2022年10月22日土曜日

自民と統一協会の接点 党として調査せよ 山添議員が迫る 参院予算委

 20日の朝日新聞が、旧統一協会が自民党国会議員と国政選挙の際に事実上の「政策協定」を結んでいたことをスクープしました。これについて協会改革推進本部の勅使河原秀行本部長も日記者会見し推薦確認書の存在を「事実」と認めました。選挙支援の見返りに、教団側が掲げる政策への取り組みを求め、賛同した議員は「推薦確認書」に署名したということで、教団側は、全国各地で数十人規模に署名を求めたと証言しています。
 この成り行きと教団側が手際よく同日に記者会見を開いたことに、自民党の中堅議員は教団側が協会に対して解散請求の動きに入っていることをけん制する目的で暴露したのではないかと見ています。自民党議員との癒着を全て掴んでいる点が教団側の強みなので、その可能性も大いにあります。逆にこの際カルトとの関係を完全に断ち切りたい自民党議員が、過去を清算するために推薦確認書の存在を表に出した可能性も指摘されています。
 自民党が先月公表した点検結果に「政策協定」の項目はありませんでした。その理由は不明ですが、結果的にこんな風なブーメランの逆襲になって顕れました。

 20日の参院予算委で共産党の山添議員は、「井野俊郎防衛副大臣 統一協会関連団体とベッタリ」と、統一協会と岸田政権、自民党とのズブズブの癒着関係をスクープした「赤旗」日曜版23日号を示し、「政府・党としての責任を持った調査を行うべきだ」「調査もせず『関係を断ち切る』ことなどできない」と迫りました。
 岸田首相は例によって「議員本人が責任を持って説明することが重要」などと繰り返すだけで調査を否定し続けました。しかししっかりした調査をしないで単に「今後は統一協会との関係を断つ」と強調されても国民の疑惑は晴れません。
 山添議員はまた推薦確認書について、統一協会は外国に本部を置く組織なので“政策協定”によって自民党を通じ外国の勢力が日本の内政に干渉した重大な疑惑だと追及しました。その意味でも、推薦確認書の問題は徹底的に明らかにする必要があります。
 しんぶん赤旗の記事(2本)とLITERAの記事を紹介します。
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自民、切れぬ癒着 統一協会接点 党として調査せよ 日曜版特報示し迫る
参院予算委 山添氏質問
                      しんぶん赤旗 2022年10月21日
 「井野俊郎防衛副大臣 統一協会関連団体とベッタリ」―。日本共産党の山添拓議員は20日の参院予算委員会で、統一協会(世界平和統一家庭連合)と岸田政権、自民党とのズブズブの癒着関係をスクープした「赤旗」日曜版などを示し、「政府・党としての責任を持った調査を行うべきだ」「(調査もせず)『関係を断ち切る』ことなどできない」と迫りました。岸田文雄首相は「(議員)本人が責任を持って説明することが重要」などと繰り返すだけで調査を否定し続けました。論戦ハイライト
 「赤旗」日曜版23日号は、井野防衛副大臣兼内閣府副大臣(衆院群馬2区)と統一協会との癒着を告発。同議員事務所が統一協会のダミー団体の代表を窓口に、統一協会関係者にパーティー券購入や自民党への入党を依頼し、“見返り”に国会や首相官邸見学をさせたと報じました。
 山添氏は、2014年にダミー団体の疑いがある群馬県伊勢崎市でパソコンスクールを運営する「福満」の福田髙雄代表を窓口にパーティー券を買ってもらった事実について追及しました。井野副大臣は「政治資金規正法にのっとって適切に処理している」などと言いながら、「現時点で資料等がなく確認できていない」などと矛盾した答弁で言い逃れようとしました。
 山添氏は、政治資金パーティーに出席した江田保則氏を国会に招待し、官邸内まで案内したのではと質問。江田氏は統一協会と一体の「国際勝共連合」群馬県本部の当時の代表です。井野氏が「(国会見学に)江田氏がいたか把握できていない」と逃げたのに対し、山添氏は、江田氏本人がSNSに公開していると指摘。「福田氏らには入党してもらったとの情報もあるが、選挙で応援を受ける関係なのか」とただしました。井野副大臣は「支援者であると認識している」などと述べました。
 山添氏は、井野副大臣の件は自民党の点検には出てきていないとして「党として責任をもった調査をすべきだ」と迫りました。岸田首相が「未来に向かって関係を断つ」と繰り返したのに対し、山添氏は「あくまで調査を否定する。これでは未来に向けて関係を断ち切ることなどできない」と批判しました。
 山添氏は、統一協会の友好団体が国政選挙前に自民党国会議員に憲法改正や家庭教育支援法制定などに賛同するよう記した「推薦確認書」への署名を求めていたという「朝日」報道についても追及。統一協会は外国に本部を置く組織であり、“政策協定”で自民党を通じ日本の内政に干渉した重大な疑惑だと追及しました。「政策に影響はなかったと思う」などと強弁した岸田首相に対し、「調査もせずに影響はないといっても何の説得力もない」と批判しました。


徹底追及統一協会 同性婚反対 憲法改定 自民議員と“政策協定”
幹部「推薦確認書」認める 選挙応援の条件
                      しんぶん赤旗 2022年10月21日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)のダミー団体が、国政選挙で自民党候補者らに推薦確認書への署名を求めていたことが20日、分かりました。同日、記者会見した同協会の勅使河原秀行・改革推進本部長が認めたもの。統一協会側は「考えが一致する先生に対して応援する」としています。同協会は同性婚などジェンダー平等に反対したり、軍事力増強を求めたりしており、これらの思想に共鳴する自民党候補者らと事実上の政策協定を交わしたとみられます。(統一協会取材班)


 ← 統一協会(世界平和統一家庭連合)のダミー団体が昨年の衆院選で自民党議員に示した「推薦確認書」(関係者提供)

 推薦確認書を提示していたのは統一協会のダミー団体「世界平和連合」。会見で勅使河原氏は同連合が推薦確認書への署名を求めていたことについて、「そういう説明を聞いたことがある」と述べました。同連合の会長は、国際勝共連合の梶栗正義会長です。
 勅使河原氏によると2、3年前に同氏が世界平和連合側に「政治家を応援するときに私たちの思想や理念と一致しているのをどうやって確認しているか」と質問した際に、用紙を見せられたといいます。用紙は「こういう法律を制定するのに賛成するか」というような内容だったとしています。
 推薦確認書は (1)憲法を改正し、安全保障体制を強化 (2)家庭教育支援法・青少年健全育成基本法を制定 (3)LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い (4)「日韓トンネル」実現を推進 (5)国内外の共産主義勢力の攻勢阻止―など反共反動の政策を列挙しています。これらの政策と一致する自民党議員、候補者らが推薦確認書を交わす対象とみられます
 統一協会と世界平和連合との意思疎通について勅使河原氏は「高いレベルで相談はある」とし、協会の田中富広会長と梶栗氏が話し合っていることを事実上認めました。
 自民党は所属議員に統一協会との関係を自主点検するように指示をしていましたが、推薦確認書への署名については点検項目に入っていません。
 本紙は昨年の総選挙で東京都内の各選挙区と比例東京ブロックから選出された自民党議員19人に、統一協会側と推薦確認書を結んだかどうか質問しました。井上信治議員、小倉將信議員、土田慎議員、萩生田光一政調会長は「結んでいない」と回答。そのほかの議員は締め切りまでに回答がありませんでした。


自民党と統一教会の新たなズブズブ関係が発覚!「政策協定」疑惑では大物幹部の名前、防衛副大臣は教団関係者に違法な便宜
                             LITERA 2022.10.21
 統一教会問題をめぐる宗教法人の解散命令を請求する要件にかんし、一夜で答弁修正した岸田文雄首相。「統一教会問題に本気で対応する気はあるのか」という世論の高まりを恐れて修正したとしか考えられないが、一方でいまだごまかしつづけているのが、「自民党と統一教会のズブズブの関係」についてだ。
 現に、統一教会とのズブズブの関係が次々に明らかになっている山際大志郎経済再生相にいたっては「これから何か新しい事実が出てくる可能性がある」などと開き直り答弁をおこなっているが、いまだに岸田首相は「未来に向けて関係を断つことが重要」と繰り返すだけで、統一教会と自民党の関係について清算する気をまったく見せていない。

 そんななか、昨日20日付の朝日新聞朝刊がスクープを飛ばした。統一教会の関連団体である「世界平和連合」「平和大使協議会」が、今年7月におこなわれた参院選や昨年の衆院選において、自民党議員に対して「政策協定」への署名を求めていた、というのだ。
 関連団体が署名を求めたのは「推薦確認書」というもので、選挙で支援をおこなう見返りとして「憲法改正、安全保障体制の強化」や「家庭教育支援法および青少年健全育成基本法の制定」「LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い」「『日韓トンネル』の実現を推進」などといった政策を取り組むことを求める内容。教団関係者は〈全国各地で数十人規模に署名を求めたと証言している〉という。
 実際、自民党の斎藤洋明・衆院議員はメディアの取材に対し、昨年の衆院選で教団関係者から「推薦確認書」を提示され、署名したことを証言。選挙において電話かけなどの支援を受けたことを明かしている。
 政権与党の議員が反社会的団体と「政策協定」を結んでいた──。これまで自民党の茂木敏充幹事長は「党として組織的な関係はない」と明言し、岸田首相も「特定の団体の働きかけが政策の決定に影響を与えたとは認識していない」と答弁してきたが、所属議員が「政策協定」を結んでいたとなれば、統一教会が政策に影響を与えていたと言うほかない
 しかも、この「政策協定」については、統一教会の元幹部が「安倍元首相が望んでいた憲法改正に必要な議席を確保するためだった」と証言をおこなっているのだ。

統一教会元幹部が証言「自民、維新、国民民主の改憲派の候補者たちを応援」
 憲法改正までが統一教会との「政策協定」の材料になっていたという事実。この証言を引き出したのは、「犯人は統一教会関係者ではないか」と噂されてきた赤報隊事件を追ってきた元朝日新聞記者である樋田毅氏。樋田氏は今年8月、統一教会の広報局長や日韓トンネル実現のための「国際ハイウェイ財団」の理事長を務めたこともある統一教会元幹部を電話取材し、8月23日に放送された津田大介氏のYouTube番組「ポリタスTV」において、この元幹部の証言を紹介。その証言とは以下のとおりだ。
「我々は大きな目標を持って今回の参院選に死ぬ気で臨んだ。それは我々の念願である憲法改正に必要な3分の2の議席を確保するためだった」
「自民、維新、国民民主の改憲派の候補者たちを応援した。選挙後、『統一教会とは知らなかった』と言われるのは、それはそれでいいのだが、我々としては、当落線上にあった候補者の方々からの申し出を受け、それぞれ『同意書』を取り交わして正々堂々と応援したのだ。同意書は抽象的な、そして簡単な内容で、共産主義に反対することと、家庭の大切さ、統一教会的に言えば、男性がいて女性がいて、その子どもがいる、というごく普通の家庭を大切にするという、誰でも納得できる内容だ」
「とにかく、選挙は安倍元首相が望んでいた憲法改正の発議に必要な議席を確保できたのだから、あとは政治家の皆さんの行動を見守るという立場だ」
 この証言は、放送後、元幹部から「今回(の参院選)はあまりに多いため同意書をとらなかった(以前の選挙では取っていた)」と連絡があり、訂正されている。しかし、今回の朝日のスクープ以降の報道では、実際に昨年の衆院選において推薦確認書に署名を求められ、署名したとする自民党議員の実名証言まで出てきている。その点を踏まえると、この元幹部による「参院選で同意書を取り交わしていた」という証言は事実だったのではないか。
 さらに、この証言が事実であれば、自民党のみならず日本維新の会や国民民主党の候補者とも「政策協定」を結んでいたということになるが、このように統一教会は明確な目的をもって候補者と政策協定を取り交わし、選挙応援をおこなってきたとみられるのだ。
 しかも、統一教会と事実上の政策協定を結んだ自民党議員には、党や政府の幹部だった大物議員もいるようだ。そのひとりとして疑われているのが、統一教会の名称変更に関与した疑惑がある下村博文・元文科相だ。
 昨年の衆院選前、当時は自民党の政調会長だった下村氏は、統一教会および国際勝共連合の幹部である青津和代氏と面談。青津氏が「青少年健全育成基本法」と「家庭教育支援法」を達成してほしいと陳情すると、下村氏はその場で事務方の秘書を呼びつけ、「家庭教育支援法、青少年健全育成基本法を必ず入れるように」と指示したことを青津氏が講演会で語っていたと「週刊文春」(文藝春秋)が報道。しかも同記事では、この衆院選の直前に下村氏が世界平和連合から推薦状を得ていたとし、組織的支援を受けていたのではないかと報じたのだ。
 下村氏は世界平和連合から推薦状を得たことを認めながらも〈推薦状が用意されていることを事前に聞いていたわけでもなく、当該関連団体に対して弊社より支援や推薦の依頼をしたこともありません〉と否定。しかし、推薦状を得ていながら、下村氏は自民党が公表した「点検」結果では、統一教会との関係について「寄付もしくはパーティー収入あり」という項目でしか名前が出てこないのだ。

井野防衛副大臣がパーティ券購入見返りに統一教会関係者を国会・首相官邸を案内疑惑
 ともかく、選挙応援という見返りを受けるために反社会的団体と軌を一にし、政策協定を結んでいた事実が出てきた以上、自民党には党をあげて徹底調査する必要があることは言うまでもない。だが、岸田自民党はまたも党としての責任から逃れようとしている。というのも、岸田首相は昨日の参院予算委員会でこの問題について追及を受けると、「一度確認する必要がある」としつつも、「それぞれの議員が自らの行動について説明責任を果たしていくことが重要だ」などと個別の議員の問題にすり替えたからだ。
 さらに、日本共産党の山添拓・参院議員が“最大の広告塔”だった安倍晋三・元首相と統一教会の関係を調査すべきと追及したが、岸田首相は「本人が反証できないため十分把握することは難しい」「(事実について)全体をどう把握・評価するかは最後は本人の判断・認識の問題であるため、調査は困難」などと答弁。統一教会との関係について客観的事実が積み上がっていても「本人の判断・認識の問題」で済ませたのだ。
 その上、2016年の参院選において安倍元首相に統一教会の組織票を宮島喜文氏に回すよう依頼したと伊達忠一・元参院議長が証言している件についても、山添議員が「伊達氏に確認しないのか」と問うと、岸田首相は答弁をさんざんはぐらかした挙げ句、「安倍総理の調査自体が難しい」と答弁。山添議員から「伊達さんお元気だと思います」と突っ込まれる始末だった。
 安倍元首相の件だけではない。自民党の“自己申告”調査では名前の上がっていない統一教会スブスブ議員はまだいくらでもいるのに、きちんと調査しようという姿勢がまるでないのだ。
 実際、ここにきて、これまでまったく名前の上がっていなかった政府要職の新たな「ズブズブの関係」が判明した。
 井野俊郎防衛副大臣が、統一教会のダミー団体とみられるパソコン教室の運営会社の代表を窓口にして、井野氏が所属する派閥・平成研究会(現・茂木派)のパーティ券購入や自民党への入党を依頼していたと「しんぶん赤旗 日曜版」が報道。統一教会関係者を通じて入党させた人たちの党費を井野事務所が肩代わりしたという公選法違反疑惑のほか、パー券購入などの見返りとして、2014年に「国際勝共連合群馬県本部」の当時の代表らを国会や一般人が入れない首相官邸に案内したのではないかと報じたのだ。
 いまこの国の防衛政策を司る副大臣が、統一教会の関係者を首相官邸に招き入れていた─。言っておくが、自民党の「点検」では井野防衛副大臣の名前は出ていないのだ。しかも、この報道があったあと、参院予算委員会でこの疑惑を追及された井野防衛副大臣は「把握できていない」などと答弁している。
 解散命令を請求する要件にかんしては突き上げを食らう前に撤回した一方、自民党議員が統一教会と積み上げてきた関係を詳らかにした上で解消するという当然の清算さえしようとしない岸田政権。この有様で、違法献金や二世信者といった統一教会の諸問題に対処できるはずがない。「政策協定」問題をはじめ、まだまだ隠されている議員と統一教会の関係について、徹底的な追及が必要だ。 (編集部)