2021年9月28日火曜日

枝野幸男は関ヶ原西軍の毛利輝元か(世に倦む日々)

 立民党と共産党の間ではまだ70選挙区で候補者の1本化が行われていないことについて、立民党選対委員長の平野博文代表代行24日、小沢一郎と会談し、野党の候補者調整で表に出て動いてくれと要請しました。それは小沢氏が共産党と一定の信頼関係を持っているからで、平野氏は立民党選対の中で小沢氏に動いてもらいたいという立場ですが、枝野代表は野党共闘を強く主張する小沢氏を遠ざけているので実際に動けるかは不明です。

 一方 共産党の志位委員長は27日、記者に対して、衆院選に向けた立民党との共闘関し週内に枝野代表と会談したいとの意向を重ねて表明しまし
 この時期まで候補者の調整が出来ていないのは異様なことで、官邸側のスポークスマンである田崎史郎も、早く選挙区の一本化を固めて発表した方がいいと老婆心でアドバイスしているほどです。枝野氏は「全ての選挙区で1本化するとは言っていない」と誤魔化していますが、公示の直前になれば共産党が「ベタ降り」する筈だというのが本心です。
 枝野氏が共産党との候補者調整には手をつけずに、ひたすらエネルギーを注いでいるのが立民党の新政策で、最近も「年収1千万円以下は所得税をゼロにする」という派手な政策を打ち出しました。それは先般ようやく市民連合の仲介で野党間で結ばれた政策協定にはないものです。独自政策を発表するのが不可とは言いませんが、立民党が伸びればそれでいいという考え方が不可解で、そもそも「野党共闘」の「政策合意」本当に枝野氏の本心なのかを疑わせます。
 世に倦む日々氏が「痺れを切らした平野博文のミニ政変 – 枝野幸男は関ヶ原西軍の毛利輝元か」というブログを出しました。
 因みに毛利輝元は、関ヶ原の闘いで西軍の総大将を 大阪城から一歩も出ないままで務めた人物で、関ヶ原決戦が小早川秀秋と吉川広家(毛利の家臣)の裏切りで敗北すると、家康に言われるままに大阪城を退去し以後冬に陣には加わらず、家康からはそれなりに厚遇されました。要するに最初から家康と本気で闘う意思がなかった点で枝野氏と同じと見立てた訳で、衆院選(関ヶ原)の後、立民党は、自民党の一派閥 - 長島昭久や細野豪志や桜井充も再結集した前原・枝野派 - で生き延びる最悪の将来になるかもしれない、とまで 世に倦む日々氏は述べています。
 田中龍作ジャーナルは「次の総理・世論調査 『立憲支持者も河野1位の驚愕」という記事を出しました。世論調査会社グリーン・シップが25日、行った電話調査で、「次の総理に誰がふさわしいか?」を尋ねたところ、立憲支持者の中でも1位が河野太郎氏で、枝野代表は2位だったのだというもので、党内での不人気ぶりが明らかになりました。
 併せて紹介します。
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痺れを切らした平野博文のミニ政変 – 枝野幸男は関ヶ原西軍の毛利輝元か
                          世に倦む日々 2021-09-27
長々と続いた自民党総裁選は間もなく終わる。途中から、先週(9/13-)頃から、すっかり退屈になって討論会等のテレビ放送は見なかった。森友問題とかクリティカルな論点は全て避ける進行になり、候補者間での政策主張の相違点は特になくなっている。見どころが失せた。出来レースとヤラセ芝居の本質と実態が浮き彫りになっていて、保守派以外の視聴者は興味を持てないコンテンツになって久しい。政策の論点は次第に潰され、平坦にされ、論議は自民党として一つの方向性に収斂されて行っている。討論会やその報道は、自民党の来たるべき衆院選のマニフェストの広報宣伝になっていて、その目的が露わとなり、国民への刷り込みの時間になっている。また、全国の市議や県議に向けての、或いはこれから市議や県議になろうと野心を研ぎ蓄えている者たちへの、教育訓練の時間となっている。自民党の政治家というのはこういう言葉を使い、こういう政策の口上を舌回しし、こういう態度で野党を見下して蔑めばよいのだという、自民党政治家を育てる研修素材になっている。

公共の電波を使った自民党政治の「放送大学」講座が続けられている。その結果、テレビを見ているうちに、一般国民が自民党政治家の卵に育てられ、自民党政治にコミットするサポーターに養成されるのだ。効果は小さくない。単に11月の総選挙への影響だけでなく、もっと大きな意味がある。テレビを見ながら、実家がある田舎の町の商店街に思いが寄った。通りの小売店を継いだ同級生たちがいる。昔はそれほど右傾した自民党範疇ではなく、むしろ社会党寄りの、いわば宏池会とか経世会の地方版のマイルドな雰囲気だったが、今はどうやら安倍自民党の支持者として営業して暮らしている。そうでなければ生きていけないのであり、周囲も同じなのであり、周辺には社会党の姿はなく、それはずっと大昔に絶滅し、共産党も高齢化して消えつつあるからだ。市議や県議は、高市早苗のように毒々しい右翼ほど威勢がよく権勢を張っている。そういう時代に変わったから、安倍支持者でなければ土地で具合よく商売できない。きっと、彼らはテレビを見ているだろう。学校で、必須で最新の教課の授業を受けるように。

24日(金)、立憲民主党内で小さな事件があり、代表代行で選対委員長の平野博文が小沢一郎と会談し、野党の候補者調整で表に出て動いてくれと要請したという情報が出た。そして同時に、その動きに対して枝野幸男が不快感を示すという記事も出た。要するに、枝野執行部が小選挙区の候補者調整で腰が重く、一本化が遅々として進まないため、困った平野博文が一計を案じ、「野党共闘」で力を発揮できる小沢一郎に出番を依頼したという幕らしい。現在、70小選挙区で重複したまま解決がついていない。野党間の候補者調整の問題とは、つまるところ、立憲民主党と共産党の選挙共闘のスペシファイ⇒仕訳のことであり、二党での選挙後の新政権のあり方をどうするかという問題だ。煎じ詰めれば、共産党の要求する閣外協力の形式を認めるかどうか、新政権発足時の共産党との関係をどう定義し説明するかという難題である。現時点で、共産党は野党連立政権を求め、立憲民主党は共産党のベタ降りを求めている。二つの間の距離は遠く離れていて埋まってない。枝野幸男は交渉も始めておらず、党首会談は全く見通されていない

枝野幸男は強気の態度で、時間が経って公示日が近づけば、共産党が我慢比べに負けて自動的にベタ降りせざるを得ないだろうと踏んでいる。が、すでに公示予定日から1か月を切ったタイミングにあり、このまま小選挙区の候補者が埋まらないままだと、週刊誌が次々と出してくる議席予想に大きく影響する。自民現職と接戦が予想される選挙区が20-30あると言われていて、候補が一本化されるか否かで当落予測の条件が大きく変動する。最終的に共産党がベタ降りの選択に出るにせよ、公示までの期間にマスコミがどういう情勢観測を報道するかは重大な問題で、ここで自民圧勝の空気が固まって既成事実化されれば、公示後に野党が状況を挽回するのは非常に難しくなってしまう。時間がない。本来なら、公示1か月前なのだから、現時点で焦点の小選挙区の野党候補が一本化され、顔が揃えられているのが普通だ。枝野幸男がキャッチコピーで唱える「1対1の構図」が現実に組み上がっていなければならない。選対責任者の平野博文が焦燥するのは至極尤もで、悠長な構えの枝野幸男に痺れを切らして決起の動きに出たのだろう。

おそらく、平野博文の単独のスタンドプレーではなく、共産党との選挙協力を早く固めてくれという現場や下部からの突き上げが強く、切実な要求として噴出していて、党内多数の意思が基盤としてあるのだろう。この問題は野党側の選挙運動のモメンタム⇒勢い・運動量に決定的に影響を及ぼす。下手をすれば野党側の自滅を招いてしまう。田崎史郎も、老婆心で、野党は早く選挙区の一本化を固めて発表した方がいいとアドバイスしていた。枝野幸男は政策ばかり熱心に説明して訴えているが、選挙に効果があるのは政局の方で、候補者統一の成否の方が肝要なのだと言う。そのとおりだろう。となると、枝野幸男は一体なぜ共産党との共闘交渉に腰を上げないのだろうという疑問が沸く。今回は連合から釘を刺す発言が前回より弱く、枝野幸男が外から行動を拘束制限されている様子は見られない。共産党と素早く交渉して、双方が妥協して着地点に合意すればいいだけだ。重要なのは、無党派とマスコミに「1対1の構図」を訴求し納得される態勢作りである。公示1か月前なのに、枝野幸男が交渉妥結を渋っているのは、やはり理由があり、腹の中に黒い思惑があるからだろう。

一言で洞察を言えば、それは枝野幸男のイデオロギーである。凌雲会の佞悪な政治思想だ。最近の動きを一瞥して、枝野幸男が、党の路線を人事と共に右へ右へ旋回させていることが歴然で、その中身については前回記事で詳述した。先週以来、総選挙に向けての立憲民主党の政策と立場の説明については江田憲司がテレビの前面に出ている。「野党共闘」を応援する者たちは脱力と不信の気分だろう。立憲民主党は一年前に国民民主党との合流を果たしたが、合流によって党の内部は執行部含めて大いに模様が変わった。HPで議員の顔ぶれを眺めていると、実際、ほとんど国民民主党のイメージと同じで、右傾反共の饐(す)えた悪臭が漂って鼻をつき、本当にこの面々を共産党支持者が選挙区で応援運動するのかと怪訝な心境になる。後藤祐一と笠浩史がいる。松原仁と渡辺周がいる。この議員名簿なら、横からスッと前原誠司が入ってきて、そのまま代表の座に収まっても何の違和感もない。前原誠司の子分と手下ばかりだ。合流を機に党を構成する分子は大きく変容し、4年前の「枝野立て」の清新なリベラルの党とは異質の集団に転化した。それは、市民連合の「野党共闘」が演出する理念的方向性とは正反対の性格のものである。

市民連合が発表した「野党共闘」の「政策合意」は、本当に枝野幸男の本心なのだろうか。それとも、単に選挙区で共産党の票を得るための一時的便法で、別の謀計で選挙後の立ち回りを画策していて、裏切りを前提で「契約書」に署名しているのだろうか。不意に、関ヶ原の歴史が想起され、そのアナロジーの説得力に吸い込まれて想像力の絵が浮かび上がる。枝野幸男は、実は毛利輝元なのではないか。立場的には西軍の総大将だったが、本気で家康と戦う気はなく、二股をかけてポーカーフェイスで周囲を欺き、戦場から離れた位置で傍観していた。二股の一つは、三成・吉継らが奮戦して東軍を打ち破る奇跡が起き、結果、天下が東西二分され、西日本の首領に収まることである。その工作に安国寺恵瓊を使った。もう一つは、絶対的優勢の家康と内通し、毛利の所領を最大限安堵することである。プリエンプティブ(⇒割り込み操作的に)なリスクヘッジ。その策は吉川広家に仕切らせた。智謀・策謀が身上の毛利。広家は家康の背後の南宮山に陣取る西軍軍勢を抑え込み、本来の陣形と兵力なら西軍が拾うはずの勝利を家康にもたらし、功績によって毛利家の生存維持を獲得する。余興で配役の図を拡げれば、恵瓊は山口二郎、広家は神津里季生だろうか。

松尾山の小早川秀秋は国民民主党の玉木雄一郎だろうか。いずれにせよ、毛利は三成・吉継・行長の味方ではなかった。徳川と二大政党制のシステムで政治を回すのが党の理念(幻想だが)であり、それが無理なら、徳川体制の中の一大名で生き延びられればよかった。歴史のアナロジーが不吉な占いを告げるところ、衆院選(関ヶ原)の後、立憲民主党は、自民党の一派閥 - 長島昭久や細野豪志や桜井充も再結集した前原・枝野派 - で生き延びる最悪の将来になるかもしれない。果たして、恵瓊の運命はどうなるのだろうか。


次の総理・世論調査 「立憲支持者も河野1位」の驚愕
                     田中龍作ジャーナル 2021年9月27日
 世論調査会社グリーン・シップが25日、行った電話調査(サンプル数2,142 / 固定電話1,021 / 携帯1,121)で、興味深い結果が出た。
 「次の総理に誰がふさわしいか?」を尋ねたところ、立憲支持者の中でも1位が河野太郎氏で、枝野代表は2位だったのだ。
 田中は別段驚きもしなかった。選挙取材などで、枝野代表が身内からも不人気であることをさんざん聞かされているからだ。
 地方議員Aさんは党勢低迷を「枝野天皇がねえ…」と嘆く。地方議員Bさんは「枝野執行部である限り低空飛行が続く」と分析した。
 11月の衆院選に臨む立憲の候補予定者は「党にもう少し人気があるといいんですけどねえ」と顔を曇らせた。
 田中が「枝野執行部は人気ないですからねえ」と水を向けると候補予定者は「そうなんです」。
 有権者に話しかけても「なんだ立憲か」と言われて聞いてもらえないことさえある、という。
 関東某県・市民連合の共同代表は「枝野がどうしようもないんだ。僕は立憲には入れない(投票しない)よ」とまで言う。
 この共同代表は永田町の裏も表も知り尽くした人物だ。
 立憲関係者に共通する枝野代表への不信は、ひとえに原発事故直後(2011年)の「ただちに影響はない」発言とマニフェスト破りの消費税増税にある。
 立憲のベテラン秘書は「枝野(呼び捨てで)が党首である限り政権交代はない」と言い切った。
 自民党は看板を掛け替えて総選挙に臨む。有権者は不満があっても安倍スガ政治からの脱却を期待する。
 立憲が何の新味もないまま総選挙に突入すれば、負けるのは目に見えている。
                   ~終わり~