2022年10月5日水曜日

統一教会の「恫喝」に耐えた鈴木エイトの闘い メディアは萎縮しないで

 統一教会の勅使河原秀行・教会改革推進本部長は4日、教団本部に一部の記者を招いて会見を行い、その中で政治家との関係について、「同じような考え方の政治家を応援することはある。教会の改革を推進し信頼を取り戻す」と述べ、政治家への支援継続の考えを示しました。教会を防衛するためには政治家との密着は止めないという意思表示です。

 その一方で教会は9月29日、「情報ライブ ミヤネ屋」と「ひるおび」にコメンテーターとして出演した弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、テレビ局と弁護士らに計6600万円(各2200万円)の損害賠償や謝罪広告をもとめて東京地裁に提訴しました。
 これはいわゆるスラップ訴訟と呼ばれるもので、資金の抱負な組織が自分たちへの批判を止めさせる目的で、些細な言葉尻を捉えて名誉が棄損されたとして巨額の賠償金を請求する訴訟のことです。教会は当初は頭を下げて嵐の過ぎるのを待つという言い方をしていましたが、いよいよ反撃を開始したようです。
 こうした状況の中で 東洋経済の野中大樹記者が、「統一教会の恫喝に耐えた鈴木エイトの闘い メディアが再び萎縮すれば時間は逆戻りする」とする記事を出しました。
 所轄の文化庁は野党ヒアリングの際に、何故か「統一教会への解散請求は難しい」と述べてその方向に動こうとしません。諸外国ではカルトの規制は厳しく行われているのに、なぜ日本ではそれが出来ないのでしょうか。
 そんな中で政治との関係が有耶無耶のまま、高額な献金強要の実態も放置したままで、もしも自然消滅的にいまの「統一教会」批判が収まってしまえば、結局従来通りの教会が生き残る=時間が逆戻りする という危機感を表明した記事です。
 併せて「弁護士ドットコムニュース」の記事:「旧統一教会、『ミヤネ屋』出演の紀藤弁護士ら提訴…番組中の発言で『名誉傷つけられた』賠償6600万円や謝罪放送求める」他を紹介します。
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統一教会の「恫喝」に耐えた鈴木エイトの闘い
     メディアが再び萎縮すれば時間は逆戻りする
                   東洋経済オンライン 2022/10/04
                           東洋経済 記者 
 安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件の背景には、「宗教」の影があった。10月3日発売の週刊東洋経済は「宗教 カネと政治」を特集。
 世界平和統一家庭連合」(旧統一教会、以下、統一教会)は9月29日、読売テレビやTBS、各番組で発言した弁護士3人に対して訴訟を提起した。こうした統一教会のメディアへの訴訟や抗議は過去に何度も繰り返されてきた。
 安倍晋三元首相銃撃事件の後、一斉に統一教会批判キャンペーンを展開したマスコミ。国会議員が教団のイベントであいさつしている写真や動画、教団内部の資料など、あまたのデータが「動かぬ証拠」として報道されてきた。それらの情報の多くはジャーナリスト、鈴木エイト氏により提供されたものだった。
 事件後、本誌を含め多くのマスコミ関係者は鈴木氏にコンタクトを取り、情報やデータの提供を求めた。この10年、統一教会の動向を継続的に取材してきたのは鈴木氏ほぼ1人だったからである。 
 悪質な霊感商法や高額献金、2世たちの苦悩。目を背けてはならない現実があるのに、なぜ政治家はこの教団と関わりを持つのか。そんな疑問を抱きながら、私は第2次安倍政権が発足した翌年の2013年から首相官邸と教団の関わりを調べ、記事を書いてきました。
 しかし残念ながら私と同じ問題意識を持って取材、報道するメディアはほとんどありませんでした。今年7月に安倍さんが銃撃される事件が起きるまでは」
 
政治家の戸惑い
 事件後、マスコミ各社は「教団と接点を持っていた政治家」の洗い出しに奔走し、深い関わりを持ってきた政治家は釈明に追われた。ついこの間まで問題視してこなかったマスコミの豹変ぶりにいら立ち、戸惑った政治家は少なくない。鈴木氏は、政治家による2つの発言に着目する。
 1つ目は自民党の福田達夫総務会長(当時)による「何でこんなに騒いでいるのか正直わからない」という発言。2つ目は東京都八王子市の教会との関わりが指摘された萩生田光一政調会長の「正直申し上げて、統一教会の昭和の時代の関連(霊感)商法のことなどは承知をしておりましたが、その後、悪い噂を聞くこともなかったですし、そういった報道に接する機会もなかった」という発言だ。
 2人とも正直に語っています。政治家たちは統一教会や関連団体と付き合うことを問題だとはまったく思っていなかったのだから。イベントに祝電を送ったり出席してあいさつをしてやるだけで選挙のときは信者たちが無償で猛烈に働いてくれる。マスコミがそのことを問題視しないのだから、政治家にとっては教団を使わない手はない。
 結果的に多くの政治家が教団をコンビニのように便利に使ってきた。ただし、以前は違いました。少なくとも2006年に安倍さんがUPFに祝電を送ったとき、メディアはしっかり報じているのです」
 2006年、官房長官だった安倍氏は教団の友好団体、天宙平和連合(UPF)に祝電を送っている。マスコミが報じたことで、安倍氏は、「誤解を招きかねない対応であるので担当者にはよく注意した」と、釈明に追われる事態となった。
 
統一教会のリリース
 ところが状況は変わる。
 15年余りが経過した昨年9月、安倍氏は再びUPFのイベントにビデオメッセージで登場。韓鶴子(ハンハクチャ)総裁に「敬意を表します」とまで言い切った。
 
反応しなくなったマスコミ
  山上徹也容疑者が教団と安倍さんの『近さ』を感じ、殺意を抱くきっかけになったとされる映像なのですが、もうこの頃には大手のテレビ局や新聞社がまったく反応しなくなっていました。報じたのは『週刊ポスト』と『FRIDAY』、私が寄稿した『実話BUNKA超タブー』、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のみ。
 マスコミが継続的に報道していれば、安倍さんがUPFにビデオメッセージを送るようなことも、山上容疑者が安倍さんに殺意を抱くこともなかったかもしれない。そうした観点で事件の原因を考えると、メディアの責任は決して軽くないと思うのです」
 メディア側には宗教問題を忌避する事情もあった。
  私が記事を書く媒体には、たいてい教団からクレームが入りました。鈴木エイトは信用ならない、だから書かせるべきではない、何なら当法人が正しい記事を書くライターを紹介する、といった内容です。とりわけ一時期まで私が頻繁に記事を書いていたハーバー・ビジネス・オンラインは苦労を強いられました。
 教団や政治家が訴訟恫喝をしかけてきたからです。運営する扶桑社や担当編集者、編集長の皆さんは共に闘ってくれたのですが、ある教団は扶桑社の親会社に直接クレームを入れるようになり、以後、扶桑社系のメディアでは宗教の記事を書けなくなりました。担当編集者は連載の書籍化を検討してくれましたが、企画も通りませんでした」
 
圧力に萎縮してしまったメディアの責任
 鈴木氏は、5年前に統一教会が発行したニュースリリースを今も所持する。「自称鈴木エイト氏のフェイクニュース拡散の意図とその手法について」と題された文書だ。その文書は、『週刊朝日』に鈴木氏が書いた記事について「彼の空想に基づくデマ」と断じ、記事に登場する全国霊感商法対策弁護士連絡会の名も挙げて「鈴木氏と弁護士のマッチポンプ、自作自演の連携によるフェイクニュースに、週刊朝日がまんまとだまされてしまった」と、こき下ろしている。
 「メディアが教団に触れなくなった背景には、こうした教団側からの圧力があったのです。ただし、教団には報道を止める権限はありません。報道が減ったのは、メディアが自主規制してきたからです。統一教会は事件後のマスコミ報道を『魔女狩り』だともっともらしく批判し、それに同調する言論人も出てきました。ですが、ここでメディアが再び萎縮してしまえば時間は逆戻りし、同じ過ちを繰り返すことになる」
 同様の事件を二度と起こさぬためにも、重く受け止めたい指摘だ。


旧統一教会、「ミヤネ屋」出演の紀藤弁護士ら提訴…番組中の発言で「名誉傷つけられた」賠償6600万円や謝罪放送求める
                    弁護士ドットコムニュース 2022/9/29
「情報ライブ ミヤネ屋」と「ひるおび」にコメンテーターとして出演した弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は9月29日、テレビ局と弁護士らに計約6600万円の損害賠償や謝罪広告をもとめて東京地裁に提訴した。
提訴後に記者会見を開いた教団側代理人の福本修也弁護士は「弁護士ですから、いずれ懲戒(請求)も考えています」と述べたほか、言論を理由とするさらなる訴訟も検討していると明かした。

●テレビ2局と弁護士3人が訴えられた
訴えられたのは、読売テレビ(大阪府)とTBS(東京都)の2局と、コメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士と本村健太郎弁護士と八代英輝弁護士の3人。
教団は、番組内の発言は事実に反するとして、教団の社会的評価を著しく低下させ、名誉毀損にあたると主張。各発言についてそれぞれ放送局と弁護士を訴える訴訟を3つ起こした。いずれも損害賠償とともに、番組での謝罪放送と、弁護士らには事務所ホームページでの謝罪広告の掲載をもとめている。
今回の訴訟では、名誉毀損を立証しやすい発言を選んだ結果、訴える相手がたまたま弁護士になったというが、「第2弾」「第3弾」の訴訟も検討中だという。
また、裁判だけでなく、弁護士らに対する懲戒請求の考えも明らかにした。
訴えられたテレビ局はそれぞれ「訴状を確認したうえで今後の対応を検討いたします。当社の考えにつきましては裁判を通じて申し述べてまいります」(読売テレビ)、「訴状を受け取っておりませんので、コメントを差し控えます」(TBS)と弁護士ドットコムニュースに回答した。
【追記】紀藤正樹弁護士の番組内発言について、不正確な引用だったため、記事の該当部分を削除・修正しました(9月29日18時)


旧統一教会5度目の会見 「実態と違う」激しい応酬も
                          テレ朝news 2022/10/04
 教会改革推進本部・勅使河原秀行本部長:「まず国民の信頼を得ることが一番重要。過剰な献金や宗教2世の問題に取り組んで、そういった問題が起きないようにしていくのが一番大事」
 会見の冒頭、献金に10分の3の基準を設け、超える場合には記録を残すなど高額献金の対策を公表。
 しかし、説明と実態の間にだいぶ溝があるとの指摘が。
 教会改革推進本部・勅使河原秀行本部長:「(Q.献金は信者が喜んですると言うが、信者でない家族にとって献金は家庭を破壊している?)9月22日の会見の時に従来のコンプライアンス宣言から追加した項目として、過度な献金を定義した。本人及び家族が通常の社会生活が行えない程度、借金をして献金する程度は禁止事項だと明記した。今後そういうことは起きないように指導します」「(Q.過去の過度な献金についての対応は?)もちろんそれが相談という形で正式なルートで上がってくれば、何年前のものだろうが、耳を傾ける必要があると思う。ただ、どういう具体的な対処が適切なのかはケース・バイ・ケースなので」
 そして、自民党議員を中心に次々と浮上する教会と政治の関わり。
 逆風が強まるなか、岸田文雄総理は3日、所信表明演説で旧統一教会を名指しして問題に取り組む姿勢を強調しました。
 岸田文雄総理大臣:「旧統一協会との関係については、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら信頼回復のために各般の取り組みを進めて参ります」
 教会改革推進本部・勅使河原秀行本部長:「(Q.国会で岸田総理が教団を実名で言及し、悪質商法などの問題に万全を尽くすと発言しているが?)まずこれは重く受け止めて、一国の総理大臣から言われないように、変わっていく努力を継続するしかない」「(Q.『国民の宗教』となるために政界に影響力を増していく目標があり、反社会性が強く疑われている教団が政界工作で不安を抱く国民が多くいるが?)その中には理念や私たちの考え方はほとんど横に置かれて、特に様々なトラブルに派生してる部分が強調されていると思うが、様々な批判をされている状況では何をやっても難しいので、まず内部改革を行い、しっかりとした誰からも批判されない宗教になっていく。そこを取り組むのが第一」