2022年10月14日金曜日

軍事費 5年総額43兆円 5年後は11兆円に

 政府・自民党内軍事費を2327年度の5年間総額43・1兆円現行の約1・6)を投入する案が浮上しています。これは安倍政権時代に米国に約束した「5年後軍事予算がGDPの2%レベルになるように漸増させる」ことの実行です。
 日本はこれまで軍事費はGDP比1%を目途にして来ました。それを唐突に倍増したのは、米国からNATO並みに2%に上げることを要求されたからです。
 しかしそもそも旧ソ連が台頭してきた時期に、米国がソ連の版図拡大を防止するために作った対ソ連軍事同盟であるNATOと、平和憲法を持つ日本が 軍事費のレベルを合わせなくてはならない理由などは何もありません。
 また「5年を目途」というのも、中国のGDPが米国を追い越す前に台湾有事を起こして中国を叩きたい米国が、対中戦争が勃発したときには日本をその前面に出すためである・・・に至っては「絶句」するしかありません。
 日本が軍備拡張をすれば直ちに関係国を刺激するので相手も軍事拡大に走ることになり、結局果てしのない軍拡競争に陥ることになります。そうなれば国は軍事費に回す分、民生費を削るしかなくなるので、国民の生活は一層貧しくなります(いずれは経済的に破綻します)。軍事の拡張こそは日本破滅への道です。しんぶん赤旗の記事を紹介します。
 文中に「スタンドオフ防衛能力」という言葉が出てきますが、それは「スタンドオフミサイル敵の対空ミサイルの射程外から攻撃するミサイル)による防衛のことで、敵基地攻撃ミサイルの所有を意味しています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
軍事費 5年総額43兆円 現行16倍 政府・自民狙う
NATO基準でGDP比2%に
                      しんぶん赤旗 2022年10月13日
 政府・自民党内で軍事費を2023~27年度の5年間の総額で、現行の約1・6倍となる43・1兆円とする案が浮上しています。岸田文雄首相は台湾有事への参戦を要求している米国に、軍事費の「相当な増額」を誓約。違憲の「敵基地攻撃能力」導入を軸とした大軍拡で、平和と暮らしを圧迫するもくろみに、国民的な反撃が求められます。
 軍事費は第2次安倍政権発足の13年度以降、10年連続で前年度比を上回り、8年連続で過去最大を更新しています。22年度当初予算は約5・4兆円で国内総生産(GDP)比約1・09%ですが、政府・自民党内では、GDP比2%の国防支出を目標に掲げた北大西洋条約機構(NATO)基準を採用する声が強まっています
 NATO基準で算定した場合、防衛省以外で計上されている海上保安庁や内閣衛星情報センターの予算、旧日本軍の恩給費、遺棄化学兵器処理関連事業、国連平和維持活動(PKO)分担金なども含まれ、23年度には約6・5兆円に引きあがります。その後、全体で毎年度1兆円程度上乗せされ、27年度には約10・8兆円まで膨れ上がります。現在の予算規模で計算すれば、この時点でおおむねGDP比2%になります。
 5年間の総額では、現在の中期防衛力整備計画(中期防)で定めている19~23年度の27兆4700億円から、次期中期防(23~27年度)で43・1兆円と約1・6倍になります。
 一方、自民党や防衛省内からは、軍事費本体の「純増」を求める声も出ています。その場合、軍事支出はさらに膨れ上がり、社会保障費などへの深刻な影響は避けられません。
 防衛省は23年度概算要求で、過去最大の約5・6兆円を要求。軍事力強化の7本柱を示し、その第1に敵基地攻撃能力につながる「スタンド・オフ防衛能力」をあげています。