2022年10月2日日曜日

旧統一教会が高額献金者を「高度危険者」と呼んでいた理由

 消費者庁は30日、全国の消費生活センターに寄せられた統一協会に関する相談件数について、データが残る12年度以降、計1165件の相談があり、統一協会への平均支払(献金)額は約270万円であったことを明らかにしました(しんぶん赤旗)。
 相談があった献金額の総額は31億4550万円(過去10年間)になりますが、これは献金額のごく一部です。全信者数を10万人と仮定すると、相談された件数の比率は約1・2%になるので、それから単純に逆算すると全信者からの献金の総額は10年間で約2621億円になります。
 これは12年以降も巨額の献金が強制されていることを示すもので、協会側の09年以降は巨額献金は行われていないという説明は虚偽と言えます。
 日刊ゲンダイが、12年の時点で1億円以上を献金した信者は796人、10億円以上を献金した信者は115人もいると報じました。
 協会はこうした高額献金者からは返金を要求される危険性があるとして「高度危険者」という扱いにした上で、彼らとの間で『献金は私の自由意思です』『献金の返金を求めません』という公正証書や合意書を作成し、損害賠償請求をできなくなるよう手を打っているということです。つくづく金に汚い組織です。
 併せてしんぶん赤旗の記事「旧統一協会の相談1165件 12年度以降 ~ 」を紹介します。
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安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態
内部資料で発覚 旧統一教会が高額献金者を「高度危険者」と呼んでいた卑劣な理由
                         日刊ゲンダイ 2022/09/30
「あの事件のお母さんが献金されたのは1990年代です。90年代です。90年代の話であって、コンプライアンス宣言以前のはるか以前の問題です。もう(質問を)切ってください」
 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が22日、東京・渋谷区の教団本部で開いた記者会見。「なぜ7月8日のような事件が起きたのか」という質問に教団顧問弁護士の福本修也氏は語気を荒らげてブチ切れ、「09年のコンプライアンス宣言以降、同様のケースはない」と言わんばかりだった。
 安倍元首相の銃撃事件後、信者による高額献金が明るみに出た旧統一教会は「09年のコンプライアンス宣言以降はない」というフレーズを強調しているが、本当に高額献金はなくなったのか。
 「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の渡辺博弁護士が入手した、2012年に作成されたとみられる教団の内部文書「高度危険者に対する緊急対策の取組みフィードバック」によると、12年の時点で900人以上が億を超える献金をしていた。
 渡辺弁護士が説明する。
 「内部文書によれば、統一教会は山上被疑者の母親のような1億円を超える高額献金者を『高度危険者』と呼び、全国に911人いることが分かります。『AA』と『AAA』と分けてあり、『AAA』はおそらく10億円以上の献金者と思われます。911人の中には統一教会であることを隠して誘われ、脅され、だまされて家庭が崩壊状態になり、全財産を取り上げられた信者もいるはずです。そんな高額献金者に訴えられたら、教団は大変な事態になります。放っておくと危ない、何とか対策を講じなければいけないと考え、文書を作成した可能性があります」

1億円以上の献金者は全国に911人
 資料を見ると全国を12のブロックに分け、1億円以上の献金者が796人、10億円以上の献金者は115人もいる。これまで多大な貢献をしてきた高額献金者を「高度危険者」扱いしている。
 教会改革推進本部長に就任した勅使河原秀行氏は会見で「献金のために借金したりするような過度な献金にならないよう指導するなど、09年にコンプライアンスを強化した際の対策を改めて徹底する」と表明。
 だが09年以降の過度な献金の額と件数を聞かれると「ちょっと分からない」と答えられず、献金額が高額かどうかの判断基準に関しては「各教会の教会長やスタッフがする」と、具体的な金額は明かさなかった。
 渡辺弁護士が続ける。
 「教団は高額献金者にこれ以上、献金させないようにストップをかけるのではなく、献金を続けさせているとみられます。そうなると家庭の崩壊や自宅の差し押さえ、自己破産などのリスクが増していきます。内部文書は『そういった問題が表面化する前に対策を考えろ』と、全国の各教会長に指示するためのものでしょう。例えば高額献金者との間で『献金は私の自由意思です』『献金の返金を求めません』という公正証書や合意書を作成する。統一教会を相手に損害賠償請求をできなくなるよう、あるいは訴訟しても無駄だと思わせるよう、あらかじめ手を打っておくのです」
 勅使河原氏は「返金請求や被害を訴えるなどの申し出があった場合、一件一件誠意を尽くして対応し、自ら早期に解決を図る」と話したが、どこまで実行されるのだろうか。


旧統一協会の相談1165件 12年度以降 消費者庁 初の公表
                       しんぶん赤旗 2022年10月1日
 消費者庁は30日、全国の消費生活センターに寄せられた統一協会(世界平和統一家庭連合)に関する相談件数を初めて公表し、データが残る2012年度以降、計1165件の相談があったことを明らかにしました。
 河野太郎消費者担当相は同日の閣議後会見で「個別事業者の相談情報については公表しないのが原則だが、社会的公益性があると判新した」と話しました。
 21年度の相談は27件。22年度は4~6月は計7件でしたが、安倍晋三元首相銃撃事件が起きた7月は57件と急増し、8月は98件、9月は123件と増加傾向が続いています。

 性別・年代別で見たトラプルの当事者は70代女性が最も多くなっています。相談の57%が家族ら当事者以外によるもので、統一協会への平均支払額は約270万円でした。