2022年11月24日木曜日

有識者会議 反撃能力「5年以内に」「幅広い税負担で」/共産・小池氏 具体化許さず

 「国家安全保障戦略」など安保3文書改定に関する政府の有識者会議」は22日、「防衛力の抜本的強化」に関する報告書を岸田文雄首相に提出しました。それは既報のとおり、歴代政権が違憲としてきた「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有について「抑止力維持・増強のために不可欠」だと断定し、「今後5年以内に十分な数のミサイルを装備」するよう求めるもので、政府が意図し米国が期待している通りのものでした。

   ⇒ (11月19日)政府有識者会議提言の原案判明 敵基地攻撃能力「不可欠」/  
 ご丁寧にも当初案で触れられていた法人税については言及してないということで、財界の意向も取り入れました。
 問題は明白な憲法違反の方針であるのにそれについては何の指摘もないようで、これではひたすら民生無視の『軍事国家』づくりに突き進むことになります。
 共産党の小池晃書記局長は、「侵略戦争のために国民生活を破綻に追い込んだ歴史をくり返すことになる」「憲法に関わる重大な政策転換であるにもかかわらず、有識者会議メンバーには憲法学者は1人もいない。憲法との関係をまともに議論しないで安全保障政策の大転換を図ることも大問題だ」と批判し、「大軍拡の具体化を許さない国民的運動を国会の中でも外でも広げていきたい」と表明しました。しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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反撃能力「5年以内に」政府有識者会議「幅広い税負担で」
                      しんぶん赤旗 2022年11月23日
 「国家安全保障戦略」など安保3文書改定に関する政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)は22日、首相官邸で「防衛力の抜本的強化」に関する報告書を岸田文雄首相に提出しました。政府・与党は今後、報告書を踏まえ、年末の3文書改定に向けた協議を加速させます。
 報告書は歴代政権が違憲としてきた「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有について「抑止力維持・増強のために不可欠」だと断定。12式地対艦誘導弾の射程延伸や米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークの購入を視野に、「今後5年以内に十分な数のミサイルを装備」するよう求めました。
 「5年以内の2倍化」を視野に入れた軍事費の財源は「幅広い税目による負担が必要」だとして増税を主張。一方、当初の提言案で触れられていた法人税については言及しておらず、財界の反発を避けるため配慮したとみられます。
 有識者会議は9月末から計4回開催。また、これに先立つ「意見交換」も年初から行われてきました。


「軍事国家づくり」へ転換図る 小池氏批判 具体化許さず
                      しんぶん赤旗 2022年11月23日
 日本共産党の小池晃書記局長は22日、国会内の記者会見で、安保3文書改定に関する政府の有識者会議の報告書について、「敵基地攻撃能力の保有など安全保障政策の大転換を図る方向が示された。経済、財政、科学技術、公共インフラなど全てを軍事のために活用させようとする中身だ」と指摘し、「まさに憲法9条を基本にしてきた戦後日本のあり方を根本から転換し、国政のあらゆる課題を軍事優先で進める『軍事国家』づくりだ」と厳しく批判しました。

 小池氏は、岸田政権が5年以内の防衛力の抜本的強化をうたい、対GDP(国内総生産)比2%目標を掲げ軍事費倍増を狙うもと、報告書は増額する防衛費の財源について「幅広い税目による負担」の検討を政府に迫っていると指摘。「国民に増税や、社会保障など暮らしの予算削減を求めている。侵略戦争のために国民生活を破綻に追い込んだ歴史をくり返すことになる」と語りました。その上で「憲法に関わる重大な政策転換であるにもかかわらず、有識者会議メンバーには憲法学者は1人もいない。憲法との関係をまともに議論しないで安全保障政策の大転換を図ることも大問題だ」と重ねて批判しました。
 小池氏は、岸田政権のもと防衛省の来年度予算の概算要求は過去最大となり、大軍拡の道を走り始めている一方、「国民の生活実態は大変深刻だ。格差と貧困が広がり、物価高騰が追い打ちをかけている。ここに年間5兆円もの大軍拡と大増税がかぶされば、国民の暮らしをさらに追い詰めて消費の減退、景気の後退を招くのは明らかだ」と強調しました。
 小池氏は、日本共産党として「憲法違反の敵基地攻撃能力の保有や国民生活を壊す軍事費倍増の議論を直ちに中止することを求める。有識者会議の報告書に基づく大軍拡の具体化を許さない国民的運動を国会の中でも外でも広げていきたい」と表明しました。