2022年10月4日火曜日

岸田総理が「機能停止」 官邸も「機能不全」(現代ビジネス)

 3日付の「現代ビジネス」に岸田政権の現状について2編の記事が載りました。

 一つは目下 岸田首相自身が「機能停止」していて、周囲もサジを投げている状態だということです。もう一つはそんなときこそ官邸の主要スタッフがバックアップしなくてはならないのにそれがことごとく機能していないことで、それは人選を誤ったのか、岸田氏に統率力がなさ過ぎるのかということになりますが、多分その両方なのでしょう。
 これまでの政権では、良かれ悪しかれ官邸にはそれなりの人材がいて、そのリーダーシップのもとに機能していたのでその駄目さ加減がこんな風に報じられることはありませんでした。折しも10月の内閣支持率調査結果がいくつか出て、そのすべてで支持率をさらに下げています。この内閣崩壊状態はそれ以前の問題です。
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岸田総理が「機能停止」…!? 支持率戻らず「腑抜け状態」で側近たちもサジを投げた
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もしかしてオレ、最強では  ほんの数ヵ月前まで、岸田は根拠なき高支持率に酔っていた。だが砂上の楼閣は崩れるのも一瞬だ。あの日、二発の銃弾が起こした風は、政権をも吹き飛ばす暴風と化した。

もう何も考えられない
鉄板の上でジリジリと音を立てる肉を眺めながら、自民党政調会長の萩生田光一は苛立っていた。9月14日、六本木「ステーキハウス ハマ」。
この夜、萩生田が総理大臣・岸田文雄を呼んだのは、10月3日の臨時国会召集まで3週間を切ったというのに、岸田が何の指示も出さないためだ。
「総理、もう党内の議論の取りまとめに入らないと間に合わなくなります。前年の実績を踏まえて、補正予算は30兆円規模で行かせていただきます」
迫る萩生田に、岸田は視線を泳がせながら、力無く答えるだけだった。
うん。うん。任せる
当日の岸田の様子は、党内でも噂になった。
「この手詰まりの状況で、できることといえば財政出動くらいしかない。それなのに、総理は支持率暴落がよほどこたえたのか、何も考えられない腑抜けの状態だ」(自民党閣僚経験者)

岸田派研修会での「異変」
派閥の会合でも、岸田の異変に所属議員たちがざわついた。9月6日、東京プリンスホテルで開いた岸田派の研修会。ゲストの政治ジャーナリスト・後藤謙次氏が講演でこう語った。
「参院選で勝利し、岸田さんは『黄金の3年間』を手にしたと言われているが、自民党の歴史を見ると、選挙がしばらくないと安心していた政権はみな短命で終わっている。岸田政権もそうならないように願っています」
それまで頷きつつ聞いていた岸田だが、瞬間、鬼のような形相に変わった。研修に参加した岸田派の議員が言う。
「以前なら笑って受け流していたでしょうが、最近の岸田さんは余裕を失っていて、ちょっとしたことでキレてしまう。まあ、その気持ちも分からんではない。安倍さんの国葬さえやれば支持率は上がると思っていたのに、逆に2割も下がったばかりか、安倍さんの支持層は『なんで台湾の総統を呼べないんだ』とか『ダライ・ラマが来ないのは岸田が媚中派だからだ』などと逆に文句を言い出したんですから」
安倍を悼む気持ちなど、もはや吹き飛んでいた。国葬は「弔問外交」の場と開き直り、海外からの参列者と前日から会いまくる日程を組んだ。
「ヤケクソになった岸田さんは『何をやっても叩かれるんだから、得意の外交一本に絞る』と言い出した。数撃ちゃ当たる戦法で、とにかくたくさんの要人に会って手数を増やせば、批判を打ち消せると踏んだのです」(前出・岸田派所属議員)

もはや「政権末期」の様相
しかし、その目論見も当てが外れた。国葬の直前、起死回生の場にすべく勇んで出かけたニューヨーク・国連総会。
アメリカ大統領のバイデンは「キシダ、フー?」とばかりに岸田の前を通り過ぎていった。岸田はツイッターで、わずか数分の立ち話を「懇談」と言い張るしかなかった。
意気消沈して帰国した岸田を待っていたのは、またも悪い報せだった。国葬まであと3日となった9月24日のことだ。
「外務省から官邸へ『カナダのトルドー首相が国葬を欠席すると伝えてきた』と連絡が入った。それを聞かされた岸田総理は、ヘナヘナと椅子にへたり込んだといいます。結局、安倍さんの国葬にはG7首脳が一人も来ず、弔問外交は空振りに終わった。一番の大物がインドのモディ首相では、さすがに無理がある」(前出・自民党閣僚経験者)
やることなすこと、すべてが裏目に出る。岸田のメンタルは、もはやボロボロだ。
まさに安倍が世を去るまでは「何もしないから、誰からも批判されない」という無気力戦法で、支持率は高止まりしていた。
だがあの日以来、歯車は逆回転を始め、しかもその速度はどんどん上がっている。瞬く間に、政権は「末期」の様相を呈するようになった。

努力してこなかった人
党三役も経験したある自民党重鎮は「岸田さんの空虚さが、国民にも露呈した」と手厳しい。
「ヒラ議員時代から、岸田さんが党の部会で発言しているのを見たことがなかった。部会ではバカなことは言えないからそれなりに準備するものだが、岸田さんは何の努力もしてこなかったんだ。もっとも、そういう軽い人だからこそ、このタイミングで総理になれた面もあるんだがね」
10月4日で、岸田が総理総裁となって丸1年が経つ。そもそも岸田が政権を獲ったのは、前任の菅義偉がほぼ1年で政権を投げ出したことによる「棚ぼた」のおかげだった。
どだい、難局に対応できる総理ではなかったのである。前出と別の岸田派所属議員が言う。
「岸田さんは菅さんより線が細いボンボンだから、このままでは心がポキッと折れてしまう。ある日いきなり辞めるのではないか、と側近たちもハラハラしています。情緒不安定なのは、8月にかかったコロナの後遺症もあるのかもしれない。『あなたとは違うんです』と国民に逆ギレして辞めた、福田康夫元総理に雰囲気が似てきた」

官房副長官もキレっぱなし
八方塞がりでパニックに陥っているのは、当の岸田だけではない。岸田を支えるはずの官邸幹部の面々もまた、ある者は苛立って当たり散らし、ある者はやる気を失い、ある者はこっそりと逃げる算段をつけている。
「ダメだダメだ!」
官邸の一室で、集まった官僚たちを怒鳴りつける声が響く。官房副長官の木原誠二もこのところ、岸田に負けず劣らずの「湯沸かし器」と化しているのだ。官邸に出入りする某省庁幹部が言う。
「みんな幻滅していますよ。せっかく僕らが集まって何日も議論したものを、木原さんは決まって後から『ダメ』と言い出し、根拠のよくわからない感情論でひっくり返してしまうんだから。
国家安全保障局長の秋葉(剛男)さんも、安倍政権では外務審議官として汚れ役も引き受けていたのに、岸田政権では何もしないで黙っていて、最近は天下りのことばかり考えているみたいです。見限ったんでしょう。岸田政権は、僕ら役人から見ても末期ですよ」
政権にとっても一世一代の大舞台だった安倍晋三元総理の国葬でも、岸田官邸の混乱ぶりを示す事件が発生した。その詳細は、【岸田政権、もうガタガタ…木原誠二氏ら側近はミス連発、総選挙もムリで「万事休す」】でひきつづきお伝えする。


岸田政権、もうガタガタ…木原誠二氏ら側近はミス連発、総選挙もムリで「万事休す」
                         現代ビジネス 2022.10.03
                     「週刊現代」2022年10月8日号より
国葬が終わっても、支持率の急落した岸田政権が窮地にあることに変わりはない。自民党内からは「もはや政権末期のような状態だ」との声も噴出しているが、当の岸田総理のみならず、その側近たちも「腑抜け状態」で、なんらの策も打ち出せずにいるという。【岸田総理が「機能停止」…!? 支持率戻らず「腑抜け状態」で側近たちもサジを投げた】につづいて、その驚愕の内幕をお伝えしよう。

官邸官僚は機能停止
岸田官邸のガタガタぶりが露呈する事件が、立て続けに起きた。ひとつは、他ならぬ安倍の国葬の準備である。当初、元警察庁長官の官房副長官・栗生俊一が国葬儀事務局を仕切る予定だったが、栗生は逃げ回った。
「栗生さんは『安倍さんが亡くなったのは警察の失態なのに、(警察出身の)自分が前に出るわけにはいかない』と、森(昌文)総理補佐官に丸投げしていなくなってしまったんです。
結局、森さんが仕切ることになったわけですが、彼は事務が苦手で、案の定失敗だらけ。参列者の集合時間を朝の9時にしようとして『開始は14時だぞ、何時間待たせる気だ!』と総理を激怒させたり、安倍さんの遺族や事務所の意向を聞いたにもかかわらず、安倍さんと親しかった人には招待状を出さず、逆に安倍ぎらいの人に出したり」(官邸スタッフ)
そしてもうひとつが、岸田が前述の国連総会の演説で目玉にしようと考えていた、税制改正の仕込みが失敗したことだ。自民党税調にかかわる幹部議員が明かす。

「開成の仲間」も役に立たず
「岸田総理が打ち出したNISA(少額投資非課税制度)の恒久化について、8月末に総理、鈴木俊一財務大臣と木原副長官、金融庁の中島淳一長官らがオンライン会議したのですが、そこで金融庁から『システムの構築が間に合わない』と報告があった。
それを聞いた総理が『ええっ!』と言って絶句し、『来月には国連総会で発表するんだ。何がなんでも間に合わせてもらわないと困る。しっかり……準備してもらいたい!』と一同を叱咤する場面がありました。
NISAの恒久化は、'24年1月から実施するスケジュールで、総理がずっと前から木原さんに指示していた。それなのに金融庁が各金融機関へのヒアリングを進めていなかったというのですから、これは木原さんの大失態です」
官邸の要・筆頭首相秘書官として収拾に動かねばならないはずの、岸田と同じ開成高校OB・嶋田隆も、完全に機能停止状態だという。前出と別の官邸スタッフが言う。
「人脈も見識も乏しい岸田さんを本来は嶋田さんがカバーしなければならないのに、嶋田さんは『ザ・官僚』の超縦割り主義者で、自分の責任の範囲内でしか動かない
筆頭秘書官というのは、永田町からも霞が関からも恨まれながら、飴と鞭を使い分けて調整するのが役目です。小泉純一郎政権では飯島勲さんが、安倍政権では今井尚哉さんがそれをやったからこそ、長期政権が実現した。でも嶋田さんにはとうてい務まりません

解散総選挙も難しい
この臨時国会では、自民党と統一教会のかかわりについて、野党からの追及が連日続くに違いない。支持率がもう少し持ち堪えていたなら「よろしい、ならば解散だ」と総選挙に踏み切り、ご破算にする選択肢もあったかもしれない。
しかし、いまの岸田は支持率低迷にあえぐだけでなく、選挙を戦うなら避けては通れない、統一教会対策でも身動きがとれない状態だ。前出と別の閣僚経験者が語る。
「当初、岸田さんは統一教会との『完全決別』を打ち出そうとした。しかし麻生(太郎)副総裁に『それをやれば、政権も無傷では済みませんよ』と言われて思いとどまったのです。
つまり、統一教会と自民党の関係を洗うことは、岸と安倍の血脈を徹底的に調査することにつながる。そして、少なくとも萩生田、山際(大志郎・経済再生担当大臣)、場合によっては岸田さんの最側近である木原(誠二・官房副長官)の首も切らなければならない。そうなれば、この国会で総退陣ですよ」
さらに来年4月に行われる統一地方選も、障害として立ちはだかる。
「自民党本部で地方選に向けた統一教会対応ガイドラインを作り始めたところですが、教会との関係は、50票や100票がものを言う地方議員のほうが国会議員よりもさらに深い。地方選直前でまたマスコミに大々的に騒がれれば、政権どころか自民党が終わりかねない。統一教会を切るなら創価学会も切れという話にもなり、収拾がつかなくなる」(同・閣僚経験者)

麻生がハシゴを外しそう
まるで底なし沼に落ちたかのように、身動きをすればするほど深みにはまってゆく― 万策尽きた岸田政権を、大物たちも見限りつつあるようだ。岸田の後ろ盾となってきた副総裁の麻生も、その例外ではない。
「麻生さんが『万が一』を考え始めている、との話が出回っています。
その場合の次の総理は茂木(敏充幹事長)さんか河野(太郎デジタル相)さんと言われますが、人望のない二人は今や、自民党でも霞が関でも総スカン。特に統一教会に関する党内調査を仕切った茂木さんは、名前を公開された議員の強烈な恨みを買っていて、菅さんも『茂木は対応を間違えたな』と言っていた。
平成研(=茂木派)有力OBの青木幹雄さんは、これを機に派閥の会長を小渕優子(元経産相)にすげ替えようと画策していますから、茂木総理の目は当面なくなったと言っていい」(自民党麻生派所属議員)
そこで麻生は、こんな「窮余の一策」を練っているというが……。
「義弟の鈴木財務大臣をリリーフとして登板させる、というのです。しかし、人畜無害だけが売りで知名度もない鈴木さんを仮に総理にしたところで、このジリ貧の状況を打開できるはずもない。
しかもこの構図は42年前、宏池会会長の大平正芳総理が急死し、緊急避難で田中角栄さんが、鈴木財務相のお父さんの鈴木善幸さんを総理に指名した時とそっくり。善幸さんも『暗愚の宰相』などと言われて長続きしなかったんだから、縁起でもない話ですよ」(前出・岸田派所属議員)
打つべき手も人材も枯れ果てた岸田政権と自民党。このまま漂流を続ければ、日本はますます貧しく不幸になってしまう。(文中一部敬称略)