シリーズ「徹底追及 統一協会」信者2世編Ⅲ(上)です。
90年代の夏、韓国の統一協会の清平修錬院(当時)に日本中から集まった小中高生の信者の子約400人が20日間、缶詰め状態で「修練」という名の“洗脳合宿”を強いられました。
祝福2世と呼ばれたAさんも、「祝福」を受けるため計120日間、数回にわたり清平修錬院に行かされました。全体として「ガマン大会もどき」の様子が語られています。
それとは別に、国会の委員会で政務三役と統一協会との関係が追及された記事を紹介します。
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徹底追及 統一協会 信者2世編III(上)
洗脳合宿20日間 小中高生400人 全身たたき「除霊」
しんぶん赤旗 2022年11月6日
蒸し暑いプレハブのような小屋。屋内の地べたに子どもたちがぎゅうぎゅうに座り、自分の体をたたいています。疲れてもたたき続けるのは「悪い霊が体から飛んでいく」と教えられたから。
1990年代の夏、韓国の統一協会(世界平和統一家庭連合)の清平(チョンピョン)修錬院(当時)。日本中から集まった小中高生の信者の子、約400人が20日間、缶詰め状態で「修練」という名の“洗脳合宿”を強いられました。
「統一協会ではたたいて除霊することを『役事』と呼びます。首や胸、脚などをたたきました」。そう話すのは、当時中学生だった祝福2世の女性Aさん(30代)です。統一協会では、集団結婚した信者の子どもを「祝福2世」と呼び、「神の子」扱いします。Aさんも、祝福を受けるため計120日間、数回にわたり清平修錬院に行かされました。
ひたすら音読
早朝に山に登って祈とうをしてから午後9時の祈とうまで、役事と講義の繰り返し。20日間、1日も休みがなかったと言います。
「自由な時間がほとんどなく、とにかく疲れて眠かったです」
役事は1日3回、毎回約1時間行うため体力が奪われました。背中は後ろの人にたたいてもらいます。たたき方が弱いと「悪霊が出ていかない」と言われてしまいます。
「特に生殖器は罪だとされ、そこに一番悪霊がたまっていると信じ込まされました。なので、みんな自分でたたきました」
講義では統一協会の教義『原理講論』をひたすら音読させられることもありました。意味も分からず、眠くなってしまうと隣の子が起こしたり、自主的に後ろに立ちにいったりしました。
シラミや風邪
トイレは“ぼっとん便所”でした。毎日シャワーを浴びる余裕がなく、洗面所で髪を洗うことも。小屋には大きな扇風機しかなく、子どもたちは「暑いね」と言いながら扇風機を囲みました。
布団はなく、男女分かれて雑魚寝です。寝袋は共用で、干すのは2、3週間に1度。前日に誰が使ったかも分からない寝袋は、汗の臭いが染みついていました。
洗濯は講義の合間の10分ほどの休み時間に急いでやります。洗濯物はその辺りに干すしかなく、下着は男性に見られないよう工夫しました。
「着替える場所には屋根しかありませんでした。思春期でしたし、地獄だったなと思います」
食事時になると食堂に長い列ができました。朝には乾ききったパンと牛乳、昼と夜に韓国食が出されました。
「辛い物を食べられない子はきつかったと思います。食堂のご飯が嫌で、売店で買う子もいました」
不衛生な環境のもと、シラミや風邪がはやることも。しかし、治療されないどころか「風邪は悪霊が出て行った証拠だ」と説明されました。
「少しずつ改善されているみたいですが、当時はこんな状況でも親は自分の子に幸せになってほしいため、子どもを修練に送ってしまうのです」 (統一協会取材班 つづく)
政務官室に統一協会関係者 井野防衛副大臣「確認した」
衆院法務委員会 本村議員へ答弁
しんぶん赤旗 2022年11月6日
井野俊郎防衛副大臣は2日の衆院法務委員会で、井野氏が法務政務官時代の2016年に統一協会(世界平和統一家庭連合)関係者を法務省や法務政務官室に招き入れていたことを「確認した」と明らかにしました。日本共産党の本村伸子議員への答弁。
本村氏は10月28日の同委で、統一協会側が設立した井野氏の後援会「俊世会」一行が16年11月、法務省を見学し、法務政務官室を訪れていたとの「赤旗」日曜版10月30日号の報道に基づき井野氏を追及しましたが、同氏は「否定はしない」などと答弁。本村氏は関係者に確認するよう求めていました。
2日の質問で本村氏は改めて、事実を確認したかと追及。井野氏は、法務省内に一行を招き入れたことを「電話で斉藤(優・群馬)県議(俊世会代表)に確認した」と答えました。
本村氏は「法務政務官として、統一協会の組織的な不法行為責任を認定した東京高裁判決の5カ月後に招き入れた責任をどう考えるのか」と厳しく追及。井野氏は「真摯(しんし)に反省している」「関係を断って政治活動を続けていく」と答えました。
本村氏は、岸田文雄首相が閣僚等に統一協会との接点があった場合辞任を求めると答弁したことを挙げ、「辞任、更迭の案件ではないか」と主張。葉梨康弘法相は「それぞれの議員に説明していただきたい」として見解を示しませんでした。
本村氏は「統一協会との癒着を断ち切り、被害の根絶に全力をあげなければならない」と法相らの姿勢を厳しく批判しました。
協会会長と認識し関係か 山下氏、西村環境相ただす 参院環境委
しんぶん赤旗 2022年11月6日
日本共産党の山下芳生議員は1日の参院環境委員会で西村明宏環境相に対し、同氏と統一協会との関係について「知らなかったでは済まない。どう責任を感じているか」とただしました。
山下氏は、2017年に西村氏と徳野英治・統一協会会長(当時)が国会内で日米の国会議員らと並んだ写真と、2019年に「講師」が徳野氏、「宮城県代表世話人」が西村氏で開催された「安全保障フォーラム」の案内状を示し、「2019年は初対面でないはず。徳野氏が統一協会会長と知った上で代表世話人になったのではないか」と迫りました。
西村氏は、2度問われたにもかかわらず明確に答えませんでした。
山下氏は「案内状には『選択的夫婦別姓、同性婚容認などの動きの背後には共産主義があり、国民を扇動している』とある。統一協会・国際勝共連合独特の言い回しだ。知らなかったでは済まない」と批判しました。
さらに、妹が信者だった男性の「政治家は広告塔。誤解を招く行動は慎むべきだ」という声を紹介し、「広告塔となり被害者を増やすことに加担してしまった可能性があることについて、どう責任を感じているか」と追及しました。
西村氏は「結果として当該団体の信頼を高めることがあったという指摘は重く受け止める」と述べました。