「国家安全保障戦略」など安保3文書改定に関する政府有識者会議の第3回会合では、今後5年以内に軍事費の年間支出を倍増させるための財源として、増税論が大勢を占めました。
永続的に軍事費だけで年間5兆円超を増額させるためには、赤字国債ではなく恒久的な財源を求めるのは当然のことで、それを消費税に求めるのは論外としても、その責任は無用で有害な大軍拡を決めた政府にあります。
それにしても国民はなぜ「防衛費を増やす」ことに、メディアによって62%~76%などとバラツキはあるものの賛成しているのでしょうか。もしも防衛費を倍増させれば日本の安全が保てると考えているのであれば大間違いで、それは単に米国(や日本の)軍需産業を喜ばせるだけのことです。
そもそも米国が当面の敵としている中国によって台湾有事が起こされた場合を想定してケーススタディーをおこなったところ、20ケース近く条件を変えても米国が勝つケースは一つもなかったということです。
米国が勝てない中国にどうして日本が勝てる(日本を守れる)というのでしょうか。
弁護士の田中淳哉氏は長文のブログ3部作
・「攻められたらどうするのか」という素朴な疑問について考えるうえで踏まえておくべき基本的な事柄(前編)
・「攻められたらどうするのか」という素朴な疑問について考えるうえで踏まえておくべき基本的な事柄(後編)
・どうすれば「戦争の時代」を防げるか~人類が憲法9条を手にした意味
で、日本は「本気で攻められたら終り」であると断言しています。
その根拠として、日本が「資源小国・貿易立国」(・日本の食料自給率 39% ・日本の貿易相手国 輸出先1位 中国22% 輸入先1位 中国25・8% 繊維製品の輸入先 中国63% ・輸出入はほぼ100%海上輸送)であることに加えて、無防備な原発が日本海海岸に多数設置されていることなどを挙げています。
諸外国とは対照的に30年近くもGDPや賃金水準が停滞している日本が、この先世界第3位の軍備を持とうというのは、まさに北朝鮮的な考え方でありナンセンスです。
憲法9条の精神で近隣諸国との友好関係を構築し、それを維持することに努力するのが唯一の取るべき道です。
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軍拡財源 増税論が大勢 政府有識者会議 財務省「幅広く国民負担」
しんぶん赤旗 2022年11月11日
「国家安全保障戦略」など安保3文書改定に関する政府有識者会議の第3回会合(9日)では、今後5年以内に軍事費の年間支出を倍増させるための財源として、増税論が大勢を占めました。物価高騰が暮らしを圧迫する中、軍事費の「GDP(国内総生産)比2%」達成という米国の要求にこたえるための増税に、国民の反発は避けられません。
財務省は同会議への提出資料で、「5年以内の防衛力の抜本的強化」を実現するための基本的な考え方として「歳出改革」(=軍事費以外の削減)を行うとともに、「防衛力強化の受益が広く国民に及ぶことを踏まえて、その費用も国民全体で広く負担」「国を守るのは国全体の課題であるので、防衛費の増額には幅広い税目による国民負担が必要」などとして、「税制上の措置」を求めました。
財務省はその具体例として、(1)湾岸戦争(1991年)の戦費負担(2)東日本大震災(2011年)の復興財源―をあげています。(1)では1年間の臨時措置として法人、石油各臨時特別税6680億円を計上。(2)では、25年間の措置として復興特別法人税・所得税など約10・5兆円を計上しています。
ただ、これらは臨時増税であり、財務省は今後も巨額の軍事費を維持するための恒久的な財源確保を求めています。消費税増税などは避けられません。