2022年10月15日土曜日

マイナカード強要を許さない!/公費負担残し5類相当に変更 (植草一秀氏)

 岸田首相は先のGX実行会議で唐突に原発の建設や次世代原発の開発などを言い出して呆れさせましたが、今度は河野デジタル相が、これまでの保険証を24年秋に原則廃止しマイナンバーカードに一本化すると言い出しました。これは実は岸田首相の意向で、8月の組閣直後にすでに河野大臣に保険証との一本化を指示していたということです。

 マイナンバーカードには様々な問題があってこれまではカードを持つか持たないかは国民の選択に任されていました。それが急転直下 24年秋までに全員がマイナンバーカード所持を強制されることになりました。そんなことを関係閣僚だけで決めていい筈がありません。
 個人情報の秘密は守られるのか、外部漏洩などのセキュリティー上の問題はないのか、医療機関のカード読み取り機の普及率はまだ30%程度なのに・・・等々、ここでも問題は山積しています。保険証や運転免許が全てマイナンバーカードに集約された場合、カード紛失時の本人証明はどうなるのかという指摘もあります。。
 植草一秀氏が「マイナカード強要を許さない!」とする記事を出しました。
 Smart FLASHは「保険証廃止でマイナンバーカード事実上義務化へ 利便性上がらずリスク拡大の強引な方針に『史上最低の総理』と非難轟々」という記事を出しました。
 植草一秀氏はまた、「(新型コロナは)公費負担残し5類相当に変更」という記事もだしています。3つの記事を紹介します。                       
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マイナカード強要を許さない!
                             植草一秀の「知られざる真実」 2022年10月13日
健康保険証を人質に取ってマイナンバーカードを強要することは不当だ。
河野太郎氏は新自由主義経済政策を推進するハゲタカ資本のエージェントでしかないと見られる。
昨年9月の自民党党首選で米国を支配するディープ・ステイト勢力=ハゲタカ資本は河野太郎氏の当選を希求したと考えられる。
2001年の小泉純一郎内閣の発足以降、ディープ・ステイト勢力=ハゲタカ資本が日本政治への直接支配を強めてきた。
新自由主義経済政策は格差拡大を容認し、弱肉強食を奨励するスタンスをむき出しにしてきた。
同時に、民営化・特区などの見かけを装い、公的事業の利権を収奪し、ハゲタカ資本への利益供与策を展開し続けてきた。
郵政米営化、りそな銀乗っ取り、かんぽの宿利権収奪未遂事案などもこの路線上に展開されてきたもの。

アベノミクスの核心は「成長戦略」にあった。「成長戦略」とは「大資本利益の成長」戦略であって、「一般庶民不利益の成長」戦略だった。
その柱は、1.農林水産業自由化、2.医療自由化、3.労働規制撤廃、4.法人税減税、5.民営化・特区利権創出、にあった。
アベノミクスの下で日本経済はまったく成長できなかったが、大企業利益だけは激増した。
経済のパイが拡大しないなかで大企業利益だけが突出して拡大したことは、労働者への分配が減少したことを意味する。
雇用の数だけは増えたが雇用者への分配所得が減少したため、労働者一人当たりの実質賃金は6%も激減した。
日本は世界最悪の賃金減少国に転じたのである。

ハゲタカが推進する新自由主義を積極推進する人物に日本政治を担当させる。
これがディープ・ステイト=ハゲタカ資本の意思だ。
この勢力は昨年自民党党首選で河野太郎氏の当選を希求したが河野氏の人望の欠落から当選が叶わなかった。
岸田文雄氏は当初「分配問題が重要」と述べていたが、ハゲタカ資本の圧力に屈して「まずは成長」に転じた。岸田氏はディープ・ステイト勢力=ハゲタカ資本に恭順の意を示すことによって政権基盤を確保したのである。

その岸田氏がIT担当相に河野太郎氏を起用。
この河野氏が健康保険証廃止=マイナンバーカード強要策を提示した。
ハゲタカ資本の命令に従順に従う河野氏の基本姿勢が鮮明だ。
しかし、マイナンバーカード制度に対して日本の主権者の強い反発が存在する。
その理由を一言で表示すれば「政府への不信」。
政府を信用できない。これがマイナンバーカード制度反対理由の核心だ。
政府がマイナンバーカード制度強要を目論むのは国民管理=国民監視のためだと見られている。
特定の人物や勢力を政府が監視の対象に置く。公安が監視対象にする国民や勢力が存在する
このこと自体が憲法違反の違憲行為である。
しかし、その目的のためにマイナンバーカード制度が悪用されることは明白だ。
信用できない政府に危険なツールを与えることはできない。これが主権者多数の声である。

しかし、政権与党は国会における多数議席を占有している。
この「数の力」で強行すれば何でも可能になる。
「安倍国葬」も議会の「数の力」で押し切れば国会承認を得ることは可能だっただろう。
その最低限のプロセスを踏むことを拒んだのは岸田首相の大失策である。
憲法は国会に国権の最高機関の地位を付与し、国会を唯一の立法機関と規定している。
国葬強行は不当だったが、国会審議に付し、国会での承認する手続きを踏んでいれば国葬強行に対する批判は和らいだ面があったと考えられる。
安倍内閣は「数の力」を頼りに、不当な施策を推進した。
憲法解釈を勝手に変更し、特定秘密保護法、共謀罪、戦争法制などの不当法制制定を強行した。

このような暴政、悪政を除去するには政権を刷新することが必要。
悪政を強行する政権を除去しなければ日本は暗黒社会から脱却できない。
マイナンバーカード制度強要の悪政を除去するために、市民が声を挙げて行動することが求められるが、最終的には政権刷新まで漕ぎつけることが重要になる。
この点を再確認しておきたい

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保険証廃止でマイナンバーカード事実上義務化へ 利便性上がらずリスク拡大の強引な方針に「史上最低の総理」と非難轟々
                         Smart FLASH 2022.10.12
 10月11日、政府が、現行形式の健康保険証を2024年秋にも原則的に廃止する方向で調整していることが一斉に報道された。マイナンバーカードと一体化した保険証の利用へと切り替える。13日にも、河野太郎デジタル相が発表する見通しだ。実現すれば、マイナンバーカードが事実上、義務化されることになる。
 運転免許証との一体化についても、2024年末までに実現という現在の目標を、さらに前倒しできないか、検討を進めている。
 2021年10月から、マイナンバーカードを保険証として利用する「マイナ保険証」が導入されている。だが、「日本健康会議」が2022年9月4日に公表したデータでは、マイナンバーカードの読み取り機を導入した医療機関や薬局は6万4965施設で、目標とする20万施設の32.5%にとどまっている。

 政府は2023年4月から、マイナ保険証によるオンライン資格確認を義務化する方針を示している。だが、全国保険医団体連合会(保団連)は9月22日、厚生労働省にシステム導入義務化の撤回を要請した。すべての対象医療機関が期限までにシステム導入することは現実的に困難であるためだ。
 10月6日には、埼玉県内の開業医などでつくる県保険医協会が、調査で約9割の開業医が反対したとして、同じく撤回を求めた。
 10月2日時点で、マイナンバーカードの申請者数は7011万人で、人口の55.7%まで増えた。だが、個人情報漏えいを懸念する声は根強く、普及の壁となっている。
 立憲民主党の石垣のりこ参院議員は、10月12日、自身のTwitterにこうつづった。
《任意といいながらマイナカードを事実上義務化する政府のやり方は卑劣。一本化すれば紛失や盗難時の不正使用等の問題はより深刻になる。何でも一つに統合すれば利便性が向上するわけではない。あくまで利用する個人にとって、信頼できる使い勝手の良い制度でなければならない》
 SNSでは、保険証を廃止し、マイナンバーカードを事実上、義務化する方針に反対する声が多く上がった。
カードは任意、マイナンバーは他人に絶対知られないように、と始まったものがなぜこうなる? 利便性は上がらずリスクのみ拡大した上に命綱の保険証まで廃止は有り得ない
《マイナンバーに免許証と保険証を一枚に収めたら。紛失した時に何を以て身分を証明する? 本当勘弁してよね。大事なものは一個一個別に保管し危険を分散することなんだよ》
《史上最低な総理大臣だと思う。保険証廃止? 安倍の方がまだマシだった》
「聞く力」をアピールする岸田文雄首相に、この声は届かないのだろうか。


公費負担残し5類相当に変更
              植草一秀の「知られざる真実」 2022年10月12日
岸田内閣消滅が秒読み態勢に移行している。しかし、岸田首相は態度を変えない。
安倍元首相と旧統一協会の関係を調査しない。
旧統一協会と深い関わりを有する閣僚や自民党役員を更迭しない。
コロナの指定区分を変更しない。
さらに日本円暴落に対応しない。
インフレ亢進に対応しない。
「検討する」とだけ答えて何もしない「検討使」。「聞く力」は消えて「逃げる力」に転じている。

コロナ感染が減少して全国旅行支援の利益供与策を始動させたが、相変わらずの支離滅裂が続く。
利益供与を受ける条件が「ワクチン3回接種証明」または「陰性証明提示」とされている。
「ワクチン3回接種証明」に感染防止上の何の意味もない。
ワクチン接種を受けてもコロナに感染する。3回接種は非感染の証明にもならない
ウイルスの変異が進み、過去に接種したワクチンは変異したウイルスに対する有効性を失っている。
「ワクチン3回接種証明」は政府の命令に従順に従った「従順証明」でしかない。
政府の命令に従順に従う「従順国民」には旅行支援利益供与を提供するということなのだろう。反知性主義の極致。陰性証明提示にはそのたびに検査が必要になる

現時点では無料検査が実施されているが11月以降は無料検査を打ち切る方針を示している自治体が多い。
ワクチン接種を受けていない者が旅行支援を受けようとする場合、検査費用が自己負担となるのは「法の下の平等」に反する諸外国では接種証明制度がほぼ全廃されている
ワクチン利権の本拠地である米国だけがワクチン接種を入国条件に設定しているのみ。

いま何よりも必要なことは新型コロナの指定区分を変更すること。
第2類相当の指定区分を維持すれば感染第8波が到来したときに、再び大混乱が生じる。
第7波の感染が縮小したいまこそ、指定区分を第2類相当から第5類相当に変更するべきだ。
5類の場合、公費による全額負担がなくなる。このことが取り上げられる。
したがって、公費負担を残して、それ以外の措置を第5類相当に変更するべきだ。
ウイルスの変異が進み、コロナ致死率が大幅に低下している。
すでにオミクロン株において致死率は季節性インフルエンザと同程度にまで低下している。
それにもかかわらず、コロナを第2類相当に据え置くことが大きな問題を引き起こす。
第2類相当の場合、保健所と急性期病院が対応の中核となり、それ以外の医療・介護関係者が関与できない。
国費負担を継続し、それ以外の措置を第5類相当に変更することが合理的。

ところが、岸田内閣は指定区分の変更を拒絶している。
理由は、現行の2類相当区分によって厚労省が支配権を保持でき、保健所、急性期病院、検査会社、宿泊療養施設などの多くの関係者が補助金などの利益にありつくことができるからだと見られる。
2類相当指定の下で国立病院機構、公立病院、地域医療推進機構が驚異的利益を獲得したことを見落とせない。
         各機構の収支推移(億円)









コロナによって巨大利権が発生し、この巨大利権を温存するために2類相当指定が温存されているとするなら本末転倒。

もうひとつの重大事実が存在する。
日本政府がワクチンメーカーと8.8億回分のワクチン購入契約を締結していること。
指定区分変更はワクチン接種の劇的減少をもたらすと考えられる。
巨大な国費喪失が発生する可能性が高い。ワクチン予算は4.7兆円計上されており、このうちワクチン費用が2.4兆円。残りの2.3兆円が巨大なワクチン接種利権。
この巨大なワクチン接種利権が指定区分変更によって消滅することを阻止しようとする力が働いている。利権まみれのコロナ行政を根本的に是正することが求められている。
       (後 略)