2022年10月16日日曜日

ようやく「質問権」を使い“統一教会”を調査の方針 政府の本気度が試される

 統一教会問題で消費者庁の「有識者検討会」は、「宗教法人法に基づく調査を所管庁に求める」、「消費者契約法で定めた契約の取り消し期間延長」「不当な寄付・献金を規制する新法制定」などを盛り込んだ提言を近く河野太郎消費者担当相に提出し、公表するということです。

 弁護士の菅野志桜里委員は検討会で、「検討会としては、旧統一教会への既存の宗教法人法にのっとった解散命令請求の発動に踏み込むべきだと提言すべき」、「宗教法人法第78条の2の質問権や報告徴収権を使えば、政府は教団側に報告を求めることができると指摘しています。
 岸田首相や文化庁はこれまで一貫して「信教の自由に配慮する必要がある」と解散命令請求は難しいと述べていますが、そもそも解散命令はあくまで法人格を失わせるだけで、布教活動は保障されていて「信教の自由」を侵すものではありません従って首相や文化庁の言い分は単に現状を維持しようという意思表示に他なりません。
 このままで収まれば統一協会と自民党との密着は保存され何も変わりません。信者が財産権を奪われ、家庭が破壊され、2世の人権が奪われている現状は放置できません。
 一方全国弁連の弁護士たちから「質問権を行使したところで統一教会に時間稼ぎされ、回答が返ってくる頃には世間の関心が薄れてしまう」懸念があるとして、文化庁の宗教法人審議会で議論したところで、学者や宗教法人の立場を守れという宗教界の幹部の集まりでは埒が明かないのではないか」という心配の声が聞かれます。
 岸田政権の本気度が試されます。日テレと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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「質問権」初めて使い“統一教会”を調査の方針
                        日テレNEWS  2022/10/16
いわゆる「統一教会」に対し、業務や管理運営に関して報告を求める宗教法人法上の「質問権」の規定を初めて使い、文部科学省が調査する方針であることがわかりました。
「質問権」とは、宗教法人法に定められた規定で、法令違反などが疑われる場合に、文部科学省などが宗教団体に対し聞き取りをしたり、同意があれば立ち入りを行ったりして、業務や管理運営に関し報告を求めるものです。「質問権」が使われたことはこれまでに一度もなく、調査の結果次第では、解散命令につながる可能性もあります。

霊感商法などへの対策を話し合う消費者庁の有識者検討会は、近く提言を公表する見通しで、宗教団体「世界平和統一家庭連合」、いわゆる「統一教会」に対し「質問権」を使うことも盛り込むとみられます。
文部科学省は、今後、審議会に諮問した上で、「統一教会」に対し「質問権」を使って調査を行う方向で調整する見通しです。


有識者検討会が提言へ「旧統一教会の調査」は本気か茶番か…全国弁連は「正直、心配」と
                          日刊ゲンダイ 2022/10/15
本気でこの問題に取り組むつもりはあるのか──。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の解散命令請求をめぐり、新たな動きがあった。
消費者庁の「有識者検討会」がとりまとめる提言を、近く河野太郎消費者担当相に提出し、公表する。内容は「宗教法人法に基づく調査を所管庁に求める」ほか、「消費者契約法で定めた契約の取り消し期間の延長」や「不当な寄付・献金を規制する新法制定」を盛り込む。河野大臣も提言を受け入れる見込みだ。
宗教法人法には解散命令についての規定があり、実際に「調査」が行われれば、結果次第で解散命令の請求につながる可能性がある。
弁護士の菅野志桜里委員はこれまでの検討会で〈本来であれば、既に宗教法人法の質問権で調査をして、解散命令要求の必要性があるかどうかは判断されるべき。検討会としては、旧統一教会への既存の宗教法人法にのっとった解散命令請求の発動に踏み込むべきだと提言すべき。政府の出番であり、宗教法人法第78条の2の質問権や報告徴収権を使えば、政府は代表役員、責任役員に対して報告を求めることができる〉と指摘。旧統一教会に報告を求め、質問するべきだと主張していた。
すでに「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は11日、政府に教団の解散命令を裁判所に請求するよう申し入れている。
13日の野党国対ヒアリングで、全国弁連の阿部克臣弁護士は「解散命令請求の要件は十分満たしている。解散命令はあくまで法人格を失わせるだけ。財産権や家族破壊など、国民の利益が侵害されている。どちらが重要か」と訴えた。
これに対し、文化庁は「信教の自由に配慮する必要がある」と、一貫して解散命令請求は難しいという従来の認識を変えなかった。

■全国弁連はフェードアウトを懸念
政府が解散命令の請求を拒否する代わりに、検討会の提言に乗っかりそうな意図、狙いは何か。全国弁連の弁護士たちは一様にこの動きをいぶかる。そのひとり、代表世話人の山口広弁護士は「急きょ、提言を公表することが決まったそうで、正直、心配しています」と、こう続ける。
質問権を行使したところで統一教会に時間稼ぎされ、回答が返ってくる頃には世間の関心が薄れてしまうのを懸念しています。岸田首相なり河野大臣が一言、『宗教法人の解散をやれよ』と言えば済む話です。調査するといっても、何も出てこないと思います。統一教会はこれまでの会見で話したようなことしか、言わないでしょう。統一教会が主張する誤りを指摘し、攻撃できる証拠がどれだけあるか。裁判で明らかにすべきです。学者や宗教法人の立場を守れという宗教界の幹部が文化庁の宗教法人審議会で議論したところで、問題は解決しません。ましてや統一教会の実態を知らず、わずか8人だけの文化庁宗務課の職員に何がどこまでできるか、本当に心配してます」
17、18日には衆議院予算委員会が開かれ、岸田首相への質疑が行われる。まさか、そのタイミングに合わせて岸田首相は「調査」を指示し、「やってる感」を演出するつもりじゃないだろうな。