2022年11月18日金曜日

インボイス導入中止を エンタメ業界 “廃業・衰退招く”

 来年10月からの実施が狙われているインボイス制度の中止を求める動きが高まっています。
 16日、インボイス(適格請求書)制度の問題点を検討する超党派の議員連盟が設立され、早速、政府とフリーランスらからのヒアリングを実施しました。
 声優、アニメ、演劇、漫画の業界に関わる有志でつくるエンターテインメント4団体が16日、記者会見を開き中止を訴えました。そしてこの日設立された超党派の議員連盟の公開ヒアリングに臨みました。また、日本俳優連合(西田敏行理事長)が14日に制度施行中止を求める声明を発表しました。
 各団体が1011月に取り組んだアンケートでは、回答者の半数が年収300万円以下、2割がインボイス導入で廃業せざるを得ない・廃業を検討していると答えています。
 漫画業界では、インボイスの導入によって必要不可欠なアシスタントの収入の減少が加速すれば、漫画家のなり手が減り、日本の漫画産業の衰退の原因の一つになりかねないと危惧しています。もちろんそれは漫画界に留まらずに、日本の文化・芸術の未来は先細ってしまうことになります。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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インボイス導入中止を エンタメ業界 “廃業・衰退招く”
                      しんぶん赤旗 2022年11月17日
 来年10月からの実施が狙われているインボイス(適格請求書)制度の中止を求める声優、アニメ、演劇、漫画の業界に関わる有志でつくるエンターテインメント4団体が16日、東京都内で記者会見を開き、この日設立された超党派の議員連盟の公開ヒアリングに臨みました。また、日本俳優連合(西田敏行理事長)が14日に制度施行中止を求める声明を発表しました。
 各団体が10、11月に取り組んだアンケートでは、回答者の半数が年収300万円以下、2割がインボイス導入で廃業せざるを得ない・廃業を検討していると答えています。
 「インボイス制度について考えるフリー編集(者)と漫画家の会」代表で漫画家の由高(ゆたか)れおんさんは、制度導入で漫画業界に必要不可欠なアシスタントの収入の減少が加速すれば、漫画家のなり手が減り、日本の漫画産業の衰退の原因の一つになりかねないと危惧。「世界に誇る『クールジャパン』を守りたいなら一刻も早い延期・中止をしてください」と声を詰まらせ訴えました。
 「インボイス制度を考える演劇人の会」代表世話人で劇作家・演出家・俳優の丸尾聡さんは、コロナ禍による公演の延期・中止や賃金の低迷、物価高騰のなか「インボイスが覆いかぶさってきたら人が辞めてしまう。日本の文化・芸術の未来は先細ってしまう」と語りました。
 「VOICTION」共同代表で声優の岡本麻弥さんは「消費者から消費税をねこばばしていると誤解されている『益税』論が庶民同士の分断を招いている。事業者の売上金であって、預かり金ではない」と強調しました。
 「アニメ業界の未来を考える会」の植田益朗さん、大塚雅彦さんがアニメ事業者の立場からインボイス中止を訴えました


インボイス中止せよ 田村貴昭氏 「成長産業成り立たぬ」
                      しんぶん赤旗 2022年11月17日
 日本共産党の田村貴昭議員は11日の衆院内閣委員会で、来年10月に導入予定のインボイス(適格請求書)制度をめぐり、支援策を強調する政府に対し、「増税と取引停止の可能性という二つを避ける支援対策は政府にはない」と指摘し、導入中止を迫りました。
 田村氏は「日本の特色ある商品・サービスを発掘・創造し、日本の経済成長につなげる」とする政府のクールジャパン戦略でアニメ・漫画・ゲームをどう位置づけているかと質問。和田義明内閣府副大臣は「日本を代表するコンテンツで、クールジャパンにおいて果たしている役割は極めて大きい」「大変期待される成長産業だ」と答えました。
 田村氏は、成長産業を下支えしているのは「圧倒的にフリーランスの免税事業者の人たちだ」と指摘し、新たな消費税の負担を強いるインボイスが導入されるとフリーランスの2~3割が廃業の危機に陥ると強調しました。和田副大臣は「4人に1人が廃業危機というアンケートの結果は知っており、大変重く受け止めている」と答弁しました。
 田村氏は「若い人たちの希望の芽がつまれると、クールジャパン戦略そのものが成り立たない」と追及。消費税の負担を回避する方法はなく、免税事業者のままでいると取引を停止される可能性は絶対に残ると述べ、「ぜひ(当事者と)直接会って話を聞いてもらいたい」と迫ると、和田氏は「私で差し支えなければ、要望や声は直接聞かせてもらう」と答えました。


インボイス 超党派で議連 “全国民に不利益”
                      しんぶん赤旗 2022年11月17日
 16日設立されたインボイス(適格請求書)制度の問題点を検討する超党派の議員連盟は早速、政府とフリーランスらからのヒアリングを実施。インボイスを憂慮する声優らが立ち上げた団体「VOICTION」共同代表の甲斐田裕子さんは「日本の文化の未来が立ち消えてしまう」と訴えました。
 同議連の末松義規会長(立憲民主党)はあいさつで「500万人近くがインボイスの影響を受けるといわれている。強行するなんてとんでもない」と強調。同議連の副会長となった日本共産党の田村貴昭衆院議員は「この会が大きく発展し、まともな税制に変えられるよう頑張りたい」と決意を語りました。
 ヒアリングでフリージャーナリストの犬飼淳さんは「あらゆる業界の会社員、めぐりめぐって一般の消費者も含めて、誰一人例外なく全ての国民が不利益を被る百害あって一利なしの制度だ」と指摘しました。
 甲斐田さんは「実態調査のアンケートで文化事業に携わる4団体(声優、アニメ、演劇、漫画)全てでおよそ半数以上が年収300万円以下、2割の人が廃業を検討している」と強調。「未来の才能たちのために、(消費税の)一律減税とインボイス制度廃止を」と訴えました。
 政府からのヒアリングでは、田村氏は、現行の複数税率の下で税務署と納税者との間で起こった問題を実際に調査したのかと質問。国税庁の担当者は「数として把握していない」と調査していないことを明らかにしました。

 設立総会には日本共産党から笠井亮、高橋千鶴子の両衆院議員、田村智子、山添拓、岩渕友の各参院議員が参加しました。