2021年9月10日金曜日

4野党が共通政策 命守る新政権を 市民連合と合意

 日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組の野党4党と「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は8日、次の総選挙で自公政権を倒し、命を守る新しい政権の実現をめざす野党共通政策に合意しました。

 しんぶん赤旗の解説記事、提言:「衆議院総選挙における野党共通政策の提言 ―命を守るために政治の転換を―」(しんぶん赤旗)と声明:「市民連合と立憲野党の政策合意にあたっての声明」(市民連合)を紹介します。
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4野党が共通政策 命守る新政権を 市民連合と合意
                        しんぶん赤旗 2021年9月9日
 日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組の野党4党「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は8日、次の総選挙で自公政権を倒し、命を守る新しい政権の実現をめざす野党共通政策に合意しました。共産党の志位和夫委員長、立民の枝野幸男代表、社民の福島瑞穂党首、れいわの山本太郎代表が共通政策の提言書に署名しました。総選挙で野党各党が野党第1党を含めて共通政策を結び、政権交代を目ざす初めてのたたかいとなります。(共通政策全文後掲
 「市民連合」は、新型コロナ禍の政策の破綻は安倍・菅政権の9年間の帰結だとして、次の総選挙で野党協力を広げ、安倍・菅自公政権を倒して、新しい政権の実現を求めて野党共通政策を提言しました。市民連合運営委員の山口二郎法政大学教授は、共通政策の合意で「本格的な野党協力の体制を確立できた。日本の民主主義を回復する貴重な一歩だ」と発言。コロナ危機を解決するには「政権交代が不可欠」だと述べ、「選挙を協力してたたかう野党と市民の信頼感が来たるべき政権の最も重要な土台になる」と述べました。
 共産党の志位氏は、「政策提言に全面的に賛同する」と述べ、「市民と野党の総選挙をたたかう共通の政策的旗印が立派に立った。今度の総選挙は、9年間に及ぶ安倍・菅自公政治に対する総決算、チェンジの審判を下す選挙。提言にはそのチェンジの重要な政策がしっかり盛り込まれている」と強調。「この旗印を高く掲げ、結束して選挙に勝ち、この政策を実行する政権をつくるため、頑張りぬきたい」と表明しました。
 立民の枝野氏は「ともに共通して掲げる政策で一致ができた。違いを認め、強みを生かしあって総選挙をたたかえば必ず政権を代えられる。命と暮らしを守りぬく政権をつくりあげる」と述べました。
 社民の福島氏は「この6項目は希望の政治を取り戻す提言だと思う。今度の選挙は生存のための政権交代。野党、たくさんのみなさんと共闘して頑張りぬきたい」。れいわの山本氏は「人としての尊厳を守る社会をつくる、当たり前の政治をこの国につくっていかなければならない。力をあわせて形にしていきたい」と語りました。
 市民連合は、国民民主党にも参加を呼びかけていましたが、内容を検討中という理由でこの日は欠席。市民連合側は引き続き合意にむけて働きかけていくとしています。
 市民連合は、政策提言とともに、声明「野党共闘で自公政権を変えよう!」と、署名「いのちと人間の尊厳を守る政治の『選択肢』をすみやかに示してください」も4野党に手渡しました。
 市民連合に参加する各地域、各団体から、「戦争させない市民の風・北海道」の川原茂雄共同代表、「市民連合@新潟」の磯貝潤子氏、「安保関連法に反対するママの会」の町田ひろみ氏、「総がかり行動実行委員会」の高田健共同代表、「立憲デモクラシーの会」の中野晃一上智大学教授、「安全保障関連法に反対する学者の会」の広渡清吾東京大学名誉教授らが訴えました。
 政策合意後の記者会見で、「市民の風・北海道」の川原氏は、全国から「中央レベルでの政策の合意を作ってほしい」との声が非常に多かったと述べ「今回合意ができたことは非常に画期的で、地域で活動する方々に勇気を与え、各地での動きが活発化すると思う」と語りました。
 「ママの会」の町田氏は、コロナ禍で子どもの権利がはく奪されている。「学校や保育現場が対応できない状況は政治がもたらした結果。命を守る方向に舵をきってもらいたい」と訴えました。

野党共通政策の提言(骨子)
 衆議院総選挙における野党共通政策の提言―命を守るために政治の転換を―
1、憲法に基づく政治の回復
2、科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
3、格差と貧困を是正する
4、地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
5、ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
6、権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する


衆議院総選挙における野党共通政策の提言
――命を守るために政治の転換を――
                        しんぶん赤旗 2021年9月9日
 立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の党首が8日、国会内で、実現に全力を尽くすことに合意し署名した市民連合の「衆議院総選挙における野党共通政策の提言――命を守るために政治の転換を――」の全文は次のとおりです。

 新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽(いんぺい)し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。
 市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。
1 憲法に基づく政治の回復
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。
2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。
・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。
・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。
3 格差と貧困を是正する
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。
・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。
・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。
4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。
・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。
・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。
・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。
5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。
・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。
・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。
6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。
・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。
・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。
2021年9月8日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
 上記政策を共有し、その実現に全力を尽くします。
                         立憲民主党代表  枝野 幸男
                         日本共産党委員長 志位 和夫
                         社会民主党党首  福島みずほ
                         れいわ新選組代表 山本 太郎

市民連合の声明
市民連合と立憲野党の政策合意にあたっての声明

 9月8日、市民連合が要請した、衆議院選挙を戦う際の基本的な政策について、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の各党首がこれを受け入れ、本格的な野党協力の体制を確立することができた。このことは日本の民主主義を回復するための貴重な一歩であり、関係各位の努力と英断に深い謝意を表したい。また、各地の運動を通して野党に対して、小異を残して大同につくよう倦まずたゆまず働きかけを重ねてきた多くの市民にも心より感謝したい。また、国民民主党には、野党と市民の協力に結集することを引き続き求めたい。

 菅義偉首相は、自民党総裁選挙での再選が難しいと見るや、いち早く退陣を表明し、自民党総裁選挙を華々しく行うことで、菅政権に対する国民の不満、不信をそらそうとしている。新型コロナウイルスの危機をここまで深刻化させ、有効な政策を打てていないことは、菅首相個人の能力の問題だけでなく、安倍晋三前首相以来の政権及び自民党の体質の帰結である。情報を隠蔽し国民に虚偽を流布する、科学的知見を軽視し国民の声明よりも権力者のメンツや利権を優先させる、建設的な対話を拒否し議会政治を無意味化する。これらの安倍、菅政治こそが、今日の政治空白を作り出した。それゆえ、だれが首相になっても、これまでの自民党政治の厳しい総括なしには、有効な政策を実行することはできない。

 政策合意を機に、野党は政治の転換のために緊密に協力し、地域において市民もそれを支えていくことを求めたい。安倍、菅政治が続いたために、死ななくてもよい人が何人亡くなったのか、適切な医療を受けられないまま自宅で亡くなった人がどれだけ無念だったのかをかみしめることから、衆議院選挙の戦いを始めたい。

 この衆議院選挙は、野党側も政党ブロックを作り、小選挙区で政府与党対野党という二者択一の構図を全面展開する初めての選挙となる。この政策合意は、国民本位の政治を実現するための第一歩である。我々が生命と生活を守るために、さらに、個人が尊重され、自由に生きられる伸びやかな社会を作るために、我々は全力を挙げてこの選挙を戦い抜きたい。
                                                           2021年 9月 8日
                                     安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合