思い切った判断だ」といった評価の一方「内閣支持率が低下する中、二階氏を代えても国民の評価は変わらないのではないか」という指摘もあります。
菅総理大臣は、来週前半にも、自民党の役員人事を行い、これにあわせて閣僚を交代させることも検討しています。
これを受けて、党幹部の間では、人事のあと速やかに衆議院選挙を行うのが望ましいとして、菅総理大臣が、自民党総裁選挙が告示される今月17日の直前に衆議院の解散に踏み切り、総裁選挙を先送りするのではないかという見方も出ています。
ただ、総裁選挙の先送りには、立候補を表明した岸田前政務調査会長が「総裁選挙を堂々とやることが大事だ」と述べるなど、党内から反発が出ることも予想されます。
衆議院選挙の日程について、与党内では、来月(10月)21日の議員の任期満了までに実施すべきだとして、満了直前の日曜日にあたる17日に投開票を行う案が有力視されています。

4閣僚が会合 菅首相のもとでコロナ対策取り組むと確認
自民党総裁選挙を前に、加藤官房長官、武田総務大臣ら4人の閣僚が、31日夕方、会合を開き、菅総理大臣のもとで、今後も新型コロナウイルス対策に一致して取り組むべきだという認識で一致し、総裁選挙に向けて、情報交換していくことを確認しました。
加藤官房長官、武田総務大臣、萩生田文部科学大臣、井上万博担当大臣は、都内のホテルで会合を開き、自民党の総裁選挙に向けた対応を協議しました。
出席者によりますと、会合では「閣僚として、総理大臣を支えるのは当然だ」といった意見が出され今後も菅総理大臣のもとで新型コロナウイルス対策に一致して取り組むべきだという認識で一致したということです。
ただ、4人は、加藤官房長官が竹下派、武田大臣が二階派、萩生田大臣が細田派、井上大臣が麻生派とそれぞれ別の派閥に所属していて出席者からは「菅総理大臣の再選支持で派閥をまとめるのは難しい」という意見も出て、引き続き情報交換していくことを確認したということです。