東京都ではコロナ感染者数のいわゆる幾何級数的な増加傾向は止まりましたが、死者数は逆に増加傾向にあります。問題の自宅療養者数(入院調整中含む)は11260人(12日)と膨大で、自宅療養中の死者は、家族の希望による看取りも含めて9月11日までに累計80人、このうち8月以降の死者数は35人に上っています(入院者を含めた全体の死者は、8月23日~9月11日で266人で1日平均13・3人)。
地域で訪問医療を行っている医師によると、「医師1人が患者の家を回るのは1日10軒が限度」で、経過観察を効率化するために「臨時の宿泊施設」として例えば「体育館にベッド100個を並べ患者を収容すれば、午前と午後に100人を2回診察できる」と述べています。
東京都は当初「医療資源はあるのでそうした非衛生的な施設の設置は考えていない」としていましたが、今はそんな段階ではないわけで、この簡単な算数が分からなのであればどうしようもありません。
東京新聞の記事を紹介します。
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<新型コロナ>
自宅療養死も相次ぐ 往診医師「適切な経過観察が重要」「体育館にベッド100台など避難的施設を」
東京新聞 2021年9月12日
東京都内では、若い世代の死者が増えているほか、自宅療養中の死者も相次いでいる。自宅療養者の往診をしている医療法人社団「悠翔会」(東京都港区)の佐々木淳理事長は「特に内臓脂肪型の肥満、糖尿、高血圧などリスクのある人は、中等症I以下(呼吸困難など)でも急激な病状悪化の可能性がある」と警鐘を鳴らす。
◆酸素投与必要な患者の95%以上が肥満体形の男性
8月中旬以降、都内各地の保健所などから、多い日には40件以上の依頼がある。往診する中等症2(酸素投与が必要)以上の患者の95%以上が、肥満体形の男性という。
都によると、自宅療養中の死者は、家族の希望によるみとりも含めて9月11日までに累計80人。このうち第5波の8月以降で35人と4割強を占めている。軽症と判断されながら急変したケースも少なくなく、10日に報告があった事例は、軽症だった肥満の60代女性が倒れているのを家族が見つけ、救急搬送後に死亡が確認された。
◆リスクある患者は血中酸素濃度をこまめにチェック
佐々木理事長は「適切な経過観察」が重要と指摘。「特にリスク要因のある患者は、こまめに血中酸素濃度を測り、低下傾向があれば早めに酸素投与し、重症化防止の治療を始めないといけない」と語る。
ただ「医師1人が患者の家を回るのは1日10軒が精いっぱい」とし、経過観察を効率化するために「医療避難所のような施設」の開設を提案。「体育館にベッド100個を並べ患者を収容すれば、午前と午後に100人を2回診察できる」という。
「病院の体裁にこだわる必要はなく、家で放っておくよりはいい。医療職不足を理由に思考停止せず、必要なタイミングでやらなければ、在宅で亡くなる人が出る」と訴えている。(宮本隆康、原昌志)
「若年でも肥満と喫煙が重症化リスク」 死者の3割近くが50代以下 都と専門家が注意呼びかけ
東京新聞 2021年9月12日
東京都内の新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向にある中、死者の発表は連日10人を超える状態が続いている。11日は17人の死亡が発表された。中でも50代以下の比較的若い世代の死者が増えており、全体の3割近くを占める。基礎疾患がない人も多く、都や専門家は注意を呼びかけている。(原昌志)
都が毎日発表している感染状況の速報を集計すると、7日間平均の感染者数が減少し始めた8月23日から、死者数は逆に増加傾向にある。同日から9月11日までの発表死者は計266人。死者は新規感染者の増加から遅れて増える傾向があり、1日平均13.3人の高水準が続いている。
年代別でみると、目立つのは50代以下の比較的若い世代で、74人と全体の28%に上る。第3波の感染者数がピークだった1月の1カ月間では、50代以下の死者は259人中11人で4%にとどまっていた。50代以下の死者の割合が上昇している背景には、感染力が強いデルタ株によって感染が若年層に広がっている一方、高齢者はワクチン接種が進んで感染者の割合が低下したことなどが指摘される。
基礎疾患の有無をみると、50代以下の死者は、基礎疾患が「なし」だった人の割合も高かった。全体の「なし」の死者は12%だったのに対し、50代以下の中では24%に上った。都の担当者は「とにかく感染しないことが重要。基本的な感染防止対策を徹底してほしい」と訴える。
一方、最近の死者には「肥満」の報告が相次ぎ、8月23~今月11日に計19人いた。うち14人が50代以下。都によると、他に重い基礎疾患があった場合は、肥満は報告から漏れることがあり、実際はさらに多い可能性があるという。都モニタリング会議でも専門家が「肥満や喫煙などは若年でも重症化リスクが高い」として注意喚起している。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。