2022年10月1日土曜日

パートナーシップ制度と統一協会(中)/統一教会 闇の実像 第2回・第3回

 しんぶん赤旗及び同日曜版の連載記事「パートナーシップ制度と統一協会」(中)と「統一教会 闇の実態 」の第2回・第3回を紹介します。
 後者の第3回では「統一協会の教義」に触れていますが、普通の人間には到底理解不可能なものです。
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パートナーシップ制度と統一協会(中)
   「教示」通り県議質問(静岡県) 導入「慎重」県政に迫る
                       しんぶん赤旗 2022年9月30日
 性的少数者のカップルの関係を自治体が公認する「パートナーシップ制度」の今年度中の導入をめざす静岡県。
 3月3日、県議会で「パトナーシップ導入が性的少数者のニーズに応えているのか、同性婚推進を求める一部の声に左右されていないか」と質問した議員がいます。

信者を明らかに
 自民改革会議の藤曲敬宏議員です。自ら学生時代から統一協会の信者であることを明らかにしています。
 藤曲議員の「政務活動費」収支報告書によると、「2月議会質問で扱うパートナーシップ制度について、『専門家』の意見を伺う」ためとして、2月27日、東京の渋谷駅近くのホテルに出向いています。往復の交通費7480円が政務活動費から支出されています。
 専門家とは、だれでしょうか。報告書には「青津和代氏」とあります。統協会(世界平和統一家庭連合)と一体の「国際勝共連合」の幹部です。
 青津氏からの「教示」として潜在的性的少数者に比べ、申請者数が少ない現状から、パートナシップ制度が性的少数者のニーにあっているのかという現状が浮かび上がってきた」と報告書にしています。
 静岡県内では、今年4月か静岡市、湖西市でパートナーシップ制度が開始されました。藤曲氏は、2020年4月の浜松市、21年4月の富士市のそれぞれの制度導入以降の申請者数をあげて、「少なすぎる」としました。
 青津氏の「教示」の通りに、藤曲氏は質問し、パートナーシップ制度を排除した施策を、県政へ反映させようとしているのです。

「ニーズの有無」
 静岡県で活動する当事者団体の一つ「浜松TG(トランスジェンダー)研究会」の鈴木げんさんはハ「ニーズの有無」を持ち出すことに対し、きびしく批判します。
 「本来婚姻は、すべての人が選択できる平等な権利なはず。しかし、戸籍上同性同士のカップルには認められていない。そこが問題なんです。当事者からの二ズがあるかないかの問題ではない
 藤曲県議が導入済みの自治体で申請者が「ゼロか1人」の事例をあげたことについて、鈴木さんは、「小さな町ほど、差別を恐れて当事者はカミングアウトじづらい。だからこそ、それを回避するために県単位の制度が求められている」と反論します。藤曲県議が「同性婚につながる」と脅していることについて、「捉え方がまったく逆」と指摘します。
 「パートナーシップ制度は、法的な効力はありません。しかし、2人の関係が公に認められることでエンパワーメント⇒力づけられるされ『私たちはここにいます』と胸を張ることができます。それが全国に何百人、何千人となれば大きなカになり、国が認めざるを得ない。結婚の自由をすべての人につなげていくために、私たちはそれぞれの地域でがんぱっているのです」 

       パートナーシップ制度導入自治体数と登録カップル数の経年推移

 

 

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

 

 

導入自治体数

6

7

24

51

110

224

 

 

登録カップル数

96

195

521

1052

2018

3168

 

    導入自治体数は7月時点  登録カップル数は6月時点
        (注.原記事はグラフ表示)        (つづく)


統一協会 闇の実像 2〝売り込み″から〝取り込み″へ
自民と議員が訪韓ツアーを詳細リポート 反共講義に「胸つまる」
KCIAと意見交換、勝共連合の本部も訪問
                   しんぶん赤旗日曜版 2022年9月18日号
 長年にわたって統一協会=勝共連合問題を取材している宗教ジャーナリストの柿田睦夫さんのシリーズ「統一協会 の実像」の2回目。統一協会と自民党の癒着の実態に迫ります。

京都府議ら28人訪韓妓生つき食事接待
 自民党にその存在感を最初に見せつけた1970年京都府知事選のあと、統一協会は勝共連合を使った売り込みを継続しつつ、個々の議員や組織との接触にも着手していました。〝売り込み″から〝取り込み″へその同時進行です。
 73年5月、京都府内の府市議会議員らによる「訪韓議員団」がその一例。蜷川虎三知事 (以下、肩書は当時)が民主府政7期目を目指す74年知事選を1年後に控えたときのことです。
 「京都民報」同6月24日号によるとツアーを組んだのは統一産業。韓国製空気銃などを扱う統一協会の事業部です。5日間の日程で田中三府議を団長に自民党の府議4人、京都市議5人ら28人が参加。団員の太田茂三宇治市議(自民党宇治支部長)が地元紙「城南新報」にその詳細をリポートしました(6月5日~14日付まで8回)。
 一行は韓国中央情報部(KCIA)で意見交換し、国際勝共連合本部で講義を聞き、板門店や国立墓地を視察、朴正煕軍事政権下で任命制の慶州市長と面会。勝共本部の反共講義を太田氏は「極言」だが「胸のつまる思い」だったと書いています。もう一つ、詳くリポートしているのが歓迎夕食会のこと。
 「歓迎妓生(キーセン)パーティーが韓国随一といわれる山清閣で催されました。公式訪問する人々の為に政府が指定した料亭で山の中腹にありとても立派な建物でした。一人に一人の美妓(びぎ)がつき料理も一流のものを盛り沢山出されましたが三分の一も消化したでしょうか」
 日本統治下では公娼(こうしょう)制度に組み込まれていた妓生は、朴政権下では外貨獲得のための国営妓生″になり、当時は日本の旅行社が妓生観光″のツアープランを売っていました。

選挙支援に信者派遣 相手候補への妨害も
 同時にこの頃、京都府内では勝共連合が自民党の支部レベルに接触。「勝共連合から協力申し入れ」があり「組織的には関係ないが思想の上では自民と勝共は一致する」(73年自民党府連大会)として町議選で協力を受け入れる支部もありました。
 78年京都府知事選で勝共連合の威力を見せつけたあと、統一協会の自民党浸透速度は急加速します。両者をつなぐのは選挙支援と秘書の提供、その見返りとしての祝電、祝辞や講演と政治的行政的便宜の供与です。
 選挙支援といっても統一協会の組織票は全国集めて十数万票程度。統一協会の選挙支援とは運動員の提供です。統一協会のそれぞれの部署から、これが「神の摂理」だとして派遣されます
 そのさい注意されるのは統一協会とは絶対に言わないこと。「勝共連合から来ました」といい、文鮮明の写真などは身につけず、もし警察につかまっても統一協会のことは出してはいけない。多くの元信者がそう証言しています。
 統一協会でも勝共合でもなく地域のサークル名を使うこともあります。たとえば東京都足立区にある統一協会足立教会。北東京教区の拠点教会です。取材当時、ここには「たんぽぽ」というボランティアサークルがありました。荒川河川敷の清掃や地域行事への協力などの活動をし、これに参加する区議会議員もいました。
 2000年代前半、同教会に所属していた女性は何回も「たんぽぽ」の名で選挙の支援に出ました。
 選挙に派遣された信者たちは、ビラまきから電話工作、宣伝カーのアナウンスと、何でもこなします。駅頭街宣の聴衆になり拍手や歓声を送ることも。相手候補のポスター破りといったダーティーな活動もいとわないから候補者としては重宝な存在だということで、選挙のときは勝共連合に頼むという議員が増えていきました。


統一協会 闇の実像 3 「祝福」と「万物復帰」(上)
集団結婚で救済″され天国ヘ ジェンダー平等敵の家族観
                   しんぶん赤旗日曜版 2022年10月2日号
 統一協会=勝共連合を長年取材している宗教ジャーナリストの柿田睦夫さんのシリーズ「闇の実像」。3回目は彼らの「教義」の実像を据り下げます。
 あるときは反共謀略の勝共戦士になり、あるときは霊能者になって「霊界の先祖が助けを求めている」と語る・・・。そんな信者たちのバックボーンは統一協会の教義。その中核が「祝福」と「万物復帰」です。

原罪を脱ぐ
 「祝福」は人類救済の教え。教理解説書『原理講論』によれば、アダムとエパの時代、エバの不倫によって人類は原罪を負いサタンの血統となります。神文鮮明によって清められた女性が子を産むことで血統転換がなされ、人類は救済される・・・。韓国の土着宗教の流れをくむ「血分け」の教理であり、それを象徴化したのが集団結婚です。
 文鮮明自身、統一協会発足直後の1955年、「血分け」の実践中に女子大生の不法監禁容疑で逮捕されています(告訴がなかったことで不起訴に)。これが統一協会の実態です。
 集団結婚の中身は「原罪を脱ぐ血統転換、すなわち血肉を交換する式」(文鮮明の説法、70年)である「聖酒式」や、積み重ねた罪を清算するために互いが相対者(結婚相手)の尻を棒で打つ「蕩減棒(とうげんぼう)」など「すべての男女は腰の骨を誤って使ったため」(同68年)だとされています。
 そのあと原則40日間の聖別(別居)期間を経て迎えるのが「三日儀式」。初日、2日目・・・と、男女の位置まで定めた初夜セレモニーです。文鮮明はこれを「実体的な復帰式」と呼んでいます(同78年)。
 こうした「祝福」で結ぱれた2人だけが天国に行くことができます。「祝福」参加の条件となる伝道、霊感商法、勝共活動といった信仰活動も天国への準備です。
統一協会では、母の胎内にいる約10カ月も、生まれてから死ぬまでも「準備」の期間。死後に迎える「霊界生活」こそが「永遠」です。
 その霊界には「天国」「中間霊界」「地獄」の三つの世界があります(教団誌『グラフ新天地』2008年10月号他)。中間霊界は「善良なる人が行く労働霊界」。ひたすら働く世界です。霊界の最下位にある地獄は暗く冷たく悪臭の漂う世界。「地上で犯した罪は、地上で償わなくてはならないので、(地獄の霊は)地上の子孫に救いを求めてきます」(同誌)。これが地上の信者の「先祖解怨」と称する高額献金ノルマにつながります

生身の女性と死者の「婚姻」も
 衣食住の心配もなく、願うものすべてが手に入るのが天国。その条件はー。
 「天国は『二人の国』と書きます。文字通り天国は人では入れません。真の愛を完成した夫婦がそろって入るのです」(同)
 つまり「祝福」の2人こそが天国に行く有資格者。既婚者の場合もあらためて「既成祝福」を、伴侶と死別した人も霊界の伴侶との「霊界祝福」を受ます。84年、文鮮明の次男文興進(当時17)が交通事故死したさいには、側近幹部の娘(同21)との「霊魂結婚」が行われ、統一協会機関紙「中和新聞」はこれを「御聖婚」と伝えました。
 韓国生まれの宗教である統一協会の教理解説に日本語の「天」の字解きが登場すること自体が奇想天外な霊感論ですが、とにかく「二人」でなければならない。そのためには生身の女性を死者と「結婚」までさせる。そのどこに人間の尊厳″や性の尊厳″があるのでしょうか。

教義に反する同性婚男女共同参画を攻撃
政治ゆがめる
 血分けをルーツにした「祝福」がいま、ジェンダー平等を求める流れの中で根本的に問われています。同性婚を認めれば「清められた女性が子を産む」ことを人類救済の大前提とする「祝福」教義は成り立たない。男女の婚姻を前提にする「家族」論も同じです。だからこそ彼らは、男女共同参画や性教育問題に口をはさみ、「家庭教育支援条例」を推進するなど攻撃を強めています。協会の存立のために、自民党を後押しし、ジェンダー平等に敵対し、政治をゆがめているのです
 しかし、彼らにとっての大きな弱点は「韓国中心主義」。日本などはサタンの国、韓国は神の国であり、日本は朝鮮を併合し、植民地支配をしたから、多額献金などの収奪は当然というもの。この問題点は後述します。 (つづく)