2022年10月16日日曜日

【政治考】内閣支持率3割切る 走る衝撃 たたかい今こそ

 時事通信の世論調査によれば岸田内閣の支持率が274%まで落ち込みました。

 中祖寅一氏がしんぶん赤旗に【政治考】を載せ、そのなかで、自民党関係者「山際大臣も細田議長も早く辞めさせなければ、国会は永遠に空転してしまう」という言葉や、「こんな苦しいときに、物価高や円安の問題にも取り組まず、統一協会問題にも明確な対応ができず『何をやっているのか』という不信がある」などの言葉を紹介しました。
 アベノミクス・異次元の金融緩和の破綻はもはや明瞭で、それを転換しなければこの未曽有の窮地から逃れることはできないのに、岸田首相はいまだに『安倍政治継承』でやろうとしています。信じられない話です。
 それなのに岸田政権は追い詰められれば追いつめられるほど、アメリカや財界、従来の右派の支持を取り付けるべく閣議決定でなんでもできるという強権主義を強めています。これでは支持率が回復する見込みなど皆無で野垂れ死にする以外はありません。
 世界的なインフレ旋風の中で、日本は輸入品価格の高騰で他の何処よりも国民生活が圧迫されているにもかかわらず、米国に約束したからと言って軍事費を5年以内にGDPの2%にまで増加させるとして、その初年度予算案を組みました。

 そして軍事予算の増額の必要性を示すために、中国の脅威を宣伝し「反撃能力保有」必要性を強調しています。これについて五十嵐仁法政大名誉教授(政治学)は政府が国民に恐怖心を与えて「反撃能力」の必要性を植え付ける世論誘導を行っていると指摘しています。
 こんな政権のもとでは日本は沈没への一途をたどるしかありません。以下に中祖氏の記事を紹介します。

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政治考】 内閣支持率3割切る 走る衝撃 たたかい今こそ
                      しんぶん赤旗 2022年10月16日
 時事通信の世論調査で岸田内閣の支持率が27・4%まで落ち込みました。「危険水域」といわれる3割を割り込み永田町には衝撃が走っています。

上がる要素なし
 自民党議員の一人は、「内閣支持率だけでなく自民党支持率も下がっている(23%)。安倍、菅内閣ではなかったことだ。統一協会との関係は、自民党全体への不信となっている」と指摘。「『内閣支持率と自民党支持率を合わせて50%を切ると危険』と言われるが、まさにその状況になりつつあり、上がる要素がない」と表情を厳しくします。
 「今までにない危険水域だ。統一協会問題で山際大志郎大臣(経済再生担当相)、細田博之(衆院)議長などボロボロだ。その中で岸田首相は何もしない。政権は完全に行き詰まりだ」
 ベテランの自民党関係者も政権の機能不全を認めつつ、「統一協会が霊感商法などで集めた金が韓国に流出している」ことへの懸念も示します。それが右派支持層からも批判を受け、支持率の大きな下落につながっているのではと考えるからです。
 週明け17、18両日にはようやく衆院予算委員会が開かれます。
 山際大臣も細田議長も早く辞めさせなければ、国会は永遠に空転してしまう」(関係者)など、自民党内からは岸田文雄首相の無策に危機感が相次ぎます。
 一方で、安倍晋三元首相の「国葬」強行や統一協会問題だけでなく、国民生活の厳しさが事態の根底にあるとの見方も出ています。
 別の議員は「国民生活はものすごく苦しくなっている。原油をはじめ物価が何もかも上がっている。そのもとで年金は下がり医療費は上がる。こんな苦しいときに、物価高や円安の問題にも取り組まず、統一協会問題にも明確な対応ができず『何をやっているのか』という不信がある」と述べます。物価高の要因となっている円安が連日のように更新される中、「菅(義偉)前首相も岸田首相も『安倍政治継承』でやってきたが、アベノミクス・異次元の金融緩和は限界だ。どこかで転換しなければ」とも。しかし、賃上げも含め転換の具体策は示せていないと語ります。
強権姿勢強める
 他方、行き詰まりを深めつつも岸田政権は、「国葬」を強行し、違憲の「敵基地攻撃能力」の保有と大軍拡に向けて有識者会議の議論を始め、原発新増設やマイナンバーカードの取得義務化など危険な強権姿勢を強めています。
 総がかり行動実行委員会の小田川義和氏は「統一協会や『国葬』の問題で岸田政権を追い詰めてきた。しかし岸田政権は追い詰められればられるほど、アメリカや財界、従来の右派の支持を取り付けるべく強権主義を強めている。全く『聞く耳』を持たず、閣議決定でなんでもできるという姿勢だ。政治を変える国民のたたかいを大きく発展させる局面に入っている」と語ります。
軍拡に世論誘導する政府
対抗する運動づくり急務
 総がかり行動実行委員会の小田川義和氏は、「敵基地攻撃能力保有」など軍拡・改憲の動きに対抗する運動の前進が急務だとしたうえで、「工夫も必要だ」と強調します。
 一連の世論調査での岸田内閣支持率の下落のもとでも「敵基地攻撃能力保有」や軍拡への賛成が多数だと指摘。ウクライナ危機以降の「軍備拡張必要論」が影響していることに注目します。
 小田川氏は「軍拡・改憲とのたたかいでは、大軍拡が国民生活や社会保障に与える影響にひきつけて運動を広げるなどの論議や運動の上での対応も必要だ」と指摘します。
 物価高騰のもとでの緊急対策では、消費税減税で野党間での大きな一致点もあります。大軍拡がもたらす増税圧力とのたたかいは、幅広い対抗軸になる可能性を強調しました。

恐怖心を与え
 五十嵐仁法政大名誉教授(政治学)は、「反撃能力保有」への国民の支持が多いことの背景に、政府による世論誘導があると指摘。北朝鮮の弾道ミサイル発射の際にJアラートを発動(4日)したのは、ミサイルが日本上空を通過するのが分かっていたにもかかわらず、恐怖心を与えて「反撃能力」の必要性を植え付けるために、あえて発動したと述べました。
 そのうえで五十嵐氏は、「『憲法9条のもとでの軍事大国化』を許すのかが、これからの大きな対決点になる」と強調。「敵基地攻撃能力を『反撃能力』と言い換えているが、撃たれたら撃つのではなく、撃たれる前に撃つ先制攻撃だ。それを言いつくろう詭弁(きべん)を打ち破らなければならない。さらなる解釈改憲、実質改憲を進める動きを阻止することが大きな課題となっている」と語ります。
 自民党議員の一人も「ウクライナ問題で、世界の秩序をどうするかという大きな問題が出ているとき、中国の悪い情報しか流れず、安全保障の不安をあおり、軍拡の議論ばかりになっている。沖縄を中心に大量のミサイル配備を進める計画は緊張を高め危険だ」と語ります。
 この点では、保守層も含めて軍拡・改憲へのたたかいの可能性も広がっており、市民と野党の共闘の再構築が急務です。

共闘再構築へ
 11日には、市民連合が日本共産党、立憲民主党など野党各党に12項目の政策要請書を手渡しました。日本共産党の志位和夫委員長は、市民と野党の共闘の再構築のためには、国民のたたかいが何よりもの力になるとし、「国葬」、統一協会問題に加え、「いろんな分野でたたかいを起こすことで、共闘を再構築・発展させ、新しい道を切り開いていきたい」と述べました。   (中祖寅一)