2022年10月21日金曜日

伊藤詩織さん逆転勝訴 杉田水脈氏に賠償命令 東京高裁

 性暴力被害を訴える自身を中傷する、「枕営業の失敗」「ハニートラップ」「売名行為」などの投稿 25件に執拗に「いいね」を押して名誉感情を侵害されたとして、ジャーナリスト伊藤詩織さんが、自民党の杉田水脈衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であり、請求を退けた1審判決を変更し、55万円の支払いを命じました。
 この訴訟はツイッターの投稿自体ではなく、それに「いいね」を繰り返したことが名誉棄損になるのかがテーマで注目されましたが、1審判決は、「いいね」は「称賛する」から「悪くない」まで幅広い意味があり、対象も、投稿の全部なのか一部なのかを区別することはできないとし、違法となるのは、感情の程度が特定できたり、加害の意図を持って執拗に繰り返されたりした場合に限られるとして、こうしたケースに該当しないと判断しまし
 当時の報道等によれば杉田氏は殊の外伊藤さんに対して悪意を示していましたが、1審の論理によれば、「いいね」だけでは、それを11万人のフォロワーを持つ杉田氏が25回行おうとも名誉棄損にはならないということになります。
 それに対して東京高裁は、「中傷ツイートに『いいね』を押す行為は、伊藤さんを侮辱する内容の書き込みに、好意的・肯定的な感情を示すために行われたと認められる」とし、「伊藤さんに対して揶揄や批判などを繰り返してきた杉田議員が、中傷ツイートに『いいね』を押して、賛意を示すことは、名誉感情を侵害するものと認めることができる」として伊藤さん側の訴えを認めました。これは常識に沿うもので、ようやく納得できる判決が得られました。
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伊藤詩織さん逆転勝訴、杉田水脈氏に賠償命令 中傷投稿に「いいね」
                            毎日新聞 2022/10/20
   動画あり  https://youtu.be/vsR7oOWodzU (1:00)
 ツイッターで自身を中傷する投稿に「いいね」を押されて名誉感情を侵害されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(石井浩裁判長)は20日、賠償責任を否定した1審・東京地裁判決(今年3月)を変更し、杉田議員に55万円の賠償を命じた。
 1審判決によると、元TBS記者の男性から2015年4月に性暴力を受けたと訴える伊藤さんに対し、「枕営業の失敗」などとする複数の匿名の投稿がされた。杉田議員は18年6~7月、こうした投稿25件に「いいね」を押した。
 1審判決は、「いいね」は「称賛する」から「悪くない」まで幅広い感情を含んでおり、対象も投稿の全部なのか一部なのかを区別することはできないと指摘。違法となる余地が生じるのは、感情の程度が特定できたり、加害の意図を持って執拗(しつよう)に繰り返されたりした場合に限られるとし、杉田議員についてはこうしたケースに該当しないと判断した。【遠藤浩二】



杉田水脈衆院議員への訴訟で逆転勝訴の判決言い渡し後、記者の囲み取材に心境を語る伊藤詩織さん(左から2人目)=東京都千代田区で2022年10月20日午後1時52分、幾島健太郎撮影