2022年10月14日金曜日

14- 徹底追及 統一協会 「関係断つ」(岸田首相)というなら調査を

 岸田首相は一貫して統一協会と自民党の癒着関係についての調査を進めようとしません。
 これでは単に「今後自民党は統一協会との関係を断つ」と口にしてみても何も解決せず、これまで通りの密接な関係が維持されるだけです。
 しんぶん赤旗が、岸田首相の態度に関して「五つの問題点」を指摘・提起しています
 12日に開かれた統一協会問題に関する野党国対ヒアリングで、高知県在住の男性が、息子が自ら命を絶ったことへのやるせない悲しみと、同協会への強い憤りを語った記事がしんぶん赤旗に載りました。併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会 「関係断つ」(岸田首相)というなら調査を
                      しんぶん赤旗 2022年10月13日
 自民党の国会・地方議員や閣僚などと統一協会との接点が次から次へと明らかになっています。同協会を「反社会的集団」だという認識を語らず、統一協会との癒着について抜本的対策をあいまいにしながら、関係を断つ」などと言う岸田首相に対し、日本共産党の志位和夫委員長は「行動が伴っていない」と批判し、「五つの問題点」を提起しています。

自民として 議員まかせの自己申告
 自民党は統一協会との「接点」があった党所属国会議員の名簿を公表しましたが、個々人に「自己申告」させるという議員まかせの対応です。そのため、「集計」後も次々に新たな接点が発覚し、追加調査を余儀なくされる泥沼状態に陥っています。
 当初自民党は、統一協会との接点があった議員は計179人だとする点検結果を公表していました。しかしその後、木原誠二官房副長官や山際大志郎経済再生担当相など、新たに関係が明らかになる議員が統出し〝報告漏れの指摘が相次ぎました。
 追加報告では、接点があったと回答した議員は1人増え、計180人、氏名公表の対象議員は4人加わり、計125人に増えるなど、点検のずさんさが浮き彫りになりました。
 癒着の中身をみても派閥幹部が統一協会関係者の票を差配するなどの疑惑が指摘され、まさに個々の議員の問題ではなく、自民党として丸ごと関係を取り仕切っていたことは明らかです。
 また、細田博之衆院議長を点検の対象外とする対応も問題に。細田氏は野党の追及に押され、関連団体の会合に計8回出席したことなどを認めましたが、世論調査(共同通信)では、説明が「十分ではない」が87にのぽっています。
 外形的・表面的な接点のみを報告する「自己申告」の点検では全容解明は不可能です。国会・地方議員、閣僚などの癒着関係を明らかにするため、自民党として責任ある調査を行うべきです。

政権として 政務三役 4割超が接点
 岸田文雄首相は、統一協会との関係について「自ら点検し、厳正に見直してもらうことが新閣僚や党役員の前提となる」と述べましたが、「見直し」は個人まかせで、政府として何の対応も行っていません。
 第2次岸田政権の政務三役-閣僚、副天臣、政務官や補佐官などの国会議員80人のうち、統一協会と関係や接点があった議員は36人と4割以上を占めています。これでは政府として統一協会に対する厳正な対応を取ることはできません。岸田首相の任命責任が厳しく問われます。
 最も接点が指摘されている山際経済再生担当相は、統一協会との関係を認めないまま、8月10日の内閣改造で留任。留任決定直後に関連団体のイベントに参加していたことを公表し、その後も報道で接点が明らかになるたぴにこれまでの説明を訂正するなど、不誠実な対応を続けています。
 山際氏は3日の会見で、統一協会の韓鶴子総裁と2018年の同協会主催のイベントで会い、あいさつした事実を認めつつ、「(2人が一緒の場にいる)写真を見て、記憶と合致した」という苦しい釈明に終始。ネパールでの会合参加について「報道をみるかぎり出席したと考えるのが自然」とし、ナイジェリアでの会合出席も外部から指摘されて初めて事実関係を認めるなど、全く反省がありません。
 山際氏をはじめ閣僚8人が統一協会と接点があることが発覚しています。山際氏はすべてを明らかにし、直ちに閣僚を辞任すべきです。その上で、政府として政務三役などと統一協会との関係などの徹底的な調査が不可欠です

 名称変更で政治的圧力下
 統一協会の名称変更をめぐり、政権側が便宜を図った疑惑が強まっています。
 安倍晋三政権下の15年、文化庁は突然、統一協会の名称変更の申請を受理し、認証しました。それまで霊感商法や高額献金が社会問題となっていたため名称変更を拒否していた経過があったにもかかわらず、認証へと一転したのです。
 この背景には当時文部科学相だった自民党の下村博文衆院議員の関与が指摘されています。名称変更は、正体を隠して活動する統一協会の手口の一つ。それに政治が関与していたならば、反社会的なカルト団体を政権が擁護していたことにもなる深刻な疑惑です。
 前川喜平元文科事務次官は、文化庁の宗務課長だった1997年ごろに統一協会が名称変更を相談してきた際、教義など団体の実態に変化がないと名前は変えられないと伝えた経緯を明らかにし、「役人は前例を重んじる。その後も同様の理由で断ってきたはずだ」と証言。名称変更に政治的圧力があった可能性を指摘しました。さらに、宗務課が当時の文科相だった下村氏に事前説明していたことも判明しています。
 当時、霊感商法や高額献金の被害者らは、統一協会の名称変更は新たな被害を生むと懸念を訴えていました。しかし、岸田首相は、志位氏の代表質問への答弁で、名称変更について「政治家や大臣の政治的関与や圧力はなかったと報告を受けている」と述べ、今後新たな調査をしない考えを表明。行政をゆがめた疑惑を放置する無責任な姿勢をあらわにしています。

安倍元首相 最大の「広告塔」票差配疑惑も
 統一協会の最大の「広告塔」だったのが安倍元首相です。参院比例選挙で統一協会の会員票を差配する役割を担っていたとの証言もあります。しかし、岸田首相は安倍氏と統一協会との癒着の全貌についての調査を拒否し続けています。
 6日の代表質問で岸田首相は「本人の心の問題だ」として、安倍氏が亡くなったいまでは、「十分に把握することは限界がある。関係者や関係書類を調査しても断片的にならざるを得ない」と拒否しました。
 志位氏は代表質問後の会見で、岸田首相の答弁について「断片的になるというが、だったら歴史的な問題の検鉦は一切できないと言っているに等しい。当事者が亡くなった場合でも、歴史的な文書、関係者に当たれば調査はできるはずだ」と指摘しました。
 安倍氏と統一協会との深い関係には、安倍氏の父・安倍晋太郎元外相や祖父の岸信介元首相にさかのぽる「安倍3代」の歴史的な結びつきがあります。岸元首相を源流とする自民党の派閥「清和政策研究会」は、普三、晋太郎両氏も会長を歴任し、同じく会長だった福田組夫元首相や細田博之衆院議長も統一協会との関係がありました。
 歴史的な関係を持ち、首相の地位にあった人物が統一協会の「会員票」を差配していたとすれば、自民党の組織的な癒着関係ともいうべき重大な疑惑です。

歴史的癒着 反共・改憲で相互に利用
 自民党と統一協会は半世紀にわたって歴史的癒着関係を持っていました。
 安倍元首相の祖父・岸元首相は、統一協会と一体の「国際勝共連合」を日本で発足(1968年)させた時、笹川良一ら日本の右翼とともに発起人を務めました。「国際勝共連合」は、文鮮明を創始者とする統一協会と一体の政治団体です。「共産主義をこの地上から完全に一掃する」ことを目的にしています。
 統一協会の田中富広会長は「(統一協会や関連団体は)創立以来、共産主義というものに対して明確に炒峙してきた」(8月10日、記者会見)と述べています。勝共連合は、選挙妨害や反共謀略ビラの配布など、選挙戦で日本共産党や革新勢力への攻撃を繰り返し、自民党に協力してきました78年の京都府知事選や79年の東京都知事選などの革新候補への反共謀略の宣伝・街頭活動を行いました。
 勝共連合は改憲運動でも自民党と歩調を合わせてきました。
 勝共連合が改憲の優先課題として掲げる緊急事態条項と家族条項の創設、9条への自衛隊の明記はいずれも自民党の改憲案と同じ内容です。
 自民党と統一協会は、反共や改憲を大きな一致点として相互に利用し合う関係を維持してきました。その全体を究明することは両者の関係を明らかにするのに不可欠です。


息子が自殺、統一協会に強い憤り 野党国対ヒア 被害者が語る
                      しんぶん赤旗 2022年10月13日
 「本当に普通の家庭が、統一協会のためにどうして」―。国会内で12日に開かれた統一協会(世界平和統一家庭連合)問題に関する野党国対ヒアリングで、高知県在住の男性(64)が、息子が自ら命を絶ったことへのやるせない悲しみと、同協会への強い憤りを語りました。

 男性によれは、入信した妻による度重なる高額献金や子どもを長期間放置しての韓国・アメリカでの布教活動、子どもへのつぼや印鑑の押し付け、「悪霊がいる」などの発言が日常的に繰り返され、けんかも増え、中学に入った長男が不登校になり、妻はそれも悪霊の仕業だと言い張ったといいます。「韓国に行ったら子どもたちは世界にはばたく、世界が統一される」と子どもたちを連れていこうとする妻と口論になり、母親をかばう長男と取っ組み合いになるなど「本当に家族が全てばらばらになっていった」と語ります。
 妻の言動に耐えかねて9年前に離婚。2年前、長男が誰にも悩みを打ち明けられずに自宅の庭で自殺。私物を自ら処分して何もなくなった長男の部屋の壁には、協会への恨みが書きなぐられていたといいます。ところが、男性が協会に交渉にいっても「全部(元)妻がやったことで、長男の自殺も協会は関係ない」の一点張りだったといいます。男性は「統一協会というのは本当にお金をとるだけで信者なんてどうでもいいんです」「命を大切にしないような、そういう教団は絶対あってはいけない」と声を張り上げました。

 ジャーナリストの鈴木エイトさんは、協会関連では類似の事例も多く、「協会の組織構造上、お金集め、霊感商法や信者のリクルートなども含めて、こういうつらい思いをする家族を増やす事件を起こしてしまう」と指摘。全国霊感商法対策弁護士連絡会の木村壮弁護士は「正体隠しの勧誘や問題のある献金について通知書を何度も送ってきた。社会問題にならないからと、ずっと放置してきたのが統一協会の実態だ」と批判しました。