5日付の記事「次期NHK会長に「前川喜平元文科事務次官」を推す動きが広がる」の続報です。
4日、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」の代表と前川氏の記者会見が行われました。ユーチューブでその模様を見た澤藤統一郎弁護士が、「前川さんこそが、次期NHK会長にピッタリだと思った」として、「前川喜平さんを次期NHK会長に!」とするブログを出しました。
会見で前川氏が「会長に就任した暁には憲法と放送法を遵守し、不偏不党で、真実のみを重視するNHKのあり方を追求していきたい。~政治的中立を上から求めたら権力への奉仕となる。~大切なことは現場の自由を重んじることだ。表現にかかわる分野では、報道も教育も文化も同じこと」などと述べたことを高く評価しました。
レイバーネット日本も同じ立場で前川氏の記者会見を取り上げていますので併せて紹介します。
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前川喜平さんを次期NHK会長に!
澤藤統一郎の憲法日記 2022年11月5日
NHKの報道姿勢に関心をお持ちだろうか。NHK会長の人事についてはいかがだろうか。NHKこそは世論に最も大きな影響力を持つ我が国最大の報道機関である。その動向は日本の民主主義に大きな影響を与える。そのトップの人事は、重大な政治マターとならざるを得ない。
政権は、NHKのあり方にも会長人事にも、重大な関心を持ち続けてきた。とりわけ、安倍晋三である。彼はNHKを独立したジャーナリズムと見ることはなく、自分の意のままとなる配下の一部門と考えてきた。その結果、NHKは「アベチャンネル」と揶揄される惨状を呈するに至っている。
民主的感覚を持ち合わせぬ安倍晋三は、自分の右翼仲間で経営委員会を固め、その経営委員会は、5期連続してNHK会長を財界出身者としてきた。在野性のカケラもない人物たち。ジャーナリズムの何たるかを知ろうともしない人たち。もう、いい加減にしてもらいたい。こういう声が、市民による次期会長選任の運動となった。
市民の立場で、公共放送のトップにふさわしい、本来あるべきNHK会長を選ぼうではないか、という運動が起こっている。NHKを真に国民の立場に立つ公共放送として政府のくびきから解き放つには、強靱な在野精神に充ちた強力なリーダーが必要なのだ。
これまで、NHKの政権追随の姿勢を批判し、公平・中立・独立した番組編成を求める市民運動は全国に広範にあった。その人たちが、現前田会長の任期終了(来年1月)を目前に、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」を立ち上げた。森下俊三経営委員会委員長らが次期会長候補推薦の動きをしているとの報に対抗してのことであろう。
とは言うものの、具体的な候補者名はなかなか出てこなかった。具体的な固有名詞なしの「NHK会長推薦」は難しい。ところが、事情を知らない私にとっては突然に、前川喜平さんの名前が上がった。11月1日付で、「前川喜平氏をNHK会長に!」という署名運動が開始された。
そして昨日(11月4日)、「会」と前川さんの記者会見が行われた。ユーチューブでその模様を見た私は、なるほど、前川さんこそが、次期NHK会長にピッタリだと思った。
彼は言う。「私がNHKの会長に就任した暁には、憲法と放送法を遵守して、市民とともにあるNHK、そして不偏不党で、真実のみを重視するNHKのあり方を追求していきたい。そのためには番組の編集、報道にあたって、完全な自由が保障されないといけない」「政治的中立を上から求めたら権力への奉仕となる。不偏不党にも、公平にもならない。大切なことは現場の自由を重んじることだ。表現にかかわる分野では、報道も教育も文化も同じこと」「政府が右を向けと言っても右を向くことはない。左を向けと言っても同じ。けっして政府の言いなりにはならない」
NHKの視聴者は受信料は払うが、会長選任の権利はない。会長選任権は、内閣が任命する12人の経営委員がもつ。さはさりながら、前川喜平会長選任の国民の声は、政権もけっして無視はできまい。
以下に、「会」の呼びかけを紹介しておきたい。
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市民とともに歩み、自立したNHK会長を選んでください!
市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
(以下省略 詳細は下記を参照ください)
⇒(11月5日)次期NHK会長に「前川喜平元文科事務次官」を推す動きが広がる
アベチャンネルを終わりにしよう!〜「前川喜平さんを次期NHK会長に」の運動始まる
レイバーネット日本 2022-11-05
→動画(7分)
政権に忖度する「アベチャンネル」を終わりにしようと、新しい市民運動が立ち上がった。来年1月に改選される「NHK会長」に市民の代表として前川喜平さんを推薦する運動だ。これまでの会長は、アサヒビール・JR東海・三井物産・みずほなど、財界出身者ばかりでアベの応援団だった。しかも人事はほとんど官邸主導で決まってきた。
11月4日、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」が衆院議員会館で記者会見を開いた。大手メディア・フリーも含めて、30人以上が集まり関心の高さが窺えた。共同代表の丹原美穗さんは、「公共放送で『みなさまのNHK』のはずがNHKがアベチャンネル化している。受信料で成立しているNHKは市民とともに歩みべきだ。私たちは、今回前川喜平さんを次期の会長に推薦する運動を展開することにした」と会の趣旨を述べた。
そして前川喜平さんが紹介された。「とても光栄のことで引き受けることにした。私がNHK会長になったあかつきには、あかつきになるかどうかわかりませんが・・」と笑わせてから抱負を述べた。「私は憲法と放送法を遵守して、市民とともに歩み、不偏不党で真実を重視するあり方にNHKをしていきたい。そのために一番大事なので番組制作の完全な自由で、現場が自由に動けることだ。会長は余計なことはしないで、現場にまかせるのがいい。もちろん政府のいいなりには絶対にしない。それが公共をつくっていく道だと思う」と。
そのあと記者から次々に質問があった。NHK番組の問題について問われ、前川さんはこう答えた。「私はテレビっ子でよく見ている。一番問題があるのが報道・ニュースだ。報道に政権への忖度があってはならない。でもそれ以外の番組は、いいものが多い。ドラマなどを楽しみにしている」。
また会見では、NHKの現場は忖度があたりまえのモノを言えなくなっている現状が報告された。「NHK内部がファシズム化している」という表現もあった。もっとも自由が必要な現場が縮みあがっているのだ。NHK会長を変える運動は、NHKに働く人々にも大きな影響を与えるだろう。
もちろん前川喜平さんの会長実現はそう簡単ではない。官邸主導で候補が選ばれ、NHK会長は12人の経営委員会の9人以上の多数決で決める仕組みになっている。だから経営委員会を動かすことがとても重要だ。それは世論の力しかない。さいわい、賛同署名の反応はよく「NHKをなんとかしたい」という市民の声は大きいことがわかった。会は、11月22日の経営委員会開催日にNHK西口前で情宣活動を行い、12月1日の経営委員会には「前川推薦」の申し入れと賛同署名を提出する予定だ。(M)
●前川喜平さん推薦ネット署名→ こちら
●前川喜平さんについて
・日本の文部・文科官僚。文部科学省大臣官房総括審議官、文部科学省大臣官房長、文部科学省初等中等教育局長、文部科学審議官、文部科学事務次官などを歴任した。 67歳。(ウィキペディアより)
・2017年森友学園問題と加計学園問題が発覚しました。その際、前川喜平さんは告発のための記者会見をたった一人で行い、安倍首相ら政権の嘘を暴きました。文部科学事務次官まで上り詰めた官僚として、日本の行政史上かつてない大事件でした。政権からの不当な圧力に屈せず公僕としての職責を果たす。これは放送法にうたわれた公平公正や、真実を追求し健全な民主主義のために資するジャーナリストの精神と深く重なるものです。(署名呼びかけ文より)