2021年9月26日日曜日

政治私物化この目で見た 内閣が人事握り官僚機構は機能不全(前川喜平氏)

 いまの自民党総裁選から分かるのは、極右の高市氏は論外として、他の誰がなっても日本は良くならないだろうということです。自民政権は腐敗の極みに達していますが、元文科省事務次官の前川喜平さんはそれだけではなく、自民党はほとんど極右政党に近くなっているので、ほっておいたらファッシズムの道を突き進む恐れがあり、それにストップをかけるには政権を交代させるしかないと語ります。
 安倍・菅政権は14年に「内閣人事局」を作り、それにより約700人の幹部役人の人事を掌握したことで官僚機構がほとんど機能しなくなり、代わりに首相側近の「官邸官僚」たちの恣意で行政が枉げられることが日常茶飯事となりました。
 かつて文科省のトップ官僚としてそうした実態を目の当たりにして来た前川さんは、9月、新著『権力は腐敗する』(毎日新聞出版)を出しまし
 そして自民党の新総裁に誰がなっても安倍・菅政治の根幹は引き継がれるので、野党がしっかり結束して政権交代をしないと、いまの「権力の腐敗」はなくせないと語ります
 しんぶん赤旗日曜版が前川さんにいまの政治の問題点を聞きました。
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本気でチェンジ2021 政権交代で「権力の腐敗」なく廿
政治私物化この目で見た 内閣が人事握り官僚機構は機能不全
     元文部科学省事務次官 前川喜平さん
                    しんぶん赤旗日曜版 2021年9月26日号
 新著『権力は腐敗する』(毎日新聞出版)を出した元文部科学事務次官の前川喜平さんに、いまの政治の問題点を聞きました。  田中倫夫記者

       まえかわ・きへい=1955年奈良県生まれ。東大法学部卒。79年文部省
        (現・文部科学省)入省官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官、
        文部科学事務次官を歴任し、2017年退官。現在は自主夜間中学のス
        ッフとして活動し、講演や執筆を行う
          新著:『権力は腐敗する』 毎日新聞出版 21.09.03 1760円

 9年におよぶ安倍・菅政治の最大の問題点は、平気でうそをつく、説明しない、強権をふるい続ける-ことにあります。
 いまの自民党は、ほとんど極右政党のようになってきている。ほっておいたら日本はファシズムのを突き進む恐れがあります。ストップをかけるため、野党は協力して政権交代を目指すべきです。
 自民党総裁選をやっていますが、だれになっても安倍・菅政治の根幹は引き継がれます。国民の多くはそんなのはごめんだと思っています。野党がしっかり結束して、政権交代をしないと、いまの「権力の腐敗」はなくせません
 いまの自公政権与党の腐敗の最たるものは、権力の私物化です。安倍政権下での「森友学園問題」「桜を見る会」、菅義偉首相の長男が勤める「東北新社」と総務省の癒着 ・・・ 。いくらでもあります。
 文科省で私が直接関わったのは、安倍晋三前首相の「加計学園」問題です。
 2017年に、文科省内から、加計学園獣医学部創設に安倍首相が関わったことを示す文書が出てきました。加計学園に獣医学部を新設するのは「総理のご意向である」「官邸の最高レベル」が言っていると書いてありました。文科省は否定したのですが、私は記者会見で「あったものをなかったことにはできない」といいました。
 加計学園理事長は安倍さんの「お友だち」。獣医学部新設に手を挙げていた京都産業大学は排除され、「加計ありき」で進んだのです。
 安倍さんの「私物化」がむき出しに個別利益を追求したのに対し、菅さんの「私物化」はもう少し手が込んでいます。
 日本学術会議会員の任命拒否は、安保法制や特定秘密保護法など違憲性の強い立法に批判的な研究者の排除を狙ったものです。ところが理由は正面から一切言わず、憲法に基づいてやっていると開き直る。こちらのほうがより悪質です
 そうやって憲法や立憲主義、平和主義などがどんどん掘り崩されているのです。
 日本の官僚機構はいま、ほとんど機能しなくなっています。一番幅を利かせているのは、首相側近の「官邸官僚」たちです。
 第2次安倍内閣で「内閣人事局」を発足させ、約700人の幹部役人を官邸が一括管理することになった。菅官房長官と杉田和博官房副長官のコンビが最悪でした。人事権を振り回し、進言する官僚は更迭して飛ばしました。官僚たちは官邸の方ばかり見て仕事をするようになり、「忖度」「公文書の改ざん」「隠蔽」が横行するようになったのです。
 昔の官僚は、政治家の間違いや暴走に辞表を覚悟で意見したこともありました。政治家のほうもそれを受け入れる度量があった。そのようなものが失われたことが、いまの「権力の腐敗」を生み出しているのです。

仕事の内容も答えない公安調査庁は廃止を
 日本共産党は「暴力革命」をめざしているという人たちがいます。「暴力革命」の証拠を公安調査庁は68年間も調査していて、何もつかめていない。当然でしょう。日本共産党の何十年もの議会活動、政治活動を見れば常識的にわかる話です。
 私は、公安調査庁は廃止したほうがいいと思っています。実は1998年から2年間、中央省庁等改革本部に出向して、公安調査庁の縮減に取り組んだことがあります。公安調査庁の職員を呼んでどんな仕事をしているのか、と聞いても何も言わないんですよ。公安調査庁なんかつぶして、代わりに人権擁護機関などをつくったほうがいいと思いますよ。

 総選挙が近づきました。私は野党統一候補を応援します。共産党は市民連合と野党の共闘の中心になって、いろいろご苦労されています。政権交代へ、引き続き頑張っていただきたいと思います。